「日本に住んでる世界のひと」 金井真紀著 大和書房

世界各国をルーツとし日本で暮らしている人々にインタビューしたものをまとめた本で、著者自身のイラストはほっこりするタッチ。
本書に登場するのは、18組20人の世界各国から来て日本で暮らしている人たちだ。
なかにはあまりなじみのない国から来ている人もいる。
日本に来た事情も様々で、出稼ぎでフィリピンから来た女性は家族が大好きで、自分が美味しいものを食べたり、ブランド物の服を着たりするぜいたくより、家族へ仕送りする方がうれしいと語っている。
価値観も様々だし、考え方も様々で、世界各国の人々と知り合うことは、多様な価値観や考え方を知ることにもなる ということを教えてくれる本だ。
メキシコから来たニナさんが「異文化には、まじめに接しなければいけない」という信念があるという。
「相手の言語や文化を軽んじるのは問題外だが、必要以上に崇め奉る姿勢もまた差別的だと警戒する」
というのが印象的だった。
大切なことだと思う。
中にはとても辛い経験を経て日本に来ている人もいた。
その話を読むだけで、こちらも胸が苦しくなるくらいの辛い話で、そんな大変な思いをして日本に逃げてきて、難民申請が却下されたと書いてあって唖然としてしまった。
2年前に廃案になったはずの改悪入管法案が、今国会で再び提出されるかもしれないという今、読むのにタイムリーな本だと思う。
日本に住んでる世界のひと - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。 (daiwashobo.co.jp)

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