【ネットショップの開き方】落書きが商品になるまでの実際の道のり
はじめに
ネットショップ「店長 河野陽炎」を設置し、人様にお見せできるレベルに作るまでの実際の道のりを語ります。
一連の経験を通して感じたことは、まず「ネットショップを開きたいから、何を売るか考える」という順序では、おそらく心が折れて投げ出していただろうということ。
もう1つは「ネットショップという形式が必要な理由」がはっきりしてるほど、挫折することなく頑張ることができる、ということ。
「私の作ったオリジナルグッズが欲しいという人に、メール等で個別対応すると、混乱することが分かった」
「商品の数が増えたので一括管理できる場が欲しい」
などがその理由となりえるでしょう。
私は、セミナーや講演を通して
「もし、今ある仕事がすべてなくなり、金庫が空っぽになったとしても、明日からお金を稼ぐ方法を見つける方法を知り、それを実行に移すことができるとわかっていれば、安心して生きていける」
ということを話しています。ネットショップ経営も、そのための方法となるかもしれません。
この記事が、ネットショップ経営を志す人の参考になれば幸いです。
ネットショップ以前 商品の誕生(簡略版)
「ふゆきん」は中学生のころから、サインの代わりに描いていたイラスト。
2018年の5月ごろ、A4のOA用紙に、絵筆とインクで大きくイラストを描き、自宅和室の壁にかけるつもりでした。黒色だけでは寂しい感じがし、スキャナでパソコンに取り込んで、「ペイント3D」で赤色を加えました。
Facebook友達の勧めで、Tシャツにプリントしてくれる業者を探し、初めてのオリジナルTシャツが出来上がったのです。
お願いした業者さん
ふゆきんTシャツは当初、「自分で着る」という思いしかなかったのですが、Facebook友達やヨットの先輩方が少しずつ購入してくださいました。ツイッターに掲載したところ、まったく面識のない方からもご連絡をいただきました。
夏が終わると、オリジナルグッズ第二弾を期待されるようになり、「ふゆうさ」のグッズを作ることにしました。
「ふゆうさ」は、大勢で食事をとる機会があり、紙コップに描く目印として思いついたものです。もとはこんないい加減な絵でした。
ペイント3Dで加工し、次のようなイラストになりました。
あまりにもメルヘンな感じが強いので、シンプルタイプも作成。
こちらも、まずは「自分が着るため」にトレーナーとバッグを作成。
想像より質のよいものが届いたので、ブログやツイッター、Facebookで喜んで友人に見せました。すると、「欲しい」という人が現れました。「ふゆきん」グッズを購入してくださった見ず知らずの方も、ふゆうさグッズを数万円分もまとめ買いしてくださいました。
また「このデザインを、イベントTシャツに使わせてほしい」という方も現れ、Tシャツに合うデザインに直すなど、初めての経験もしました。
ネットショップ以前 個別対応の混乱
「商品が欲しい」というお客様へのメールや対面での対応。
そして、グッズ制作を依頼するためのメールの発信。
ご依頼をいただくたびに、バラバラに対応していると、私の頭やスケジュールが混乱してしまうようになりました。
ふゆきん、ふゆうさのグッズだけでなく、自分が執筆した書籍やデジタルコンテンツなども販売していますので、在庫管理なども煩雑になりつつあります。
これらを一括管理できる場として、「自分で何でも商品を置くことができる倉庫か店舗があればいいのに」と思うようになりました。
とはいえ、この時点では「ネットショップ」の発想には、まだたどり着いていませんでした。
転機 「オリジナルブランドの立ち上げ」の言葉に仕事で出会う
私の本業はライター、そしてセミナー講師です。
「副業を持つ」「起業すること」に関心が高まっている現代、それらの言葉に関する取材や、原稿執筆の依頼もあります。
そのような仕事を通して「将来はオリジナルブランドを立ち上げたい」という考えを持つ人がいることを知りました。服やアクセサリーだけに限らず、食品やサービスなどに至るまで「オリジナルブランド」にこだわり、育てている人がいます。
ブランドの知名度が低い間は、ネットショップなどで販売実績を作り、イベントなどで出店をして、商品のユーザを増やすという方法もあるそうです。
お話を伺ったり、「オリジナルブランドの立ち上げ」に関する情報を集めたりしているうちに「メール対応で混乱している私にも、ネットショップという仕組みはよいかもしれない」と考えるようになりました。
ネットショップ探しでこだわった点
素人でも利用しやすいネットショップシステムは、けっこうたくさんあります。私がこだわった点は、
・「売れる、売れない」より「個別対応での混乱がなくなる」「商品の一括管理ができる」といった悩み解決を重視すること
・服やバッグと、書籍やデジタルコンテンツという異なる商品でも、並べて置くことができること
・ショップのデザインを、簡単に見栄えよくカスタマイズができること
・毎月一定額の利用料金がかかるタイプではなく、売上があったときに販売手数料を支払うタイプであること
結論として「BASE」さんに決めました。 https://thebase.in/
ネットショップ構築でやるべきこと
やるべき作業を列挙すると、次のようなことがあります。
・ショップ全体のレイアウトを選ぶ
・決済方法などを確認する
・ショップの名前を決める
・ヘッダ画像を作成
・ショップに関する説明文を書く
・特定商取引法に関する表示を書く
・商品をカテゴリ分けしお客様が見やすいようにする
・商品画像を登録し商品説明を書く
・ネットショップを宣伝する
簡単にネットショップ構築ができるサービスを選んだ場合でも、これだけの作業が必要です。
「なぜ、ネットショップを作るのか」「どんなネットショップにしたいのか」を明確にしていないと、混乱します。
・自分の好きな商品を並べるショップにしたいのか
・売れるネットショップを作り収益重視の運営がしたいのか
など、自分の方針を固めておきましょう。私は「売れる、売れないより悩みの解決」「自分の持っている商品を陳列し、お客様の利便性を高める場として使う」と決めていました。
ショップ全体のレイアウトを選ぶ
ネットショップのイメージをつかみ、自分のお店のイメージを膨らませるため、たくさんのネットショップを閲覧しました。
徐々にイメージがつかめてきたので、無料で利用できる「テーマ」の中からイメージに近いものを選びました。
決済方法などを確認する
BASEの管理者ページ「ショップ設定」で「決済方法の設定」を行うことができます。
ショップに関する説明や特定商取引法に基づく表示も、簡単に記入できるよう配慮されています。それらの作業は後にします。
ネットショップの名前を決める
私は「ふゆきんとふゆうさの店」にしようと決めていたのですが、後に取りやめる羽目になります。
ヘッダ画像を作成
BASEでは、ヘッダ画像に関しては推奨サイズが設定されていません。自分で好きなサイズのロゴを作成して表示することになります。
他のネットショップをたくさん見て、バランスが良い、好みと感じられるショップのロゴのサイズを測り、参考にしました。結果的に幅1,000ピクセル、高さ461ピクセルのものを作ります。
ペイント3Dで、自分が撮影した写真のなかから、キレイな空の写真を選び、希望のロゴの大きさに切り取ります。
ショップの主役はふゆきんとふゆうさなので、彼らが目立つよう配置します。
次にショップ名を大きく書き込んで完成……のはずが、思わぬ事態が発生します。
「ふゆきんとふゆうさの店」と書き込むと、果てしなくダサいのです。ひらがなが続いて締まりがありません。
考え直すことにして、次の作業に移ります。
ショップに関する説明文を書く
お客様に、ショップの経営理念や経営方針などを説明できるといいですね。
特定商取引法に関する表示を書く
BASEでは、この表示を作成するためのフォームが用意されていますので、空欄を埋めるだけでよく便利です。
ここまでで、ショップ全体の外枠ができました。次は個々の商品をレイアウトしていきます。
商品をカテゴリ分けしお客様が見やすいようにする
私は「ふゆきんの部屋」「ふゆうさの部屋」「起業家向けコンテンツ」「受託販売」の4つのカテゴリを作成しました。
カテゴリは3層まで利用可能なので「ふゆきんの部屋」には、Tシャツやスマホケースなどのサブカテゴリを作ってさらに見やすいよう工夫します。
商品画像を登録し商品説明を書く
当初「商品画像を撮影し、背景をペイント3Dで消してから登録する」という手順を考えていました。下の写真のように。
でも、トートバッグやサコッシュなど、日常生活で使うべきものは、日常の風景のなかにあるほうが、イキイキして見えるような気がしました。そこで、背景画像は消さずに写真を使用することにしました。
商品説明を書く際も、
・「商品が売れること」を重視する説明文にするか
・「自分の好きな商品、思い入れのある商品」ということを強調する説明文にするか
を決めておかなければ、書くべき内容が決まりません。ネットショップの運営目的、運営方針などを明らかにしておきましょう。
再び、ネットショップの名前を決める
決めることができなかったネットショップの名前を、再び考えます。
ショップが実在するとしたら、私はどんなお店にしたいか、どんな店長ライフを送りたいかを想像しました。
お店には、ふゆきんとふゆうさが住んでいて、私は店長という名のお世話係として静かに暮らしている。水の中で静かに過ごすのが好きなふゆきんと、楽しみを見つけ歌いながら暮らすふゆうさの間を、ゆるやかに橋渡ししながら、彼らの食費や日用品費のために、テーブルで原稿を書いている。
そんな自分を想像できました。
ふゆきん、ふゆうさ、そして店長として河野陽炎がいるお店を、ヘッダ画像で表現しようとするうちに「いっそ、店長 河野陽炎を店名にすればよい」と気づいたのです。
ふゆきん、ふゆうさに比べて、河野陽炎という名前を記憶している人は多いでしょうから、SEO対策にもなるでしょう。
ネットショップを宣伝する
ネットショップを開設した旨の告知は、ブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムで行うことにも効果があります。
そのことに加え、紙製のチラシでPRすることも効果があります。私はライターですが、名刺だけを渡して「ブログを読んでね」で終わるのではなく、紙製の業務内容案内も作成して、お会いした人にはお渡ししています。その効果は実際にあります。
ネットショップをせっかく作り上げたので、紙製のチラシも作成することにしました。
お願いした業者
用意されたテンプレートに、写真やコピーをあてはめていく形で作成することもできます。さらに、ワードで作成したチラシを、丸ごと印刷してもらえるという、素人にはうれしい仕組みもあります。価格も、お手頃でうれしいです。
大変長くなりましたが、以上がネットショップ完成と告知までの道のりです。
終わりに ネットショップ作成に挫折しないための大事なポイント
●ネットショップ以外の販売方法も検討し、経験しておく
例:メール等での個別対応、対面販売、委託販売などさまざまな販売法を経験して「ついにネットショップが最も良いとわかった!」のであれば、構築に挫折することはない
●ネットショップで何を実現したいのか明確にする
・収益重視か? 自分の好きなものを集めること重視か?
・他の販売方法で実現できない何かが、ネットショップにはあるのか?
●「1日でショップができる」などのキャッチコピーに惑わされない
1日より2日かけたほうが、2日より1週間かけたほうが、よりよいショップができるのだから「1日たっても終わらない!」とイライラすることはない
●予算を明確にする
商品写真をかっこよく撮ったり、ヘッダ画像の作成をプロに依頼したり、お金をかけることで時間や労力を削減できるというメリットがある。とはいえ資金力に限りのある人もいるので、「ここまで予算をかける」という限界を決めておく。
決まった範囲だけの出費にとどめておけば、開店後もイライラせずに済む。
今後とも「店長 河野陽炎」をよろしくお願いします。
いただいたサポートは、ライター志望、フリーランス志望、地方在住で起業を考える皆さんに向けたセミナー運営費用などに使わせていただきます。