コロナで考えさせられたこと
経営コンサルタントで多くの人間学の著書を残された船井幸雄氏は、「この世に起こることはすべて必然、必要である。」とおっしゃっていました。
では、今年、世界中に新型コロナウィルス感染症が広がって、わたくしたちの行動が大きく変わらざるを得なくなった理由は何でしょうか?
わたくしなりにそれを考えてみました。
1. 地球環境問題への強制対応
地球環境問題のなかでやはりもっとも大きな問題は温暖化ではないかと思います。
二酸化炭素の排出量を減らさなければ、年々、平均気温は上昇し、それらが異常気象の大きな原因になっているといわれています。
わたくしの小さい頃では考えられなかった、夏の異常な猛暑は健康を害するまでに至っています。
また、毎年、日本のどこかで大雨による水害などの特別警報が出るようになりました。
そうしたなかで、今年になってコロナが世界中にまん延し、世界各国の人々が移動制限になるなか、海外との航空需要が激減。
全日空や日本航空も大幅な減益で報酬カットのみならず、ビジネスモデルそのものも変えていくと、先日、全日空の社長が記者会見で発表されていました。
飛行機は大量の二酸化炭素を排出します。
航空業界の方には申し訳ありませんが、多くの飛行機が飛ばなくなったのは地球環境の問題からすれば歓迎すべきことかも知れません。
さらに、2020年は世界各国が大幅な経済減速となり、IMFによる世界のGDPは今年はマイナス4.4パーセントという数値がこの10月に発表されました。
これまでの経済活動と地球環境の問題はリンクしているように思います。
エネルギーを大量に消費するような経済活動からは、一日も早く脱却しなければならないのではないでしょうか。
今年、日本でも大幅に取り入れられたテレワーク、そしてオンライン会議や授業等、人の移動や一同に会することなく仕事や勉強ができることを多くの人が実感しました。
この流れはコロナが収束に向かっても変わることはないように思います。
エネルギーの消費をできるだけ抑え、より生産性をあげていくことが急務であり、それは可能であることを体験させられた年ではなかったかと思います。
2. 西洋文明から東洋文明の時代へ
歴史学者の村井節(みさお)氏は、人類文明が東西の二つの文明に分かれて、800年ごとにその盛衰が交代することを史実により提唱された方ですが、その村山先生の説にしたがえば、西暦2000年くらいから東洋の文明が段々と盛んとなり、反対に西洋の文明が衰退していくことになります。
中国が改革開放で力を付け、いまでは米国と覇権を争うくらいにまで成長発展しています。
インドや東南アジアの各国も経済的な成長は著しいです。
日本も東洋の国には違いありませんが、いまは成長が頭打ちとなっているものの、今後さらなる深化発展を期待したいところです。
さて、いま欧米各国はコロナの第2派の広がりがとても深刻になっている状況です。
それに較べて東洋の国々は比較的感染者の増加は落ち着いているか、中国のようにほとんど新規感染者はいない状況になっています。
ただ、インドは感染者が急増していて例外となっています。
英科学誌ネイチャー(Nature)電子版に面白い記事が掲載されました。
「約6万年前にヒトゲノムに挿入されたネアンデルタール人(Neanderthal)の遺伝子の断片が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクを高めることが分かったとする研究報告が発表された。ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子コードを保有する人が新型コロナに感染すると、人工呼吸器が必要となる可能性が3倍高くなるという。・・・」
そして、
「この研究では、ネアンデルタール人の遺伝子断片に伴うリスクが地球上に均等に分布しているわけではないことも判明した。この遺伝子断片を保有する人の割合は、欧州では約16%なのに対し、南アジアでは約50%に上り、バングラデシュでは63%と最も高かった。また、東アジアとアフリカでは、保有者がほとんどいなかった。」
https://www.afpbb.com/articles/-/3307571 より引用
村山先生の東西の文明の盛衰論は、わたくしは信憑性が高いと思っています。
2000年くらいより西洋から東洋への流れがはじまり、今年、2020年にコロナによりそれが一段と顕著になっていくのではないかとさえ思っています。
ただ同じ東洋人とはいえ、いまの日本人と中国人とではかなり考え方や価値観は違うように思いますが、元来、中国もシルクロードで世界的に栄えた唐の時代は異民族に寛容で、仏教も取れ入れて日本からも空海や最澄が遣唐使として派遣されたくらいです。
3. 世界のお手本に
日本人は、マスク着用、手洗いの徹底、三密を避ける、・・・、など集団での生活に慣れているので、このような不自由をそんなに抵抗なく徹底することができていると思います。
それに較べて欧米の人たちは個人主義と自由を何よりも尊重していますので、なかなか日本人のようにはいかないようです。
それが現実となって、いまの欧米で感染者数が激増しているように思います。
しかし、わたくしたち日本人も行動に制限がかかって、行きたいところに行けなかったり、会いたい人に会えなかったりしています。
そんな不自由な生活が半年くらい続きましたが、いまではボチボチとGO TOトラベルなどで旅行に行く人も増え、外食も家族中心に出かける機会が増えつつあります。
爆発的な感染者数を抑えつつ経済を元に戻していくのは、日本や中国などはその模範となるような国になると思います。
中国は政府の強権的なロックダウンによって完全封じ込めに成功したのですが、日本はあくまでお願いベースでコロナの第2派の抑制に成功しているように思います。
いずれがいいかは後世の人が検証するでしょうが、わたくし個人としては日本の緩やかなスタイルのほうがよいと思っています。
わたくしは日本人の美徳として、「(周囲の人への)気遣い」があると思っています。
気配りといってもいいでしょう。
この精神があるから、コロナの対策は強権的にすることなく収まっているように思いますし、日本人は海外での投資でもどこかの国と違って相手の国や国民のことを気遣って行います。
日本人が好かれる要因のひとつと思います。
自己主張が苦手で争いや口論を好まない平和的な国民性が、これまでは損でありときには災いを招くようなこともありましたが、わたくしは日本の未来に明るい希望を持っています。
本来の東洋の思想や精神をいまでも魂の根底に強く持っているのは日本人だと思いますので、さきほど申し上げたこれからの東洋文明の発展の礎となるのは、日本と日本国民をおいてほかにはいないと思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?