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森須磨子 しめかざり探訪記

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『しめかざり—新年の願いを結ぶかたち』が大好評の森須磨子さん。年末年始、全国各地へしめかざりを探し求めて旅した記録「しめかざり探訪記」を連載します。
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#お正月

しめかざり探訪記[6]――福岡県北九州市旦過市場の真っ赤な出会い

 今回は、2009年に訪れた福岡県北九州市での「しめかざり探訪」を振り返る。私は12月27日に東京を発ち、福岡県を3日間で巡る旅に出ていた。行程は「能古島〜天神〜直方〜福智〜木屋瀬〜小倉」。最終日の小倉での一日を記してみる。 ■「北九州の台所」へ  12月29日。小倉駅近くのビジネスホテルで目覚め、さっと身支度をし、リュックを背負って出立。やはり南の年末は暖かくて、体が楽だ。ダウンジャケットの上に着ていたゴアテックスのパーカーを脱ぐ。  小倉駅から都市モノレールに乗って

しめかざり探訪記[5]――展覧会「渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり」を振り返る〈後編〉

 前回に続き、東京・生活工房で開催された展覧会「渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり」(2020.11.28〜12.27)を振り返る。今回は第1室と第3室を見ていこう。 【第1室 しめかざり時空探訪】  ここでは、しめかざりの多様性、地域性、歴史、構造などを写真やグラフィックで紹介した。 ↑第1室会場風景(☆) ■しめかざり地図  順路の最初に展示したのが「しめかざり地図」。私の20年に及ぶ調査を日本地図に落とし込んでいる。訪れた場所に印を付け、その土地で撮影したしめかざ

しめかざり探訪記[4]――展覧会「渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり」を振り返る

 noteの更新が滞ってしまった。  言い訳になるが、昨年の11月28日から12月27日までの一ヶ月間、東京・三軒茶屋で「渦巻く智恵 未来の民具 しめかざり」という展覧会を開催していたため、その準備や事後処理に追われていた。  この展覧会では、私の20年に及ぶ「しめかざり探訪」で収集、撮影してきた資料の中から、約100点のしめかざりの実物と、1000点以上の写真を展示した。そのほとんどは私の個人資料だが、実物のうち17点は個人や博物館などからお借りした。また、解説文の執筆や

しめかざり探訪記[3]――島根県飯南町 出雲大社の大しめ縄製作  「大撚り合わせ」行事

■6年ぶりの掛け替え  2018年、初夏のある日のこと。しめかざりの関連会社に勤務するAさんから、出雲大社のしめ縄が6年ぶりに掛け替えられるという情報を得た。あの有名な出雲大社神楽殿の「大しめ縄」だ。全長約13メートル、重さ約5トンで日本最大級。まず私が思ったのは、「そうか、あの巨大なしめ縄は毎年作り替えるわけではないのか」ということ。その準備や労力を考えれば当然なのだが、個人宅のしめかざりを主に見てきた私には新鮮だった。  Aさんによると、その大しめ縄製作の最終工程であ

しめかざり探訪記[2]――山口 一筋ナワではいかない!? 小郡の丸いしめかざり

 今回は2002年12月30日に訪れた山口県小郡町(現在の山口市)の「しめかざり探訪」を振り返る。小郡がまだ新幹線「のぞみ」の停車駅になる前の話である。【前回はこちら】 ■あすは山頭火の地  私にとって、小郡といえば俳人・種田山頭火(たねだ さんとうか1882-1940)。山口県に生まれた山頭火は漂泊の人生を送ったが、晩年に6年間だけ小郡の草庵に暮らした。  私は山頭火の句が好きで句集は事あるごとに読んできたが、この草庵での日々を綴った「其中日記」(ごちゅうにっき)はなぜ

しめかざり探訪記[1]―――鹿児島  「ナンゲンノガホシイノ?」

お正月になると家の内外に掛けられる「しめかざり」。新年の福を授けるトシガミ様をお迎えする標(しるし)とされている。しかし、そのかたちが地域や家によって大きく異なるということは意外と知られていない。私はそんなしめかざりの多様性に魅せられて、この20年ほど日本中を歩いてきた。先々で書いた当時のメモをもとにしながら、「しめかざり探訪記」として振り返ってみたい。 第1回目は17年前の鹿児島から。この頃は私も若く元気だった…。 ■作り手自身による露店  2003年12月29日。午前