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リモート漫才の難しさ

5月に入りまして、Zoomなどを利用したネタ番組が流れてくるようになりました。有吉の壁とか、かみひとえとか。ネタパレもリモート形式で新規ネタに戻るっぽい。

ソーシャルディスタンスが叫ばれている現状、芸人さんたちのネタをなんとかお届けしたい!という気持ちがひしひしと伝わってきて、ネタ番組大好き人間としては非常にありがたいことでございます。なにせ、漫才やコントは、どうしても相方の呼吸を感じないとやりにくいものですしね。

とはいえ、まだまだリモート漫才・リモートコントの世界は黎明期。トラブルなど多発する世界でございます。そこで、現段階で起きている【リモート漫才におけるトラブルとその解決方法】を勝手に考えてしまおうという、リアルタイムの記録。

これが1週間後には解決されているかもしれないのが、令和の笑いとリモートの世界かもしれませんが。

0)ケーススタディ:5/12 STAY HOME 寄席

とりあえずわかりやすい&公式でということで、ヨシモト∞ホールチャンネルから引用を。動画を見てもらうとわかりますが「∞ホール主催で初めての遠隔漫才」のライブ映像です。

1時間あるので、全部見るのはしんどいかもしれません。難しさと問題点が一番多かったのは(よりによって)40:30からのすゑひろがりずなんですが、実は1本目のインディアンスから起きているので、時間のある方は通しで見ていただけると幸いです。

ここからは、動画視聴済前提で書いていきますので、ネタバレ不可な方はお引き返しいただけますと幸いです。

1)立ち位置が入れ替わる

画面の右側左側、どちらに配置されるのかはZoomの気まぐれによるものという問題があります。というか、ライブ版だと人によって配置位置が入れ替わってるケースもあるっぽい。

漫才というのは普段立ち位置が決まっているものですから、視聴者側から見て立ち位置が逆になっている状態というものは見てて気持ち悪い。演者もいつもとボケツッコミの仕草を左右反転にしないといけないので、やりにくいことこの上ない。

そして、演者側の問題として、配信画面を見ながらやると、立ち位置がどちらなのかわからなくなるっぽい。そのせいで、相方じゃない方を向いて演技しがちになる。二人組漫才ならまだしも、3人組漫才とか、コントとかはもっとシビアになりがち。

立ち位置の問題については、ライブとしてはそういうものと割り切るしかない。もしくはZoom以外の配信システムで、かつ表示位置をホスト側で指定できるものをつかうくらいしかないのが難しいところ。Zoomが想定していた会議とかだとそこまで並び位置は気にしなくていいもんなあ。

(と言ってたら、「会議時に左上から順に役職順に配置しないと一部のお偉いさんが怒り出す」という地獄絵図を聞いたので、この日本的思考を解消するなにかはないかなあと思うなど)

ちなみに、TVでのリモート漫才などは、なんらかのシステムを用いて調整しているらしく、大体立ち位置はいつもどおりになっています。少なくともこれまで見たものは(演者が左右逆と勘違いしてるケースはある)。

2)遅延問題

遅延が問題になっているところは大きく2つに分かれてまして。

a:演者同士の声や映像の遅延
b:配信映像と音声のズレ

ab共通の原因として「演者の撮影環境」と「Zoomシステムの問題」に分けられます。

まず、演者の自宅のネット環境。みんながみんな光回線2ギガとは思えないし。流石にADSLとかはないと思うけど、逆にモバイル使い放題系の環境しかない人もいそうなんだよなあ。今どきは。

次にワイヤレスヘッドセットを使う場合。これもズレる。しかも、Bluetoothは距離は離れると途切れる上に、モノによっては指向性まである。動きのあるネタだからといって調整もせずの導入すると、遅延どころか音声がブツ切れになる確率が上がるという。

さらに、一部のスマホ・PCの処理速度の遅さももたつきや音飛びに繋がります。皆さんスマホでZoomやってるっぽいのですが(Wifiあるならタブレットの方が相方見やすいと思うんだけど…?)、全員が全員、最新のスマホじゃないしねえ…人によっては何年も同じのパターンありますし…。

最後に、Zoom自体の遅延。1-2秒遅れがちなんですよね……。しかも割とランダム性が強い。調子良い時はズレずにいけるんだけど。

このズレ問題は、完璧に解消させる方法はないと思うのです。全く遅延せずできる配信もあるでしょうが、割と運要素が強すぎまして。

ちなみに、アーカイブだとほとんど出てないようなのですが、ライブ配信中は音声と映像のズレが非常に大きかったです…私の環境では。これは我が家のネットワークの問題なのか、ライブ配信システムのどこか(多分YouTube側)が重いのか。どちらなんだろうか。

3)ネタのセレクト

ズレ問題があるので、声を合わせるネタは非常に不利です。合わせるのすごく難しい。予め遅延がどのくらいあるか測った上で、相方の声の前に発声する必要もあるかもしれない。

というわけで、歌ネタ、ダンスネタは難易度が一気に上がります。デニスのネタも割と厳しい。すゑひろがりずに至っては、なんでそのネタをしたんだwもっと動きの少ないネタあるだろw(いや、このネタ好きなんですけどね…完璧な状態を知ってるからこそ、ふざけてるだけにしか見えないズレっぷりがおかしくてたまらなかったのですが)。

逆に普段は動きの演技があるはずのコントを、ほぼ動かない形に直して演じた男性ブランコのコントは秀逸です。あれは上手いなあ。

4)ヘッドセットと音量

これ、南條さんが特にひどい。多分感度の良いBluetoothイヤホンマイク使ってると思うのですが、元々の発声がアタック強めなのにさらに舞台の発声でやるもんだから、音割れが酷いのなんの。そして三島さんのマイク音量が控えめだったのもあってそれはそれは酷い状態にw

TVのピンマイクも、音声さんが演者ごとに音量を調整しているからこそちょうど良く聞こえるわけです。それはお家から配信であっても同じこと。マイクの音量調整は必要不可欠です。ただ、それを演者さんができるかというと難しいし、みんなてんでばらばらヘッドセット・イヤホンマイク使っているので、コンビ間の調整も難しいかもしれない。

この辺、一応Zoom自体に自動調整機能は付いているのですが、一人だけマイク音量が大きすぎるとそれに引きずられて他の人の声が小さすぎになることがあるのがたまに傷。南條さんの音割れはこの辺が完全にダメな方ダメな方に行った結果な気がするのです。

(ただ、あのワイヤレスイヤホン使っている「すゑひろがりず局番」の南條さん音声は、不調率高い感じがするのよな…イヤホン初期不良なのか、調整問題なのか)

5)トラブル発生時とアドリブ能力

リモートならではのトラブルといえば、突然ネット回線が切れたりして画面から消えちゃうとか。音が聞こえなくなるとか。こういうトラブル発生は実際の舞台で起きることはまずないハプニングです。

という時に、演者はどう切り抜けるか。

これ、本当に人によってパターンが違うし、正解はないのが難しいところです。今回の場合は、ネタ挨拶直後に南條さんが切断されてしまい、画面から消えてしまうというハプニングが。無言で慌てて画面操作しまくる三島さんと、慌ててフォロー(ガヤ入れ)入ったデニス・行雄ちゃんとインディアンス・たぶっちゃん。劇場でもガヤ要員は強い。

(今回のメンバーで平場ガヤ要員は誰かと言うと、行雄ちゃんとたぶっちゃんと南條さんなのよな……三島さん、基本相方に任せておけばなんとかなると踏んでるから余計焦るわな)

それ以外にも小さなトラブルはいくつかあって、出演コンビの接続がうまくいかなかったり(オズワルドとカラタチ)、その際に別の出演者の名前だけがテロップのように表示されたり。

(これはZoomの仕様上の問題。映像切断時は名前だけorアイコンのみがその人の枠に表示されるのと、その時喋ってる人に画面フレームが自動に行ってしまう仕組み上音声ミュート忘れるとこういうことが起きる)。

この手のトラブルをどう笑いにつなげるか。こういうトラブルはあると分かった上でどう動くか。この辺のアドリブ能力も試されそうだなあと思います。アドリブ要求されるのは普通に劇場でもあるんですけどね……。

新しい「舞台のカタチ」

解決せねばならぬ問題もありますが(特にマイク問題な)、これはもう今までの舞台とは異なる新しい舞台だと思ってやるのが良い気がするのです。行雄ちゃんの背景遊びとか、Zoom機能だからこそですし。Zoomや配信ゆえに起こるトラブルを逆手にとったアドリブとか、今しかできないですしね。

制約があるのでできるネタも限られます。むしろリモート用にネタを書き下ろして叩く(仕上げていく)のもアリかもしれない(その場で反応をもらえないので叩きにくいでしょうが)。ゆるいしゃべくり漫才の方が見やすいという意味で有利なのかなあ。

グダグダであっても面白ければありな私の感想メモ的なものは以上です。

…そういえば解決方法はほとんど書いてないな……すみません。無理だったんだ!!

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