告白雨雲

 雨の中ふと顔を上げると、どんより曇った空に、そこだけピンクの、かわいいハート型の雲が浮かんでいた。告白雨雲。本当にあるなんて。見た日に告白すれば、必ず幸せになれるって、こないだ聞いたばかり。
 そんな日に限って校門の前でしゅう先輩に会うんだから、これはもう運命。
「好きです!」
 もちろん返事はOK。幸せな日々……と思ったのもほんの数日。
 先輩と他の女の子がいちゃいちゃしてるの見てしまって。
「あんただれよ」
「あんたこそ」
 しかもさらに二人登場。
「ちょっと、あんたらなに人の彼氏に」
「ねえ、しゅうちゃん、この子たち誰?」
「いやあ、あはは」
 そんな修羅場の間もどっちつかずの態度を取り続ける先輩に、全員顔を見合わせて同時にため息ついて、全員でバイバイ。
 あの日先輩に告白した女の子は、あたしを含めて五人いたらしい。全員が告白雨雲をみたんだって。
 彼氏はまたいなくなったけど、代わりに四人友達が増えて、幸せっちゃあ幸せ、かな。



※『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』


たらはかにさんの企画「毎週ショートショートnote」参加作品です。

まだ29日深夜……だよね(汗)

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