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グループワーク完全対策ロードマップ【都庁新方式】

この文書は2021年度入都職員が東京都職員I類B採用試験(新方式)を受験した記録であると共に、独断と偏見に基づいた非公式ロードマップである。ロードマップとは目標のための進行計画である。目標とはもちろん、都庁最終合格である。なお、この文書に作成にあたり都から配布された資料、公開された情報及び関連書籍等を活用している。現時点で公開していないものや、受験当時の情報をもとにしているため、この文書はあくまでたたき台としての活用を推奨する。皆が公務員としての働き方の解釈を拡張し、自身の生業とするために活用してもらいたい。そして、筆者自身は現在都職員として従事し、日々やりがいのある仕事につけている事に感謝すると共に、全ての都庁志望者にこの文書を捧ぐ。

1.GW試験概要を知る

東京都1類B行政新方式のグループワーク(以下 GWとする)試験とは3次試験で実施している試験になります。

1次試験・・・教養試験及びプレゼンテーションシート作成試験
2次試験・・・口述試験(プレゼンテーション及び人物についての個人面談)
3次試験・・・口述試験(GW及び人物についての個人面談)

新方式の倍率は年度毎の変動が激しいのですが、新方式設置初年度の平成25年は17.5倍、続く平成26年は18倍、平成27年は11倍と高倍率となっていますが、ここ数年では6~8倍程度で安定しており、そこまで水物試験であるとも言えない状況です。令和2年は業務効率化に向けた採用人数の大幅減少が話題となりましたが、新型コロナウイルスの影響で採用人数も例年と同程度に戻りました。昨年度令和3年については、東京2020大会の終了をもってオリパラ局が解体され職員が各局に再配備されるなども影響し、採用人数がかなり絞られる激動の年でした。

例年の人数の絞り方としては採用人数に対して1次試験で約3倍、2次試験で約2倍、3次試験で約1.5倍に絞るようなイメージです。(昨年度はコロナ禍で接触機会や会話を避ける傾向が強く、一次試験でかなりの人数が絞られています。筆記試験で大部分絞って、あとは例年の比率で採用を行なっています。)採用募集に対して実際の採用人数は1.2~1.5倍ほど多く採用されるため、GWの試験においては半分以上くらいの成績を目指すイメージで良いと思います。(もちろん東京都の採点方式は合算なので筆記、プレゼン、2次口試験の成績によっては変動しますが、あくまで平均としてのイメージとして半分以上を目指すといった形です)。

「あと合格まで半分かあ、これなら最終合格できそうだな」と思っている方へ。それ、みんな思っています。普通に落ちるよ。

2.課題の形式を見る

課題の形式としては決まっていて、以下の通りになっています。

・あなたは〇〇(都の課題)を解決するための、〇〇(課題の解決)のためのプロジェクトチームの一員となる。
・上記前文において都が既に行っている政策について触れる場合と触れない場合の2種類のパターンがある。
・既に行っている政策をさらに推進する取組、課題を解決する取組に関してチーム内で議論する。
・議論した内容を職場の上司に説明するための必要なポイントをホワイトボードにまとめる。
・(準備したホワイトボードの内容に沿って、代表者が発表を行う)


3.GW対策を考える

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GW対策①:役割分担

役割分担は絶対決めなければいけないものではありません。上手く進行していれば役割は不要ですし、役割をきめてしまうことで、発言が偏ることもあります。
しかし、責任が伴うと、行動や発言のハードルが下がるのと、初対面の受験生同士では、決まった型がないので、スムーズな議論のために設定する場合が多いと思います。役割分担は以下のようなものが多いです。

・進行
・時間管理
・書記

進行はディスカッションの進行役です。ファシリテーターともいいます。会議の目的である合意形成のために、議論をまとめたり、意見を促したり、話をしやすい雰囲気作りまで行う役割。時間管理(タイムキーパー)は時間管理をするひとです。決まった時間で議論し、結論を出す上でタイムマネジメントは必須です。なんとなく仕事をした感があるので、気軽にやりがちですが、議論が白熱して時間を忘れることのないように気をつけてください。書記は議論で何を話したのか、どんな議論をしたのかを記録し、議論の成果として発表する上でも重要な役割です。ディスカッションではメモを取りながら、適当なアウトプットが求められます。これらの役割のある人の最大のミッションは議論をうまく進めることです。それ以外のメンバーはアイデアや、論理的な意見を端的に話していき、議論を活発に行う責任があります。     

GW対策②:合格するための意識

GWにおいて、合格するために持つべき意識は以下の通りです。むしろ対策をする必要はなく、以下の意識を持ってさえすれば合格する確率はかなり上がると思います。

・目的は合意形成
・自己アピール
・メンバーを合格させる

GWの最終目的は合意形成です。公務員試験におけるGWでは個人の評価だけが採点されるわけではありません。チームとしてどんな成果を残すか。チームにどんな形で貢献するのか。他の人の意見も上手く活用し、活発な議論をすることで、1人以上の成果をだせるか。などです。ディスカッションにおいては様々な意見があり、自分の意見と相手の意見が違うなんてことはよくあることです。自分の意見を強く主張するのも大切ですが、絶対的に答えがひとつでないものにおいては、自分の意見が理解されないようであれば、他の人の意見(完全に的外れなものはダメですが)に乗っかることで、スムーズな進行をするのも1つの手だと思いましょう。市役所で住民はこう言っているけど、これは完全に間違いだ。絶対こっちの方がいいのに、あの人の意見は価値がない。なんて人は扱いづらそうですよね。
GW中に評価をされている以上は、自己アピールは必要です。議論の中で説得力のある意見を言うためには「実体験を入れること」がおすすめです。GWで出される問題は、絶対的な正解がないものです。そんな時に、実体験が大事になります。正解がないからこそ、体験を元にした意見というのは一番説得力があるものです。GWではメンバー合格させるという意識を持ちましょう。GWにおいては他のメンバーへの気遣いが評価を大きく分けます。「あまり話に入っていないAさんに意見を聞いてみよう。」「Bさんは主張が激しくて強調性がないかも・・・内容を整理しつつほかの意見も取り入れたいな。」「Cさんの話の論理が上手く伝わらないな・・・話が逸れてきたから、要点を整理して方向修正しよう。」このように、他の人やチーム全体の流れが上手くいくように自分ができることを考えることが自分の評価にもつながるということです。

4.GWを実行する

具体的なGWの進行には以下の流れがおすすめです。

具体的な進め方【STEP1:ロジカルシンキング

令和2年度試験問題を見てみましょう。

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問題文を見た段階で、「都の取組み」「議題」「発表方法(定型)」に分解します。(これは問題文を見て0.5秒で行なってください。)都の取組みについて、「東京都自転車活用推進計画」というものがあるので、自分で知っていれば周りの知らない人に説明してあげてください。知らなければ知っている人を探して、教えてもらいましょう。

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次に議題について考えていきますが、用語定義と要素分解から始めましょう。
用語定義とは、問題文に記載のある言葉についてわからないものがないように、メンバーで共有することです。さっと見るだけで「新しい日常」「交通体系」「重要な役割」など明確でないものが挙げられます。なんとなくわかりそうで、なんとなくわからない言葉については、メンバーで統一しておきましょう。「新しい日常ってテレワークのことだよね?」「違うんじゃない?コロナ禍で人との接触を避ける生活様式のことでしょ」「じゃあそれで」みたいにサクッと統一しましょう。
要素分解とは、要素を細分化して問題の原因を突き止める手法です。原因は何か?を細分化して、それぞれを探る。このように前提条件を、チームで統一してから話し始めるので、筋の通った内容にすることができます。もしもGW開始と共に、意見を言いたい人から言うなんてことをすると、発言したい人や声の大きいひとが目立つだけの再現性のない会議になります。会議は大喜利大会ではありません。具体的に見ていくと、自転車が重要な役割を果たすためには、「自転車利用者を増やすこと×その他の交通手段利用者を減らす」「自転車利用者の割合を増やす×職員数を増やす」「安全性を高める」「利便性を高める」「公共性を高める」など、要素を分解します。その上で、利用者人数を増やすことを目標にすれば、「自転車利用者の割合を増やす×職員数を増やす」が一番現実的だよね。職員数は勝手に増やせないので、自転車利用者の割合を増やすためにどうすべきかな?のような議論をメンバーにしてもらいます。

具体的な進め方【STEP2:ワーク】

次に議論へ進んでいきます。ブレインストーミングと検証の順で行いましょう。ブレインストーミングはメンバーに意見を言ってもらう方法です。特に順番を決めずに好きな順でも良いですし、時計回りで順番でも良いと思います。いろんな人の意見を聞く中で、話を振ったり、聞く姿勢を見せたりアピールする時間でもあります。もちろん自分の鋭い意見を発揮することも大事です。
検証はメンバーからでた意見に対して、何が効果的なものか検証することです。より影響があるものや、費用対効果が高いものなど評価項目はたくさんありますが、さまざまな意見の中で何が優れているのかを検証することは必須です。

具体的な進め方【STEP3:プレゼンテーション】

発表は「結論→理由→具体例」でシンプルに行いましょう。私は発表の質は正直どうでも良いと思っていて、良い取組みでなくても問題ないと考えています。ただし、それでも伝える上では、わかりやすいものに越したことはありません。話し合った末に一番良いと思った取り組みは〇〇です。なぜなら、重要な役割をになるためには〇〇が必要だからです。具体的に言うと〇〇を行います。実際にこのような効果を挙げる実績があるものです。など。この話の順番で、内容を少し加えて話せばオーケーです。

5.GW後面接に備える

試験は午前と午後に分かれていますが、私は午前中だったので、午前中の場合の試験スケジュールを紹介します。

8:45…集合、説明
9:00…自由
9:30…再集合、説明
9:40…GD会場移動、説明
9:45…GD開始
10:35…GD終了、説明、面接時間発表
10:40…自由
11:55…再集合、移動(20分区切り)
12:05…面接開始
12:35…面接終了、解散

事前に押さえておきたいポイントを紹介します。

GW後準備①:優秀なメンバーと過ごす

これは完全なアドバイスですが、面接前の自由時間は”GDで優秀だと思った人と外に出る”ことをおすすめします。なぜなら、もちろんリフレッシュという意味合いもありますが、面接試験でGDの振り返り、フィードバックを行うためです。優秀なひとの意見をこの時間で聞いておくことで、自分の感覚と差があったのであればすり合わせる時間に使いましょう。

GW後準備②:1人でGW振り返りをしよう

優秀な人と振り返りを行った後は、自分の言葉で話せる様な準備をしましょう。
面接準備で志望動機や自己PRは準備できるのですが、GDの内容に関しては当日の試験直前しか対策する時間がありません。GDの時間を振り返りながら、良かった点や悪かった点を紙に書き出したり、自分の動きや発言を思い出す時間を作りましょう。ぶっつけ本番で喋れる人は問題ないのですが、スムーズに話すために頭を整理する時間が必要です。面接では1/3,1/2程度はGD関係の質問がくるので、最後の最後まで準備を怠らない方が良いです。

GW失敗例(私は大失敗しました)

・取組を複数挙げただけのアイデア大会
・明確でない取組内容

GW失敗例①:取組を複数挙げただけのアイデア大会

グループワークの流れとして、各自でアイデアを考える→グループで共有するという流れの上で、まとめ・発表においても、その各自のアイデアを羅列しただけになっている場合です。
各自のアイデアを羅列するだけであれば討論する必要はないので、あくまでチームの意見をまとめる必要があります。また、意見や取り組みが複数に渡ってしまうと、「議論が深められない」ですし、「意見として面白くない」ものになります。意見・取り組みに関しては1~3程度に絞るのが良いと考えます。
意見を絞るためには、各自で考える前に、「何が課題でどんなことを改善する必要があるのか」という課題の定義をしっかりすることが必要です。課題やゴールが明確になっていないと、行き着く先もバラバラになってしまいます。

GW失敗例②:明確でない取組内容

議論が深められない場合、取り組みの中で明確に定義できていないものが多くなってしまいます。たとえば「成功事例」「満足度が高い」「インターネットを活用する」「プラットフォームを作成する」などです。一見、言葉としてはかっこいいのですが、全然明確ではありません。成功事例とは何を持って成功とするのか?満足度とは何を基準として満足とするのか?インターネットやプラットフォームという広すぎる定義のことばでは具体性が見えないので、何をするためにそれぞれを使う必要があるのか?などは明確に議論しないといけません。

個人がどれだけ頑張っても、グループワークが失敗してしまうことがあります。その場合、面接でどれだけ頑張っても挽回は厳しいのでしょうか?実際には、グループワークの出来は試験に大きく影響しないと思います。なぜならば、グループによって出題のテーマが異なる場合、難易度が統一されていません。よって、グループワークの成果を評価することはないと考えています。しかし、うまくいかなかったグループワークについてどう思っているのかが、グループワーク後の面接試験で重要になってきます。グループワークが失敗だったとしても、何がいけなかったのかという視点をもって、面接試験で挽回すればオーケーです。私は最も重要なポイントとして、以下の評価点が重要だと考えています。

・自身の発言や行動の意図を説明できるか
・自身の役割を把握しているか
・内容を正しく評価できているか

GW後面接①:自身の発言や行動の意図を説明できるか

グループワークにおいて、どんな発言をしたか、どんな行動をしたかを面接官は見ています。時間内で、気になる発言や変わった行動をとった場合、「どうしてのようなことをしたのか?」というのはどうしても気になるものです。
そして、質問された時に、発言に論理性があることや、行動に意図があることを説明できるかということが重要です。意味のわからないことを言ってはいけませんし、意味のない行動をしてはいけません。
私が実際に質問された内容ですが、「発言が被ったときに、あなたは譲りましたね?どうして譲ったのでしょうか?何が言いたかったのでしょうか?」という質問を受けました。
・その時に納得できる説明をすること
・意図のある行動だったと説明すること

この2つが重要です。

GW後面接②:自身の役割を把握しているか

GWで見られているのが、チームの中でその人がどういう動きをしているか?という視点です。闇雲に発言をすれば良いのではありません。チームとしてそれぞれ何が役割なのかを意識しながら、発言していかないといけません。フィードバックでもある、GW後の面接ではほぼ確実に聞かれる質問があります。それは「このチームにおけるあなたの役割はなんですか?」というものです。もちろん、書記やタイムキーパーなどの役割をやっていたならそれを言えば良いです。(そもそもわかっているから質問されないかもしれませんが)その役割をいう時に注意したいのが、「周りの状況をみて決めたこと」「どういう意識で取り組んだか」の2点です。役割というのは自分がやりたいものをやるのではありません。必要な役割が何かを考えて、意識的に取り組むのが役割の意義です。

GW後面接③:内容を正しく評価できているか

またまたよくある質問ですが、「今回のGWは何点でしたか?」というものがあります。ここで、めちゃくちゃ悪かったのに高得点をつけたり、めちゃめちゃ良かったのに低い点数をつけてしまうと、「客観的に評価ができないひと」になってしまいます。自分である程度、GWのイメージができていて、良し悪しを判断できるようにしたいものですが、なかなか難しいところもあると思います。

そんな方におすすめなのが、「評価60点+良かった点+悪かった点」を言うことです。大当たりもせず、大ハズレもしない言い方になります。平均点の60点をつけることと、良かったところ、悪かったところを言えば、ある程度は客観的かつ冷静にチーム全体を見ていると判断してくれると思います。

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おわり。

最後になりますが、私はGW試験こそが、もっとも仕事の遂行能力を測ることのできる試験であると確信しています。筆記試験は暗記するかどうか。やればできるものです。ただし、勉強ができるのと仕事ができるのは違います。勉強ができる人よりも、GW(会議など)で活躍するひとが増えた方が、都民サービスは向上すると思っています。新方式の採用枠が増えていくべきだと考えていますし、一般方式は減るべきだと考えています。このnoteは私のGW対策について簡潔に書き残すつもりでしたが、7,000字程のボリュームになってしまいました。このnoteを利用して頂ければ、個人的には大変嬉しいですが、noteの内容は全て嘘かもしれません。疑ってください。他人の意見はゴミです。しかし、ゴミの中から何を拾うかはあなたで決めてください。自分で考えて決めてください。拾ったゴミの1つに、このnoteがあれば嬉しいです。ぜひ都庁で会いましょう。


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