特定少数に、自分の声を
今日の1曲:NO MORE MUSIC - OKAMOTO'S
「いや、聞くよ。No moreどころじゃなくて要るよ、あなたたちの音楽」と思った今回の耳に残った曲。
「本当にあの全然売れ線に乗っからなかった人たちなの?」っていうのが第一印象でした。
メンバーは自分の一つ上の学年の同級生。完全に同世代で、ズットズレテルズで閃光ライオットに出てた頃も覚えてます。(同郷のGLIM SPANKYが出てたから)
ハマ・オカモトが亀田さんとkenkenとベースで戯れる番組やってるのがめちゃ面白くて、youtubeで何回も見た。ベース弾いたことないから詳しいことが全くわからんけど。
誰に届ける歌なのか
でも数年前に最初にちゃんと曲を聞いた時は、カッコイイし演奏も上手いんだろうけど、ボーカルがすげーダサくて男臭い感じが絶妙にお腹いっぱいになった記憶がある。
「ミッシェルはもう同世代から出なくていいんじゃない?」って、心の底から思ったんだけど。
いい曲だけど、自分が聞きたい曲ではないな、って思ってました。
でも彼らも変わったみたいです。
“俺のことをよく知っている友達10人くらいが、「ショウ、これやばいよ」と言ってくれるものを作ったほうがいいと思ったんです。よりはっきり想像できる相手をターゲットにして書くというか……もう「わかっている」人だけに向けて歌ったほうがいいなと感じて。”
“結局、僕らはマイノリティーかもしれないけど、「マイノリティーな音楽を好んでくれる人はたくさんいるんだ」と思ったんです。”
http://www.cinra.net/interview/201606-okamotos
ちょっと話が変わりますが、好きなカフェ経営者の人の言葉で「特定少数」というのがあります。
カフェはいわゆるセカンドウェーブチェーンがそこら中にあり、オペレーションは標準化された時代。経営者は経営の安定と引き換えに、スタッフに難しい要求をしなくなりました。
カフェ店員はカッコイイ、ご飯も飲み物も美味しくて、音楽もインテリアもイケイケ、みたいなイメージはどんどん薄くなって、面白いお店、スタッフさんが育たなくなった。
そんな業界でこれから面白くなり得るのは、大勢の人が行き交う路面店ではなく、特定できる少数が目的をもって来るお店だ、という話。言い換えればそのカフェを「私の店」と思えるかどうか。
音楽総BGM時代に、ぼくらは自分の主題歌を探している。
不特定多数のマスに向けたプロダクトが溢れる時代だからこそ、面白いものは広く浅くではなく、深く濃く行き渡るのだと思います。リスナーと真摯に向き合ってきたOKAMOTO'Sだからこそ、聞いた人が「これはおれの歌だ!」だと思えるものが作れる。
新しいアルバムからもう一曲。
なんでこんなにイントロから肌が粟立つ曲を今までつくってこなかったんだよ! と思ったけど、違うんですよね。たぶん時代の要請です。
髪がスッキリしてかっこよくなったオカモトショウの言葉が、聞いている自分の気持ちに重なる、そんな単純なことが本当に嬉しい。
OKAMOTO'Sほどの力を持ったバンドが、音楽を届けたい先を見定めたんなら、これからもっといい曲が聞けそうな、そんな気がしています。
それにしても、Suchmosとかネバヤンとかもそうですが、同世代が歌う曲が「自分たちの歌」だと思えるのは、本当に幸せなことです。
Everybody what’re you listening to now?
Everybody tell me some good music (Everybody tell la la lies)
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