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毎夜明けに聞こえる叫び声

今のアパートに引っ越してきてからというもの、早朝になると定期的にいろんな声が近所から聞こえてくる。時刻にしてだいたい朝5時から6時のあいだ。季節によってその時間も若干の変動はあるが、街灯がなくても十分に明るくなった時間帯のこと。暑い季節のように窓を開け放って(もちろん網戸状態にして)寝ているとよく聞こえてくる。タイミングよく目覚めているときもあるし、その声たちによって目が覚めることもある。

少し離れたところから、女性の怒鳴り声が聞こえてくる。それも同じフレーズを繰り返しているような。

つい最近は「勝手に所有している土地に入ってくるんじゃねー!」みたいな言葉が繰り返し聞こえてきた。声にして高齢の女性のようだ。おそらく、認知症を患っている方なのかなと思っている。朝の出来事ではないが、お昼ごろに近所のある塀の高いお宅の前を通ったときにも同じような声がした。在宅介護をされているのだろう。

その方であろう声は週に一度は朝に聞いている気がする。とくに晴れた日など。朝早くに激しいトーンで怒鳴っているように聞こえるが、だからといって近辺が騒然とすることもないし、かたや通報のようなこともない。たぶん周辺で暮らす人たちも慣れているのであろうし、理解をもっているのだろう。

声といえば何も人だけではない。
以前住んでいたところは鶏の鳴き声が毎朝聞こえてきたが、今はカラスの鳴き声をよく耳にする。しかもけっこうな近い距離で。どうやら自分の住むアパートの屋根や向かいのマンションの屋根によく陣取っているようなのだ。

結構その声は響くので起きてしまうのだが、そのまま目を瞑りながら声に意識を向けているとおもしろいことがわかってくる。

「カーカーカー!」と近くにいるカラスが鳴くと、オウム返しのように遠くから「カーカーカー!」と聞こえてくる。しかも、こちらのカラスが3回「カーカーカー!」と鳴けば、レスポンスを返すカラスも「カーカーカー!」と3回鳴き返すのだ。偶然かと思ってずっと聴き続けていると、やっぱり2回ならレスポンスも2回、4回なら4回とちゃんと規則だっている。

そのコール&レスポンスの成り立つ様が人間でいうところの会話をしているようでおもしろい。いったい彼らは何を話しているのだろう。

また、最近は仲間が隣にいたのか明らかに近い距離で、声もひそひそな感じでお互い鳴いているのが聞こえてきた。じゃれてるのか甘えてるのか、猫なで声のような甘いトーンの声が聞こえてくる。「アヘ、アヘ、アヘへへへ」みたいな照れてるのか笑ってるのか、人間みたいな声が聞こえてくるのだった。

繁殖期だったのか、3月から6月にいたるまで2、3匹のカラスがセットでいるところをよく目撃したし、うちも合わせ、周辺の燃えるゴミが荒らされている状態が続いていた。彼らはこの地区でサバイブするためにいろいろ情報交換していたのかもしれない。

さてさて明日の朝もルーチンのようにして誰か彼かの声が聞こえてくるのであろうか。

こちらももう眠いどころか観察モードになってしまっている。

みんな、朝起きたら叫びたくなるもんなのかな。


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