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信頼され、リピートされるフリーランスになるための7つの工夫

はじめに

フリーランスに必要なものは、まず「業務上のスキル」です。
でも、スキルさえあれば生き残っていける、とは限りません。

たとえばライティング・執筆作業、イラストを描く作業などは、特別な免許がなくても行うことができます。企業が「社内のスタッフに担当させる」という方法を選べば、フリーランスを探す、打合せをする、報酬を支払うなどの面倒な手続きは必要ないのです。

にもかかわらず、企業内のスタッフに担当させず、外部の人間に依頼するのはなぜでしょうか?

・執筆やイラストの得意な内部スタッフがいない
・内部スタッフがたくさんの業務を抱えており、時間的に余裕がない
・内部スタッフでもできないことはないが、より高度な完成品を求めている
などの事情があるのです。

「どのフリーランスを選ぼうかな?」と迷っている企業に
「私を選べば、こんなメリットがありますよ」
とアピールできなければ、選ばれるフリーランスにはなれません。

そのための7つの工夫についてお話しましょう。

ポイント1.納期の確認と交渉は初めにする

私はライターですが、Web上で掲げられている「ライター募集」のページや、エージェントから届く「ライター募集」のメールには、「納期厳守してくれる方」を条件として挙げているものが増えています。

そのいっぽうで、すでに取引のあるクライアントからは、
「たとえ1日、2日くらい納期を延長したとしても、あなたにお願いしたいのです」
と言われることもあります。

この違いはどこから来るかを考えましょう。

まず、企業が取引実績のないフリーランスに依頼しなければいけないとき、企業側も緊張しています。どのようなテイストの作品が仕上がってくるかわかりませんし、そもそも「きちんと納品をしてもらえるのか?」という不安も抱えたままです。

「きちんと納品」の1つの目安となるのが「納期を守ってくれるか?」という点です。
この点を何度かクリアしているフリーランスならば、
「この人は、多少の納期の遅れがあっても、最終的な納品は必ずしてもらえる」
という信用が生まれているので、多少の遅れは聞いてもらえるようになります。

現代はスピーディなプロジェクト進行が求められ、しかも1つのプロジェクトに多数のスタッフがかかわっていますので、1人の作業が遅れると、後の工程に多大な影響が生じてしまいます。

選ばれるフリーランスになるには、案件の内容についてよりも、まず
・その案件の納期はいつか
・指定された納期で納品することが可能か? 不可能か?
・納期の交渉の余地はあるか?
などを確認しましょう。

いくら魅力的な案件であっても、納期の面でどうしても引き受けられないなら、早めに断りを入れましょう。無理をして引き受け、「納期に間に合わない」という悪い実績を作ってしまうと、信用を失うだけです。



ポイント2:連絡の取れないタイミングについて積極的に伝える

企業側は外部の人間に依頼することで「報連相がスムーズにいかないかも」という不安を抱えることになります。

とはいえ、フリーランス側も365日24時間、休みなく対応をするのは不可能でしょう。また、冠婚葬祭や映画鑑賞などで携帯電話に出られないこともあるでしょう。

そこで、あらかじめ分かっている「連絡が取れない時間」は積極的に伝えておきましょう。
何らかの用件でメールを送る際に、下記のように伝えておくとよいでしょう。

■次の日時には作業場を空けており、電話対応が難しくなります
〇月○日17時以降、□日終日

なお「なぜ電話やメールでの応対ができないのか?」の事情まで、詳しく伝える必要はないでしょう。他社からの案件を受けている場合など、そのことを簡単に第三者に話すと、信頼を失うことにもなりかねません。
「先約がございます」などの書き方でかまわないでしょう。


ポイント3:企画段階での提出・提案は質よりもスピードと量

企画書・企画案などの提出を求められた際には、その内容を作り込むよりも、できるだけ早く企画書・企画案を提出することを重視します。

ライターの場合、たとえば
「ライフプランニングについての原稿を、1000文字くらいでまとめて欲しいが、タイトルと小見出し(2,3個)を構成案として提出してほしい」
と言われることがあります。
企業側も「構成案を見ないと、ライターがどのような考えで作業を行う変わらない」という不安を抱えているため、早くにライターの考えを知りたいとの思いからです。

ライターとしては「構成案を練り込んで提出したとしても、企業側の考えに合致しなければ、その企画が没になり、時間と労力を費やしただけ」で終わってしまいます。

そのため、
・構成案は内容が薄くてもいいので早めに提出する
・自分の考えを主張するより、企業側がどんな作品を求めているのかを確かめる
・企画案は1本ではなく、2~3本など多めに提出する
このことを重要視しましょう。

企画案の提出をスピーディに行うためには、
・このテーマが与えられた場合、自分ならどのような構成で文章を書くか?
・実際にメディアで人気の高い記事はどのような構成になっているか?
を日ごろからチェックしておくという努力が必要です。



ポイント4:業務実績は最新の状態に更新

フリーランスにとって「既にその業務の実績がある」ことほど、強い武器はありません。
にもかかわらず、フリーランス生活を始めると通常業務が忙しく、また楽しいために、業務実績の整理と更新がおろそかになりがちです。

新規のクライアントには、最新の実績が提出できるようにしましょう。
少なくとも1か月に1度は「自分の実績を整理する」ための時間を取りましょう。この習慣は、過去の自分を振り返り、今後の計画を立てていくためにも役立つでしょう。

実際、駆け出しのころに作り上げた作品を、2年、3年とたってから振り返ると、
「こんな内容で、満足していたの?」
と自分のことが恥ずかしくなる場合すらあります。

業務実績を整理していなかったがゆえに、新規のクライアントに「未熟だった自分」を見せなければならないとしたら?
きっと、自信を失うことにつながるでしょう。

業務実績を整理するための時間を、「業務だ」と考えて、初めから業務時間内に組み込んでおくことが必要です。



ポイント5:あなたのお客様が「本当に欲しいもの」を知る

フリーランスに仕事を依頼する人は、あなたのスキル・作品が欲しいのでしょうか?

いいえ。厳密には違うのです。

「はじめに」で書きましたが、企業内のスタッフだけでプロジェクトを進めることができない事情があるために、外部の人間であるフリーランスに、わざわざ依頼しているのです。
企業が求めているのは「プロジェクトを進める上での問題を解決してくれるフリーランス」です。

企業の抱える問題とは、どのようなものが考えられるでしょうか?
・プロジェクトの期限が迫っているのに、人手が足りない
・時間はあるけれど、高度なスキルを持つ人に依頼して、完成度を高めたい
この2つの場合を比べると、フリーランスが重視しなければいけないポイントも違います。

前者の場合は、
・質よりもスピードを重視して作業をする
・進捗報告をきちんと行い、企業側に安心してもらえるようにする
・作業上の疑問が生じた場合は、話の通じやすい電話を優先する(メール等で後追い確認を行う)

後者の場合は
・企画段階で綿密に話し合いを企業側との方向性の確認をしてから作業に入る
・複数の案件を抱えている編集者・Webディレクターの事情を鑑み、メール等で質問事項をまとめてから送信する、といった「手を煩わせない工夫」をする

企業がなぜフリーランスに依頼しなければならないのか?
「なぜ」の部分をきちんと把握し、それに合わせた対応をすれば、企業側からの信頼が得られやすいのです。



ポイント6:営業活動は「フリーランスを探している人」に

「フリーランスになりたいが、人脈がない」という人は、色々な場所で名刺をばらまいたり、チラシをポスティングしたりすることから始めよう、と考えているかもしれません。
それは、間違いではありません。

ただ、食料品や日用品を売る店がいきなり閉店した場合、今日・明日から生活に困るという人はたくさんいますが、ライターの書く文章や、Webデザイナーの作るWebサイトが、もし明日から作れなくなったとしても、たちまち困るという人は少ないのです。

しかし、少ないながらも「それは困る」という人や企業が存在するのは事実です。
フリーランスは「人材がなくて困っている人や企業を見つけて、売り込む」という考えがそれだけ重要になるのです。

クラウドソーシングなどが注目を集めているのは
「人材がいなくて困っている人が集まっている環境で、フリーランスとしての自分をアピールできる」
というメリットがあるからです。

フリーランスの営業活動は、たとえば次のような方法でより効率よく行うことができます。
・求人情報誌で求人広告を出している企業は人手不足なので、そのような企業に売り込みを行う
・広告・宣伝に関する専門部門を設けていない中小企業の経営者などを対象に、広告コピー、広告デザイン、HP制作について相談に乗ることから始める
・プライベートで出会った、仕事とは何の関係もない人にも「こういう仕事をしています」と、しつこくならない範囲で伝えておき存在をおぼえていてもらう(すぐに宣伝効果が出なかったとしても、存在を記憶してもらうことが今後につながる)


ポイント7:「選ばれない勇気」を持つ

フリーランスが受ける仕事の中には、割に合わないものもあります。
・納期が短い
・無理な修正を頼まれて時間と労力が膨大になる
・納品後になって支払いの条件を変更される
などのむちゃくちゃな仕事に巡り合ってしまったとき、いったん引き受けたものはなかなか契約解除がしづらいかもしれません。
「次の仕事では優遇するから」という言葉に、期待をしてしまう場合もあるでしょう。

しかし、あまりにもむちゃな条件の仕事を引き受けていると、
「ややこしい仕事でも、あの人なら引き受けてくれるだろう」
という甘えが、依頼する企業側には生じます。

フリーランスにとっては、
「選ばれるのは嬉しいが、時間と労力がかかるばかりで、利益がさほどあがらない」
という毎日が待っています。

実際、私もそのような扱いを受け、心身ともに追い詰められて執筆という作業自体がいやになったこと、自分に自信を無くして対人恐怖症のようになったことすらあります。

そのため、「こんな企業には選ばれなくてもいい!」と決断する勇気を持ちましょう。

「選ばれなくてもいい!」という勇気を持つためには、次のようなことが有効です。
・他に、気持ちよく仕事をさせてくれる企業とのパイプを強化する
・民法、下請法などの法的知識をつけ、企業側とのトラブルに立ち向かえるようにする
・自分で新しい仕事の場を切り開いていく。

私はライターで、取引先は出版社やWeb制作会社が多いです。自分でも、新規の取引先を開拓するというと「そのような企業に売り込みをかける」というイメージがありました。

しかし、現代ではデジタルコンテンツを直接販売する方法はあります(このPDFのように)。
他にも一般の消費者の方に向けて「花嫁の手紙の代筆」「弔辞の代筆」をする人や、一般企業で社内報を作成するといった仕事も、探せばあるものです。


おわりに

私は人脈ゼロからフリーランス生活をスタートし、また必要に迫られて「起業」という形をとったため、起業ノウハウなども身に着けてはいませんでした。
そんな私が、非常に高いリピート率を保ち、継続して仕事をいただけるようになった理由は、決して「文章の質」の問題だけではないと、思うことが増えました。

私自身の経験を通して身に着けた「選ばれる」ためのポイントを、今回は7つにまとめ、皆さんにお送りいたしました。

せっかくの、皆さんの高いスキルをもっと多くの人に評価してもらえるよう、心よりお祈りいたします。そのために、私の7つのポイントがお役に立てるなら、これほど嬉しいことはありません。


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