けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二…

けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

マガジン

  • Birthday

    連載小説Birthdayのまとめです。 学校のマドンナ的存在である先輩と運命の出会いをした少年。 祖父と祖母の馴れ初めを描いた古い日記に胸ときめかせる少女。 不思議な力がきっかけで生涯の伴侶と巡り会った男。 遺伝子(ジーン)と模倣子(ミーム)の出会いと継承。 その交錯する地点で生まれるものとは。 この運命は偶然? それとも……

  • Radiotalkお題で創作

    音声配信アプリRadiotalkで、週一回お題を決めて創作して朗読した作品のテキスト版です。随時更新。

  • 毎週ショートショートnote参加作品

    たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参加した作品たちです

  • 企画等不参加ショートショート

    特に企画等に参加したわけではないものや、単発の企画に参加したものなどなど

最近の記事

  • 固定された記事

もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。 どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに関連もないので、発表順、或いは気の向いたところからテキトーに読んでいただいても問題はありませんが。 ついでに作品ページにはない、それぞれのお題の記載もしておきます。 マメにはやらないと思うけど時々追加していきます。 毎週ショートショートnote参加作品(たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参

    • Birthday 第三章 庄司明(2)

      前回のお話 最初から読む方はこちら それでは本編をどうぞ。 本編 「庄司明くん、いらっしゃるかしら」  羽美子がそう言った時、どよめきが走った。羽美子が教室を訪れた時点で、静寂が広がっていた教室内に、その声はやけに大きく響き渡った。  この時期、三年生を校内で目にすること自体がいささか珍しいと言えたが、そう言う問題ではない。阿部羽美子と言えば知らぬものとてない有名人。もちろんよく知らないというものもいるにはいただろうが、名前くらいは聞いたことがあったし、目の前でこの圧

      • うたうたいのものがたり

         むかしむかし、あるところに、ひとりのうたうたいがいました。  うたうたいは、村から村へ、町から町へと旅をつづけながら、うたをうたってくらしていました。  春には花のうたを、夏にはつよい日ざしのうたを、秋にはもみじとかれ葉のうたを、冬にはこがらしと雪のうたをうたいました。遠い昔のものがたりや、はるかな外国のできごとをうたうこともありました。うたうたいのうたをきくと、人々は皆、うたわれていることが目のまえにありありとうかびあがるような気がしました。そして当たり前だと思っていたけ

        • Birthday 第二章 星良(1)

          前の話はこちら 「それで? それからどうなったの?」  瑞稀が目を輝かせて訊いてくる、私は笑って答えた。 「しらない。ここまでしか読んでないんだ」 「ええー。そんなあ。だってこれからじゃん」 「そうなんだけどさ。まだ何も起こってないし」 「そう思うなら、なんでもうちょっと先まで」 「いや、眠くてさ。ここまでが限界」 「そんなあ」  口を尖らす瑞稀をみて、私はもう一度笑う。 「でもさ、何も起こってないのにドラマチックでしょ」 「まあ、それはね、このあとっくっつくんだと思うと、

        • 固定された記事

        もくじ(題字・NeneNone)

        マガジン

        • Birthday
          3本
        • Radiotalkお題で創作
          56本
        • 毎週ショートショートnote参加作品
          17本
        • 企画等不参加ショートショート
          5本

        記事

          Birthday 第一章 庄司明(1)

          「なあ、頼むよ」  飯田勝は拝むように手を合わせて言った。 「やだよ、なんで俺が」  庄司明は迷惑そうに答える。  放課後の廊下。部活の準備をして校庭や体育館へと急ぐ生徒、特に目的もなく廊下で立ち話をする生徒、まっすぐ昇降口に向かう生徒。勝と明は最後のグループに属していた……はずなのだが、ずっと明に懇願するような様子を見せていた勝は、突然小走りに前に出たかと思うと、明の前に立ち塞がり、深々と頭を下げた。 「頼む、この通り」 「やめろよ、邪魔だよ」 「そう言わないでさ。助けると

          Birthday 第一章 庄司明(1)

          春は名のみの……

           重く澱んだ空。ホームを冷たい風が吹きすぎて、ユカは身を震わせた。  暖かくなってきた、そう思っていたけれど、朝はまだこんなに寒い。  テレビのニュースによれば、これから向かう先は暑いくらいの気温で、桜が満開らしいけど。 「冗談みたい」  ついそんな言葉が口をついて出る。  簡単には信じがたい。  そんな場所があることが、ではない。自分が今から、まさにそこへ向かおうとしていること、数時間後にはその風景の中に身を置いているだろうということが、何よりも、信じられない。  スマホを

          春は名のみの……

          プロローグ(声劇台本)

          【登場人物】  マミ♀(20)  ユカ♀(20) ※括弧内のシチュエーションは、状況をイメージしやすくするために付加したもので、効果音等を指示するものではありません。もちろん効果音を入れてくださっても構いません。 ※語尾、相槌などは、演じやすいように変更していただいて構いません。 【本編】 (羽田空港到着ロビー) ユカ:あ、いたいた! ごめんね。電車、遅れちゃってさ。待った? マミ:ううん。やっと出てきたとこ。手荷物もあったし。 ユカ:じゃ、いこっか。荷物、持つ

          プロローグ(声劇台本)

          はかない響き

           枯葉の散る音が聞こえる。  秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。  目を開ける。舞い散る落ち葉。弱々しいけれども硬質で透明な光。午後の公園。 「どうしたの?」  彼女は言う。僕は答える。 「いや。ただ、木漏れ日が眩しくて」 「止まらなくてもいいじゃん」 「危ないでしょ、見えないまま進んだら」 「手、繋いでるでしょ。大丈夫だよ」 「そんな、子供や年寄りじゃないんだから」 「若者だって手を引いて

          はかない響き

          【声劇台本】雪景

          登場人物  順也♂  琴美♀ ※年齢は「成人、同年代」という制限内で自由に解釈可。 上演時間  10分弱 【本編】 順也:琴美……? 琴美:あっちゃー。見つかったか。 順也:お前、なんでこんなところに。 琴美:ちょっとね、雪が、見たくなって。 順也:雪、って。 琴美:すごいよねー、改めて見ると。 琴美:真っ白でさ。すっごい綺麗。 琴美:何年ぶりだろ。 順也:嫌いだ、って言ってたじゃん。 順也:寒いのも、雪も。 琴美:うん。そうなんだよね。 琴美:そうなんだ

          【声劇台本】雪景

          牛フィレのパリ風メーテルドテルバター添え

          「テキトー言ってやがるんじゃねえだろうなあのジジイ」  三度目の正直とはならず、車で屋敷の門を出た俺は吐き捨てるように言った。  となりで助手のマイト君が首を傾げる。 「だったら端っからありもしないテキトーな料理名言えばいいと思うんですよね」  俺は舌打ちする。 「テキトーに言ったのかもしれんぞ。その、なんちゃらバターが」 「メーテルドテルバター」 「そう、それが実在したのだって、偶然かもしれないじゃないか」 「代表的な合わせバターですよ? フランス料理だって食べ慣れてるでし

          牛フィレのパリ風メーテルドテルバター添え

          晴れた日のきなこ

          「お昼、お餅焼くだけでいい?」 「いいよ。海苔、あったっけ」 「あるある。あとごまと、欲しかったら大根おろしも」 「いいね」 「それときなこ」 「あー」 「あれ? 嫌い?」 「うん、食べられない」 「そうだっけ。前は食べてなかった?」 「そうなんだよね。去年から、急に、受け付けなくなって」 「アレルギー?」 「って感じじゃないな。他の大豆製品平気だし。ただ、ちょっとだけ、鼻がむず痒いような気はするかも」 「鼻。やっぱアレルギーじゃないの?」 「ううん。でも食べる前なんだよね」

          晴れた日のきなこ

          モテる部活

          「部活決まった?」 「いや、まだ」 「全員入れって言われても困るよな。正直やりてえこともないし」 「だよな。中学も帰宅部だったし」 「あ、俺も俺も」 「あー。ぽいわ(笑)」 「わかる?(笑)」 「見学にはいった?」 「うん。まずサッカー部だろ」 「なんだよ、やる気ない割には気合の入ったとこ見に行くじゃん」 「それな(笑) いや、どうせ入るならさ、モテる部活がいいなと思って」 「わかる(笑)それ重要」 「な。でもさ、やっぱきつそうだし」 「だろうな。結構強いんでしょ、うちのサッ

          モテる部活

          昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

          昨夜公開した声劇台本『夏祭りの待ち合わせ』ですが、テキストをコピペしたら場面転換部分の改行が消えちゃってたのに気が付いて、修正しました。

          【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

          登場人物  雄平(18)♂  礼子(16)♀  礼子(28)♀ ※礼子(16)と礼子(28)は同一キャストでOK 上演時間:50分程度 ※()内の状況説明は演者がイメージしやすいように付加したもので、必ずしも音を補う必要はありません。 ※※フリー台本です。上演はご自由に。上演後であってもご連絡いただけると踊って喜びます。 【本編】 雄平・礼子(タイトルコール):「夏祭りの待ち合わせ」 雄平:(ナレーション)夏祭りの夕方。鳥居の下に、その女の子は、浴衣姿で、一人、佇

          【声劇台本】夏祭りの待ち合わせ

          水ー族ー館

           水族館が嫌いだ。  別に嫌な思い出があるわけではない。というより水族館に行ったという記憶そのものがない。  正確には、幼い頃の記憶だろうか、朧げに、巨大な水槽の中をさまざまな魚が泳ぐ映像が脳裏に浮かぶことはあるのだが、いかにも曖昧で、テレビかなにかで見た記憶だと言われればそうかもしれないと頷くしかない程度のものだ。  そんな記憶でさえ、ざわざわと肌が泡立つような生理的嫌悪を俺の中に引き起こす。まして映像や写真などを見てしまおうものなら、思わず声が漏れるほどの恐怖に見舞われ、

          水ー族ー館

          産みの苦しみ

           チェーンのスーパーマーケットやファストフード店に混じって個人経営のお好み焼き屋やラーメン屋、雑貨屋などが立ち並ぶ郊外の商店街を抜けた先、小さな公園の脇にいささか唐突に、そのマンションは立っていた。タワーマンションというほどの高さがあるわけではないが、他に目立つ建物のないこの場所では十分塔のようである。私はエントランスに入り、インターホンを操作した。  程なく、低い声が聞こえる。 「はい」 「あ、佐栁先生。近藤です」 「……どうぞ」  いうとほぼ同時に自動ドアが開き、私はマン

          産みの苦しみ