見出し画像

空中船舶模型1号機・製作風景

<概要>

記念すべき、空中船舶模型の一機目です。
まだ最初ですので、作品としての方向性や材料の制限しばりが明確でなく、精密な設計図もありません(のちにもないですが)。とにかくやってみよう的精神で造船スタートしました。2018年1月〜3月頃の制作です。

では、まず結論から。
本体の完成状態がこちらです。

完成イメージ

ややチラ見せですが、のちほどトリミングなし画像でお見せします。しかし、いま見返してみると、なんとも荒々しいというか・・・。妙な迫力があるといえばあるような・・・。まあ、悪くはないでしょう。最初にしては上出来と言えます!

・・・。
ではいよいよ、造船の過程をご覧いただきたいのですが、1号機の造船中にスマホで撮影した画像ファイルは約150枚ほどありまして、いまチェックしたところ、やや問題がありました。たとえば、この部品がまだ造形できていないのに、あの部品では塗装が始まっているなど、作業の工程がかなり「あっちこっち」しており、これをただファイルの時系列順に並べただけだと進行がわかりにくいだろうな、ということです。

先ほどの画像を見ていただくと、造形の得意な人であれば、なんとなく船の構造の見当がつくかと思います。この船はおおまかに「本体」を軸にして「運転席」「着陸翼脚」「構造物」が組み合わさって完成状態になっています。さらに、土台である「地面」の上に「運搬車」が置かれ、この車の上に船が乗って、周囲に「付属品」のフィギュアが配置されて、展示完成状態となります。

いまカッコでくくったワードによってパーツ分類をおこない、各ひとつずつ見出しをつくり、そこに画像を置く方法でやってみたいと思います(大丈夫なのか)。
その後、各パーツが合体し、塗装が進んでいきます。

画像はほぼ撮影時のままのサイズです。けっこう重たいと思います。
画像はクリックすると拡大されます。

■本体


船の胴体部分の本体です。
私はいわゆる「帆船模型」にあこがれていましたので、まずは木材、特にバルサ材を加工して造るべきだと強く思っていました。

本体の中心内部の構造

この先の工程の見通しも立っておらず、船体総重量の予想ができなかったため、強度にかなりの余裕を持たせようとしています。中心に約15ミリ角のバルサ材を、背骨のように通す堅実な構造です。後になってわかりますが、ここまでの過剰な強度は必要ではなく、軽量化の工夫をするほうがはるかに効果的でした。

運転席を受ける構造

本体に運転席をはめこむ構造を作っています。
ああ、この構造!この板が無駄なのです。無駄!あとで載せる運転席の床があればそれで充分じゃあないですか(怒)!!こういう小さな設計上の無駄がかさなり、この時点でかなりの重量を感じていました。

尾部の段ボール積層構造(天地逆)

重すぎると、展示の時に苦心することが予想できますので、今さらながら軽量化の工夫を始めています。船体尾部の比較的複雑な形状を、段ボールの積層構造で表現しようとしています。中央の溝のところに、角材が入ってくる構造です。

石粉粘土で板を表現(天地逆)

はい、せっかくの軽量化の努力を、さっそく石粉粘土で無駄にしていくスタイルです。石粉粘土は重いのです。先ほどの段ボール構造が、この薄い木材と石粉粘土で覆われています。天地逆さまの状態です。

尾部(天地正方向)

天地が正しい状態です。後部甲板が入る予定の場所が見えます。

帆船模型の技術(天地逆)

艦底部側面の板材を貼っていく工程です。
これは帆船模型で使用される技術で、正直言いまして、船の模型を造る理由としては、これをいっぺんやってみたかった!というのが大きいです。手先でモノを造っている人なら、ムラムラする作業だと思います。薄い木材を、あばら状の材の上にきっちり貼っていく。その前に、となりの木材と触れ合う面を、鉛筆で黒く塗っておきます。これは、木材同士を密着させ、あとでヤスリでもかけてしまうと、継ぎ目が見えにくくなってしまうので、それを防ぐためです。これもやりたかった作業です。乾くまで画鋲を打って固定していますが、これも帆船模型らしい作業をやってみたかっただけで、画鋲はそれほど必要ではありませんでした。マスキングテープなどで充分でしょう。

黒い紙をはさむ・・・

だいぶ船体らしくなってきました。
ここで気づいたのですが、側面の板のスキマから、光がもれて見えてしまうのです。これは、見栄え的にかなり具合いが悪いことです。そこで板の内側に紙を挟んでみたのですが、なんとスキマからはまだ紙の白が見えるのです!やむなく紙を黒く塗ることで解決しました(してる?)。

船首部

船首部の板貼りです。
尾部もそうですが、要するに私の技術では、曲面のRがキツい箇所に沿わせて、木の板を貼ることは非常に難しかったわけです。そこでこういうところには、石粉粘土を使用して、木の板を表現しています。

それらしい船腹

だいぶそれらしい感じになってきた船腹です。なんとキール(竜骨)部分にも石粉粘土を大胆に大量使用しています。太い・・・いや、重い・・・!これはちょっと乱暴ですね。もうすこし工夫すべきでした。

キールのレザー素材

キールのサイドに木材を貼り、底部に黒い合成レザー素材を使用しています。展示する際にはこの箇所にもっとも重量がかかるため、塗料を使うとはがれることを予想したのだと思います。木材のスキマを石粉粘土で埋め、ヤスリで軽く整えられた状態が見えます。本体部分はこれでだいたい完成です。
あらっぽいなあ・・・。

■運転席

いわゆるコックピット部分です。
一人乗りという設定ですので、かなり狭くなっています。

運転席前部

運転席前部です。
窓には透明なプラスチック素材を使っています。

運転席床

運転席床です。
これで運転席部分の面積が決まります。上記本体の工程で「無駄ァ〜」と言っていたのは、このパーツさえあれば本体側に受け部品は不要ではないのか?ということです。

運転席内壁

運転席の内壁です。
たしか、木目調の壁紙のデータを紙に印刷して作ったはずです。この形状の内側に沿わせて貼っていくのが意外と難易度が高く、手間のかかる作業でした(組む前に貼れば問題ないのでは)。

操縦席周り

操縦席の周辺です。
操縦桿やダッシュボード、シートを作っています。速度計は、当時乗っていた車のメーターを撮影し、縮小印刷したものを貼り、上から透明シートで覆っています。壁の地図やメモなどの書類も、それっぽい画像データを作って、縮小して印刷しました。

操縦席全体

操縦席の全体の感じです。
後部ドアのサイズから、かなり狭い場所だとわかります。窓にはカーテンレールをつけ、この後カーテンもつけました。

操縦席屋根

操縦席の屋根です。
このあとのギミックにもかかわるのですが、これ自体が操縦席の屋根でもあり、フタになっていて、取り外して内部を見るために不可欠な構造になっています。

■着陸翼脚

私の空中船舶模型を見た人の大半が、まず最初に「なにこれ?」と質問なさることが多いパーツです。

空を飛び、海も航行する空中船ですが、地上に着陸することも多いのです。その際、胴体着陸では傷んでしまいますので、このような着陸用の脚が必要になるのです。飛行中はただのお荷物ですので、翼の形状をとることで多少は舵として役立てよう、という設定です。

切り出し

着陸翼脚の形状にあわせて、バルサ材の板を切り出します。
翼というパーツの厚みを、板材の厚みで表現してしまおうというのは、かなり荒っぽい思考でした。丈夫なのはいいのですが、やはり重過ぎます。

3枚の翼

この機体の翼脚は、左右に一対、尾翼として1枚の、計3枚です。
全木製で、かなりゴツいですね。はしっこについている球体関節状のものは、本体とのジョイント部です。100均で買った「自由に角度を変えられるペンライト」の軸受けパーツをもぎとって使用しています。球体ジョイントですので、角度だけでなく、回転方向にも向きを変えることができます。ただ、パーツが重過ぎて、この部品の摩擦固定力では不足でした。真横に伸ばした状態などでは、重力に負けて下がってきてしまうこともあります。

板金

表面は薄い金属板を貼り重ねている、という設定です。
コピー用紙を切ったものを、それらしく重ね貼りしていきます。

本体に近いところ

本体側に近いところです。
たぶんメンテナンス時などに、整備員が乗ったりする必要があると思い、ハッチと手すりをつけました。

本体とのジョイント

本体とのジョイント部です。
ここは非常に悩み、迷った箇所です。見せるか隠すか。

全体の設計上の矛盾やツジツマあわせが、この箇所に人体の「つむじ」のようにシワヨセとなって押し寄せたかのようです(?)。

実機では油圧のシリンダーや軸受けなどの複雑な構造になっているはずですが、私の技術では、それを可動状態で、しかもそこそこの耐久性のある方法で表現するのは、とてもとても難しい、と判断しました。よって、隠すほうを選びます。

しかし、隠すと簡単に言っても、そう簡単ではありませんでした。合成レザーをなにやら微妙な形状にカットし、糸で縫い合わせ、なんとか稼働範囲はカバーできるようにしました。これは「もう一度やれ」といわれても、できないかもしれません。許してください。

■構造物


ここからはいよいよお楽しみ、本体や操縦席まわりに取り付けられる機材や装置です。順に見ていきます。

乗員のおっさんが使う銃です。
ストックは折りたたみができ、マガジンも着脱可能です。ウキウキしますね!でも1番の工夫は、この銃の船体への設置方法なんですよ!聞いてくださいよ!

操縦席の天井に外から取り付けると、グリップ部分が室内の天井から生える形になり、操縦しながら発砲することができるのです!命中精度はからっきしですが、この機体の唯一の武装として、物語の中では活躍させてやりたいです!!

エンジン

エンジンです。
エンジンなので、もっと船体の内側に収容されるほうが安全だとは思いますが、この機体は一人乗りのため、操縦や整備もすべて一人でやる必要があります。なのであえて、甲板上に剥き出しの配置にすることで、メンテナンス上のアクセス性を優先した、という設定になっています。

なわばしこ

縄梯子なわばしごと巻き上げ機です。
小さいハンドルがついていますよね。これ、ちゃんと巻き上げできるんですよ!!

旗立て機

これは旗竿を立てる装置です。
これ、折りたたみ式なんですよ!でも実際の作動は、文章ではちょっと説明がむずかしいです。いつか動画などでUPしたいです。

ボート
巻き上げ機

ボートと巻き上げ機です。
これも実際に巻き上げ動作ができ、アームを折りたたんで、ボートを前部甲板に固定することができます。

小物

これは小物です。
ハンマー、スコップ、斧です。

前照灯

前照灯です。
上下方向にだけ可動できます。

ソリ

着陸翼脚の追加パーツのソリです。
滅多にないですが、着陸状態の翼脚にこれを取り付け、積雪の平原を走っていく・・・、とかいうシーンを妄想しながら作りました。
普段はどこに積んでるんでしょうね。

構造物集合

ボート以外の構造物の集合です。

■地面


展示用の土台となる、地面パーツです。
石畳の地面を表現しています。

これは餅です。
ではなくてですね、石粉粘土で石畳の石材を1枚ずつ作成しています。石の質を変えたり、ひび割れを入れたり、少しずつ表現を変えています。この「ひび割れ」の表現が、とても難しかったのを覚えています。

木枠に入れる

木枠の中に敷き詰めていきます。
この木枠が台のサイズを決める基準になっていて、あとで取り外します。はみ出た石材はきれいに切り取り、他の箇所で使います。なぜか砂を入れていますが、これはあまり意味がなかったです。

敷き終わり
型をはずし
土の層

敷き詰め終わり、型をはずし、石材のスキマに砂を入れ、石材の下の土の層の部分を塗装します。

埋まった骨

地層の断面図には、かならず「骨」を描写すべきと考えます。

石畳の隙間に生える草です。
近所に生えていた猫じゃらしの穂を分解し、塗装した記憶があります。自然物の造形の細かさに驚きを感じました。


■運搬車

運搬車

運搬車です。
船体を乗せて、陸上で移動させるための台車です。


■付属品


おっさんと、猫と、少女のフィギュアです。
もっと精巧に作れると思っていましたが、こういう小さい人物像はとても難しかったです。今後の課題です。

少女とおっさん

■組み上がり・塗装


全体の部品がそろいましたので、組み上げと塗装にかかります。
工程の時系列とツジツマの合う画像が意外と少なかったので、ペースを上げていきますよ!

組み上げ

全部のパーツが組み上がったところです。

初の塗装

赤い塗料を置いた一筆目です。
本体のメインカラーを何色にするかは、かなり悩みましたが、当時乗っていた車のボディカラーと同じにすることにしました。朱色寄りの赤です。メーターの画像もこの車からとったので、まあこれでいいかと。

色あわせ

太陽光の下、ボンネットの上で、色がそろうように絵の具を調合していきます。
だいたいこんなものでしょう。

てすりの民族的模様

乗員のおっさんの地元の、伝統的な家屋の塗装を転用している、という設定です。あまり洗練されていない感じを表現しようとしました。あくまでイメージですが、地方の北国、といったところでしょうか。

本体完成

ついに本体完成! まだチラ見せです。

運搬車に乗る

まずは運搬車に載せてみます。

石畳に乗る

次は運搬車ごと石畳に載せてみます。
あれ・・・?ちょっとかっこいいかも・・・?
・・・。
ま、まあ、自画自賛もいいところですが、たまにはこういうことがあるのが、ものづくりのいいところですよね。 ・・・よね?

■完成

屋外で

屋外の太陽光下でフルセット撮影。
いやあ、朝日がまぶしいですなあ!

これにて完成です。長かったですね。記事を読むほうもなかなかお疲れかと思いますが、ここまで読んでいただいてありがとうございます!

トリミングなし

冒頭の画像の、トリミングなしバージョンです。

■おまけ

自立モード!

ソリ付き自立モード!!!
ソリがついているとはいえ、背が高すぎですね。作ったやつの設計ミスでしょう。
部品に負担がかかるため、たまにしかやれません。

猫の・・・

猫の後ろがわです。
オスのようです。


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