見出し画像

泌尿器科女医のトイレ選び

女手一つで家を建てました。
注文住宅は設備を細かいところまで選んで決めていきますが、ハウスメーカーの
標準になっているものがあります。トイレもその一つで多量に発注するためコストが低くなっているそうです。しかし、泌尿器科医たるものトイレにはこだわりたい。泌尿器科女医のトイレ選びが始まりました。

ハウスメーカーの標準はリクシルのベーシアでした。アメージュ便器の住宅会社向け仕様のようです。タンクと便器が一体型になっています。タンクから便器の蓋にかけてカーブを描くようにつながっていて、かわいいなというのが第一印象でした。タンクとの間の溝の掃除が要らないのも魅力的です。

LIXIL ベーシア

それを踏まえてネットで調べてみると便器はリクシル、TOTO、パナソニックの3社から選ぶ人が多いようで、まずこれらのショールームを予約しました。

パナソニックショールーム訪問

最初に予約が取れたのはパナソニック。パナソニックからはアラウーノシリーズが出ています。名前の通り勝手に洗ってくれるならお掃除楽ちんなのでズボラ代表としてはとても期待して行きました。

駐車場に停めて裏玄関から入るとすぐにトイレがありました。もちろん便器は全てパナソニックのアラウーノです。展示品を見る前に実際に使ってみることにしました。パナソニックの便器は四角くてとても大きく見えました。私が用を足すのには支障はなかったけれど、4歳の娘が座ると落っこちそうで不安になりました。補助便座が乗せられるのかも心配です。

その後、ショールームで担当者の解説を聞きました。便器が陶器ではなく有機ガラス系でできているので汚れに強く、泡で毎回勝手に洗い流してくれるそうです。掃除が苦手な私には魅力的でしたが、しばらく泡が残るとのこと、それだと次に入った人の尿の色や性状がわかりにくいのではないかと泌尿器科的に心配になりました。よく患者さんに尿の色を自分で観察するように指導したり、尿路結石を排石したら拾って成分分析用に持参するように言っているからです。

洗剤は台所用洗剤を使用、ただし柑橘系のものは禁止と説明がありました。家で使っている台所用洗剤はオレンジの香りで、幼少期に実家に置いてあったのはママローヤルやママレモンでした。台所用洗剤には柑橘系のものが多い印象で、それらが禁止ということは結構洗剤の選択肢が狭いんだなあという感想を持ちました。家事代行の人が持参した洗剤を使う場合もあるかもしれないし、流せるお掃除ブラシも使いたい。そして四角いからトイレマットも形状が合いません。トイレマットは敷かない家庭が増えているそうです。確かに頻繁に床を拭く方が衛生的な気がするのでうちも今後はそうしようかなと思いました。

ただ、総合的に考えると、新居へのアラウーノの採用はなしという結論に至りました。

リクシルショールーム訪問

次に訪れたのはリクシルのショールームです。ハウスメーカー標準なので本命です。標準をそのまま採用するとだいぶお得になります。

しかし私には気になることがありました。職場のトイレがINAXなのですが、尿はねがひどいのです。尿が便器の鉢に当たって跳ね返った水滴が便座の上だけでなくその外側までも飛んでいくのが見えるのです。大腿部にも跳ね返りが来ます。ネットの口コミでも気に入ったトイレだったのに遊びに来た彼女から太ももが濡れるとクレームがきたというエピソードが載っているのはリクシルのトイレでした。自宅マンションのTOTOのトイレで排尿しても跳ねないので、職場でだけ私の尿勢が良くなるわけではなく、便器に何か違いがあるはずです。鉢が浅いのかなと思ってそこをショールームでよく観察しようと思いました。カタログには便器の内側の写真が載っていないからです。

案内してくれる方に最初にその相談をすると「なんとリクシルのトイレは!泡が溜まって尿はねを軽減してくれます!」と自信満々で言われました。また泡…尿の性状を分かりにくくする改造が流行っているのか。水溜りに泡が溜まっていたからと言ってそこに直接尿線が到達するのは立位排尿のみのはずです。カタログの写真にはきれいに弧を描いて泡に直撃する尿線が表現されています。尿流測定検査をしたらさぞいいデータが取れるでしょう。男性の立位排尿のときの尿の飛び散りで掃除が大変だという話はよく聞くし、だから家では座って排尿させられていますという話もよく聞きます。泌尿器科的には男性は出にくくて受診する患者さんが多いので本人が出しやすい姿勢で排尿してほしいと思っています。そういう意味では立位の方が出しやすい男性が立位排尿を心置きなくできる設定はすばらしいと思います。座って排尿する場合に陰茎の長さが長い人や下付きの人は便器の鉢の中に先が当たってしまうという悩みもあるそうです。

しかし!我が家は女所帯です。私が言っているのは女性の排尿。女性の尿道は解剖学的に斜め前向きに付いています。便座に逆向きに座らない限り水溜りには直撃しないのでその機能は通用しません。それを指摘しても、何言ってんだこいつという顔をされましたが、なんで案内する方も女性なのに伝わらないんだろう。

気を取り直してまず紹介されたのはタンクレストイレのサティスG。いろんな色があっておしゃれです。でも形がアラウーノのような四角で大きいため子どもが使いにくいかもと思って却下。

サティスSの方は普通に先がやや尖った形状でスペースも取らないしいいなと思いました。蓋を開けて肝心の便器の鉢を見てみると、流れていく穴が中央付近にあるのです。そこに水溜りがあるわけで、これは大便の時の水のお尻への跳ね返りが気になりました。これはリクシルのサイトにも記載されており「おつり」と呼ぶそうですが、避けられないのであらかじめトイレットペーパーを敷いてねと書いてあります。あと心配なのは検便です。健診で便潜血検査の検体を取ってくるように言われるときに渡される検査キットには提出する綿棒と一緒に便器の鉢の中にあらかじめ敷いておく紙が入っていることがあります。この上に排便してそこから検体を採取します。真ん中に水溜りがあるとこれがすぐ水に浸かってしまって検体が取りづらいように思うのです。なんで真ん中に穴作ったのかなあ。

次に紹介されたのはハウスメーカー標準のタンク一体型便器のベーシア/アメージュです。蓋を開けてびっくり。穴は奥側についていたのですが水溜りの形状が大きめの菱形だったのです。サティスSのなだらかに穴に繋がる鉢の形状と全く違っていて大陸棚のような鉢が穴のところで急峻に深くなっています。これは詰まったときのラバーカップのしゅぽしゅぽがハマらないのではないかと思いました。まあでもメーカー側推奨のラバーカップがあるならならいいかなと思って聞いてみると担当者の顔色が変わり「詰まる前提で便器を作っていません!」とのこと。

リクシルさんの言い分は確かにそうなのですが、人生ここぞというときにトイレを詰まらせてきた私には心配なのです。大学受験で泊まったホテルで朝詰まらせてしまったことがありました。母のマンションに帰省した時に詰まらせてしまったときは元旦だったので開いてるホームセンターも少なく、やっと見つけてラバーカップを買ってきたら形状が合わずにまた出かけて別のを買ってきたことがありました。

母はウォシュレットを使えばそんなに紙を使わなくて済むのに、と言いますが私はいまだに幼少期に実家の和式のボットントイレで習った紙の使い方をしています。ウォシュレットは今までに2回使って2回とも膀胱炎になったからです。外来で女性は前から後ろに向けて拭くようにと日々指導しているのに、洗浄水が後ろから前に向かって飛んできたら大腸菌も一緒に飛んできてしまうのでしょう。角度が悪いのかと思ってより後ろ向きに設定すると今度は背中がびしょ濡れになってしまいました。角度設定難しすぎ。毎回全裸になって排便するわけにもいかないので、私はウォシュレットを使わないのです。

膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱では経膣的に膣壁にメッシュを入れる手術をする場合があります。メッシュは人工物なので感染が起きれば取り除く他ありません。術後に病棟でウォシュレットを使った患者さんが膿のような帯下が出るようになり調べると耐性菌感染していてメッシュを摘出し解放創にして毎日数回洗浄を行った症例がありました。当時専門医を取ったばかりだった私は執刀した指導医に病棟の消灯時間前に洗ってから起床後に洗うまでの時間が長すぎるから夜中にも1回洗うようにと指示され、真夜中に病院に戻って患者さんを叩き起こして内診台に乗ってもらって洗っていました。患者さんも大変だったと思います。その後メッシュを使わない術式で再手術して無事軽快退院されました。これらのことから、女性は肛門、膣口、尿道口が非常に近いので注意して使用する必要があると考えています。最近はおしり用の流せるウェットティッシュをトイレットペーパーの上に置いて仕上げ拭きをしています。これで結構スッキリ感がありおすすめです。

私にとってラバーカップを常備しておくことはもし詰まった場合すぐ自分で対応できるという点でひとつの安心材料なのです。帰って調べてみると節水便器でも大丈夫という売り込みの特殊な形状のラバーカップも見つけました。これならいけるかなと思いましたがレビューにはリクシルのトイレに合わなかったという口コミが複数ありました。後でリクシルのサイトでもラバーカップの使い方が載っているのを見つけましたが、ラバーカップに関する懸念がいまいちぬぐえないままとなりました。

TOTOショールーム訪問

最後に訪問したのはTOTOのショールームです。TOTOは尿流測定トイレを作っていて泌尿器科の学会にはいつも機器展示に参加されているので泌尿器科的信頼感があります。

TOTOの一押しはタンクレストイレのネオレストです。タンクレストイレだとタンクに水が溜まるのを待ってなくていいので、トイレを詰まらせないようにいつも2回に分けて流している私にはとても魅力的です。ネオレストの穴はなだらかに鉢から繋がっていて奥側にありました。検便用のシートも手前まで濡らすことなく敷けそうです。洗剤も特に指定はなく、流せるトイレブラシも使えそうでした。

組み合わせ型トイレのピュアレストEXもタンクが丸っこくてかわいらしいので気に入りました。蓋を開けてみると穴は奥側にあるのですが穴の形状が逆三角になっていました。これは…ラバーカップは大丈夫なのだろうか。一旦、1階2階ともネオレストでのお見積りをお願いして帰宅しました。後で調べてみると、その逆三角形の水溜りのトイレでラバーカップの使い方をTOTOが解説している動画にたどり着きました。万が一の時も大丈夫そうです。

トイレ設備カタログ


トイレ選びの決め手

ここまででTOTOが一歩リードしていますが、尿はねの原因がわからない以上決め手に欠ける状態でした。TOTOのショールーム横で入ったトイレでも便座裏は汚れていたからです。

いろんな人が解説しているYoutubeを観ました。そして便器ではなく便座の違いに言及した動画を見つけたのです。TOTOの便座は奥に向かってなだらかに上がっていく形状なのに対し、リクシルの便座は中央に向かって全体的に深くなっていきます。お尻を包み込むような形状です。お尻が大きい人だとお尻の途中で縁が高くなるのでやりにくいかもしれないと思いました。職場のINAXのトイレをじーっと見てもいまいち便座の形の特徴が分かりませんでしたが、子どもがコンビニでリクシル製のトイレを借りた時にすっぽり包み込まれたように見えてこれか!と思いました。確かに外側に向かって高くなっています。大人が座るとこの坂によって大腿は内旋します。この内旋により大陰唇が内側に寄って尿道口を左右から塞いで尿線は周りに当たりながら出てくるために散らばるのではないかなどと考えました。痩せている時は太ももも細くてこの現象が起こらなかったのかも。

中間尿も取りづらそうです。女性の採尿は難しくて、採り方を失敗すると外陰部の周りの情報を拾って膀胱炎ではないのに膀胱炎のような検査結果になってしまう場合が多々あります。ガニ股気味に座ってできれば片手で陰唇を広げて尿線が周りに当たらずにコップに直接向かうような状態で中間尿をとってほしいのです。勝手に内股気味にさせてくる便座はこの体勢が取りづらいのではないでしょうか。アラウーノやサティスGの四角い形だとコップを持つ隙間もあって採尿にはいいかもしれません。

なぜ、メーカーごとの便座のこだわりや、便器ごとの鉢の中の写真はカタログに載せてないんでしょうか。今回のトイレ選びの決め手はそこでした。

TOTOショールーム2回目の訪問

こうして便座の形状を重視して私はTOTOを選ぶことにしました。ハウスメーカーからはリクシルならお安くできると何度も言われましたがもう迷いはありません。TOTOショールームに2回目の訪問をしました。

便器が床から浮いているレストパルも気になっていました。トイレマットを敷かないことにするなら床が掃除しやすい方がいいに決まっています。物を置く棚があるのも魅力的でした。実際見てみるとかなり棚の奥行きが広いことがわかりました。その中にタンクが隠れていますが、トイレットペーパーの12個入りをまるごと収納できるスペースがあります。しかしその分トイレの手前側のスペースが狭くなってしまいました。子どものトイレを手伝うことを考えると手前のスペースは広い方がよさそうです。

結局1階はネオレスト3種の中からネオレストRHに決めました。AHは蓋の存在感がありすぎだったのとDHは便器を洗う除菌水が付いていなかったためです。トイレ選びのブログ記事などをたくさん読む中で、除菌水が付いている1階と付いていない2階で汚れ方が全然違うというレポートがあったのです。ズボラ代表として掃除が楽な方を選びたい。

2階は組み合わせ型のピュアレストEXにして除菌水が出るウォシュレットのアプリコットを付けました。ウォシュレットは上記の理由で要らなかったのですがウォシュレットの機能の一部として便器を洗う除菌水が出るようなので結局付けることになりました。GGもスッキリ見えていいかなと思いましたが除菌水は付いていないとのことでした。

片方を組み合わせ型にしたのは、故障時の心配をしたからというのもあります。組み合わせ型だと故障時に壊れた部分だけ交換すれば済むので全部取り替えるよりはコストカットになるかなと考えました。

便器の色

機種を決めると次は色を選ぶように言われます。トイレは白い物だと思っていましたが、ホワイト以外にアイボリー 、ピンク、グレーがありました。

いや待って。ピンクっぽい血尿が出たんですっていう主訴で受診する無症候性肉眼的血尿の患者がピンクの便器だと自分の尿の異常に気付けなくない?ワイン色まで行くとさすがに気付くだろうけど。普段から尿の濃さを観察して濃かったら努めて水分摂取するようにという指導をよくするけど、便器がアイボリーだと尿比重の違いが分かりにくくならない?泌尿器科医としては便器は尿の性状がわかりやすいものであってほしいのです。

グレーならいけるのか?とも思いましたが、結局スタンダードにホワイトを選びました。リクシルのトイレはホワイト、オフホワイト 、ピンク、ブルーグレーだったのでオフホワイトくらいならありかなあと思います。

リクシルのサティスGはブラックやブラウンがあって目を引きましたが中の鉢の部分はホワイトだったので尿の性状観察はバッチリ問題なしです。パナソニックのアラウーノは便蓋のみカラーバリエーションがあるようです。

ネオレストのモデルチェンジ

トイレ決定から数ヶ月して、ハウスメーカーから、いざ発注しようとしたらネオレストがモデルチェンジしていて型番が変わったようだと連絡を受けました。RHがRSになってその下のグレードはなくなったそうです。どこが変わったのかいまいちわからなかったので検索してみると新しく便座裏を除菌水で洗浄する機能が加わったようです。TOTOショールーム横のトイレで便座裏の汚れが気になったのでこれは朗報。しかしよく読んだら*RS以外、と注意書きがありました。残念。でも品番がRSに変わっても便器の曲線のかわいらしさはそのままだったので変更はしませんでした。

ついに設置

家の建築が進み、ついにトイレが設置されました。
1階は棚付きのレストパルを選ばなかった代わりにトイレの蓋に干渉しない高さで棚を一枚設置してもらいました。ミニ観葉植物や盛り塩とか置く用。タンクレスにした分、個室内の手前のスペースが広くて子どものトイレの世話で一緒に入ってもちゃんとドアを閉められます。


ネオレストRSを採用した1階トイレ

トイレ自体は丸っこくてコロンとかわいい!後ろにライトもつくようです。

丸みを帯びた形状のRS

便器の中の形状は、このように奥に穴があり水溜まりの範囲は広めです。

ネオレストRS便器内


2階はピュアレストEXにアプリコットをつけた組み合わせ型です。

ピュアレストEXを採用した2階トイレ

タンクが楕円形なのが特徴。

楕円形のタンクのピュアレストEX


便器の中の形状はネオレストと大きく異なり、奥の逆三角形の水溜まりのところだけ深くなっています。

ピュアレストEX便器内

1年間使用したレビュー

毎回便器を洗ってくれる除菌水の効果でしょうか、今までの賃貸マンションのときのような便器の汚れがほぼ気になりません。週1回の流せるお掃除ブラシでの掃除だけでこびりつきやさぼったリングも見なくなりました。

人体検知センサーで人が近づくと感知して便器にプレミストを出して汚れをつきにくくします。これが結構感度が良くて2階はトイレの右側が扉で隣が洗面所なので洗面所に行っても反応しています。このプレミスト、アフターミストのおかげでキレイが保てているのでしょう。除菌水おそるべし。

実はお風呂もハウスメーカー標準のリクシルではなくTOTOのサザナにしました。除菌水を使った自動床洗浄がつけられるからです。除菌水バンザイ!

でも便座裏は汚れます。ネオレストの新しい型番だとここも除菌水で洗ってくれるらしいので魅力的です。そっちがよかった。

1階に設置したネオレストは一度も詰まったことはありません。二度に分けて流す時も再度流すボタンを押せるようになるのが早いし、ゴゴーーーっと流れて行くので爽快です。でも子どもはこの音が苦手でいつもわざわざ2階のピュアレストEXまで行っています。ピュアレストEXは流す音が川のせせらぎのような感じで逆に本当に流れたのが心配になるほどです。たまに流れてなくて詰まったかと心配するのですが、もう一度流すと流れて行くのでまだラバーカップの登場機会はありません。

ピュアレストEXは奥の逆三角形の穴に水溜まりがある形状なので事前にペーパーを敷かなくても排便時のおつりが来ません。これはありがたい。ただ手前の鉢の部分の角度が急なのかツルツルっと滑って水溜まりに落ちるので検便の時は要注意です。ネオレストは奥に穴があって鉢からなだらかに穴につながる形状ですが結構手前側から水が溜まっているので事前のペーパー敷きは必須。すぐ水に着地するから結局検便も難しいなと思っていたら、取扱説明書に検便時の水面の下げ方が載っていました。さすがぬかりない!

ネオレストは1階に設置しているので夜中にリビングにいると自動的に洗ってる音が聞こえてきます。寝室のある2階のピュアレストEXのアプリコットは使った後しばらくしてウィーンウィーンと機械音が響くのが夜は気になります。

問題が発生したのは子どもの排尿記録をつけるためにユーリパンを取り付けようとした時です。ユーリパンは便器と便座の間に挟んで排尿量を測れるもので、病院で排尿ケアチームに取り組んでいた時に毎回1回尿量をカップで測るのが難しい高齢女性の排尿記録用に使ったことがありました。今回、子どもの排尿を把握しようと思って使ったのですが、ピュアレストEXには取り付けられませんでした。鉢の手前の部分が浅いので便座が全部下がらなくなるのです。そこで2階のトイレばかり行っている子どもにお願いしてその日だけは1階のネオレストを使ってもらいました。

ユーリパンを設置したネオレストRS

ユーリパンも置けない浅さなら、男性の座位排尿のときの陰茎の先は鉢の中につかないのだろうかと心配になります。

手前が浅い大陸棚みたいになっていて奥側が急に深くなる形状はリクシルのベーシアも同じなので、ユーリパンは置けないかもしれません。

音が激しくて子どもが怖がる以外はネオレストの優勝!

奥深い排泄領域


泌尿器科関連の学会で排尿の際の尿線を画像分析している研究の発表を聴きました。勢いがある尿線と勢いがない尿線、二つに割れる尿線、それぞれ悩みがあります。その研究は男性の解析でしたが、女性の尿線も興味深い。大腿部が濡れる場合と濡れない場合、陰唇周辺に当たってシャワー状に出る場合、斜め横に飛んでいって和式だと足元を濡らしてしまうような場合もあるでしょう。男性以上にいろいろなバリエーションがありそうです。消化器外科も一緒の骨盤底の学会では排便を下から見た画像解析の研究も見たことがあります。

排泄の領域は奥が深いのです。
それぞれ違ういろんな悩みに対応した誰でも快適なトイレ設備の普及が望まれます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?