けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二…

けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

マガジン

  • Birthday

    連載小説Birthdayのまとめです。 学校のマドンナ的存在である先輩と運命の出会いをした少年。 祖父と祖母の馴れ初めを描いた古い日記に胸ときめかせる少女。 不思議な力がきっかけで生涯の伴侶と巡り会った男。 遺伝子(ジーン)と模倣子(ミーム)の出会いと継承。 その交錯する地点で生まれるものとは。 この運命は偶然? それとも……

  • Long prologue

    声劇台本「プロローグ」を中心に、その前日譚的なエピソードを加えていく予定です。 高校合唱部の同期、マミとユカの2人が辿る、夢と友情の軌跡。運命に引き離された2人が再び出会う時、何が始まるのか。

  • Radiotalkお題で創作

    音声配信アプリRadiotalkで、週一回お題を決めて創作して朗読した作品のテキスト版です。随時更新。

  • 毎週ショートショートnote参加作品

    たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参加した作品たちです

  • 企画等不参加ショートショート

    特に企画等に参加したわけではないものや、単発の企画に参加したものなどなど

最近の記事

  • 固定された記事

もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。 どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに関連もないので、発表順、或いは気の向いたところからテキトーに読んでいただいても問題はありませんが。 ついでに作品ページにはない、それぞれのお題の記載もしておきます。 マメにはやらないと思うけど時々追加していきます。 毎週ショートショートnote参加作品(たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参

    • Birthday 第十二章 星良(5)

      前回のお話 始めから読みたい方はこちら  あたしは、疑っている。  あたしが祖父の日記を手に取ったことは、偶然だったのだろうか。  日記に書いてあった「神の誕生」とは、ふさわしい物同士の間で子供を作ること、それだけの意味だったのだろうか。  祖父はなぜ、祖母を受け入れたのか、ロマンチックな読み物として読んでいるうちは気が付かなかったが、その過程はあまりに不自然だ。そこには祖母の力か、なんらかの意図が働いてはいなかったか。  「ふさわしい時間、ふさわしい場所、ふさわしい状

      • Birthday 第十一章 庄司明(5)

        前回のお話 始めから読みたい方はこちら 「先輩、あれは……あれは一体なんですか」  羽美子の部屋に通されて、呆然とする明を残してお茶を淹れに行った羽美子が戻ってきた時、明は半ばくってかかるように言った。 「まあ落ち着いて。まずはお茶をどうぞ」  言われて、自分の勢いを恥じるように、明は目の前に置かれた紅茶に口をつける。 「あ」 「おいしいでしょ。紅茶入れるのはね、自信あるの」  そう言って、自分でも一口。 「あら、ちょっと濃かったかしら」 「いえ、美味しいです。それで、あ

        • Birthday 第十章 星良(4)

          前のお話 始めから読みたい方はこちら  それが合図となったかのように、校内の超能力者たちは、その力を強めていった。  瑞稀と同じように物を動かすところを見せていた一年生の男子は、ちょっとした口論がもとで「力」で相手を突き飛ばし、大怪我を負わせた。  こよりに炎をつけてはしゃいでいた女子のいたクラスでは、ボヤ騒ぎが起こり、3人が救急搬送された。あの子がやったんだ、そんな噂がどこからともなく流れてきた。  伏せられたトランプを言い当てていた子は、次々と友達の秘密を明るみに出し

        • 固定された記事

        もくじ(題字・NeneNone)

        マガジン

        • Birthday
          12本
        • Long prologue
          3本
        • Radiotalkお題で創作
          56本
        • 毎週ショートショートnote参加作品
          17本
        • 企画等不参加ショートショート
          5本

        記事

          Birthday 第九章 庄司明(4)

          前回のお話 最初から読みたい方はこちら  広い和室。十畳、いや、その倍ほどもあるだろうか。  だが、その広さですら、奥に設えられたものに比べたら、明を驚かせるには足りなかった。  それは、ある種の祭壇のように見えた。色味としては大きなお寺にあるものと似ている。だが仏教の祭壇そのままというわけではない。その作りや置かれている様々なものたちは、今までに明が見たことのあるどんな宗教の意匠とも異なっていた。  中央に聳え立つのは、写真で見たことのあるマヤのピラミッドにも似た何か。

          Birthday 第九章 庄司明(4)

          連載小説「Birthday」の構成にミスがあり、修正しました(第七章と第八章を入れ替え)。ストーリーを追う上で不都合はありませんが、お知らせしておきます

          連載小説「Birthday」の構成にミスがあり、修正しました(第七章と第八章を入れ替え)。ストーリーを追う上で不都合はありませんが、お知らせしておきます

          緑の森よ

           父が死んだ。  ほとんど顔も覚えていない父だ。唯一の法定相続人とかで役所から連絡を受けるまで、まだ生きていたということすら知らなかった。  何をしていたのか知らないが、かなりの額の財産が残されているのだという。そこには、父が一人で住んでいた郊外の一軒家も含まれていた。  正直なところ、全て放棄してしまおうかとも思った。裕福とは言えないが、特別困っているわけでもない。そもそも遥か昔に縁を切った父だ。今更都合よく遺産だけ受け取ろうというのも気が引けた。  だが一方で、それこそ今

          Birthday 第八章 星良(3)

          前回のお話 最初から読みたい方はこちら 「今度は三年だってよ」 「え、また? そろそろ飽きてこない?」  そんな会話が聞こえてくる。  昼休みの教室。話しているのは、それほど仲良くはないグループの数人。あたしは耳をそばだてた。 「それがさ、今度のはすごいらしいよ」 「今更、変わったことなんてこれ以上ある?」 「あるある。なんたって瞬間移動だもん」 「え、マジで!? 消えるの? 目の前から?」  それは確かにすごいな、そう思って、あとで確かめるべく耳を澄ます。  三年二組の

          Birthday 第八章 星良(3)

          Birthday 第七章 庄司明(3)

          前回のお話 最初からお読みになりたい方はこちら 「ここですか」 「そう。あたしの家」  一ブロックをまるまる囲った塀。大きくはないが厳しい不風情の門。  木扉を開け、羽美子は明を誘う。 「さ、入って」 「あ、はい。お邪魔します」  あの日、羽美子の告白を受け入れた明は、晴れて羽美子の恋人となった。……はずなのだが、その後特に羽美子からの連絡などはなく、明はあの日おこった全てが夢だったのではないか、とさえ思い始めていた。  だが教室に行けばそこには好奇心いっぱいのクラスメー

          Birthday 第七章 庄司明(3)

          君に幸あれ

           その瞬間、激しい動揺に襲われた。  鼓動が跳ね上がり、息が荒くなり、目が泳ぎ出す。何かが記憶の底で蠢く。心の奥津城から低い声が聞こえる。  だめだ。思い出しちゃ、だめだ。  せっかく忘れたのに。忘れようとしていたのに。  だが、本当はわかっていた。あたしは不器用に目を逸らそうとしているだけで、その傷は、まだあまりにも生々しく、血を流し、熱く脈打ち続けているのだ。  「忘れた」なんて、自分に言い聞かせてるだけ。  そうしないと、足が止まるから。 「う……うう……」  今感じて

          君に幸あれ

          Birthday 第六章 星良(2)

          前回のお話 最初から読みたい方はこちらから 「ねえねえねえ、見て見て!」  瑞稀が興奮した様子で言う。  早速祖父の日記の続きを読んできたあたしは、瑞稀が他の話をしてきたのをちょっと意外に思った。昨日あんなに夢中だったのに。  ま、日が変われば興味の対象だって変わる、か。  私の方はすっかり新しく仕入れたネタで盛り上がるつもりだったわけで、一抹の寂しさを覚えなかったといえば嘘になる。だがひどく熱を帯びた瑞稀の目つきに逆らうのも躊躇われた。  こっちの話はあとでもいいか。

          Birthday 第六章 星良(2)

          サイバー・ファイバー・ダイバー・バイバー

          「それじゃ、最後の曲、聴いてください。『Drastic Violet』」  歓声はなく、だがそれに変わるように大きな拍手が起こる。短い前奏の後、なぐりんが、ちかおが、順にメロディーをついでいき、皆が振り上げるペンライトの色は黄色、そして赤へと変わる。さらにオレンジに変わった時があたしのパート。  みんなわかってるなあ。  あたしは安心感とともにマイクを握り直す。   ♪見せかけの色じゃ もう我慢できない    ♪および腰の知性なんて ねじ伏せてきて  軽やかに回りながら、

          サイバー・ファイバー・ダイバー・バイバー

          いつか本当になるまで

          君がついた嘘を ぜんぶ集めたら、いつかは 本当の愛になるんじゃないか、なんて そんなことを信じてるフリしたのが 僕のたった一つの嘘だったのに また重ねろって言うの? この上 「君がいなくたって平気だよ」なんて 本当になんかならないって わかってる嘘をさ

          いつか本当になるまで

          もう一度

          もう一度、と君は言う。もう一度、僕はそれに応える。けれども僕らは知っている。こうしてまたもう一度体を重ねるたびに、僕らの本当の「もう一度」は遠のき、喪われて行くのだと。本当にもう一度手にしたかったもの。それを忘れようと、僕らはまたもう一度、快楽に溺れる。 (大昔に旧Twitterで #twnovel を付けて書いたもの。再発見して自分で気に入ってしまった笑)

          遠い夏

          「あ……」  とつぶやいたら、そのあと、何も言えなくなった。  日曜の午後、改札を出たところ。天気は晴れ。のはずだが、今日はやけに湿度が高く、日の光もどこかぼんやりとしている。見上げれば太陽もやはり頼りなげな輪郭を衆目に晒しており、なのにじりじりと暑さだけは伝えてくるのが、なんだかとても詐欺めいている。  後ろから小さな舌打ちが聞こえ、私は我に返る。邪魔だよこの馬鹿女、そう言いたげな視線を一瞬だけむけて、サラリーマン風の年配の男が私を追い抜いていく。  私は歩き出す。駅を出た

          文学フリマ東京38に出ます

          もう前日になっちゃいましたが💦 イベント詳細はこちらをご覧いただくとしまして。 私は第二展示場一階「い-40」にいます。 サークル名は「C.T.O. & らじおがたり文芸部」 C.T.O.はCirclus Templi Orientis 東方聖堂サークルの略。私の個人サークルです。 らじおがたり文芸部は、音声配信アプリRadiotalkの物書きさんを集めて同人誌を作る上での仮称。 どちらも主催は私ですが、形の上では合同ブースということになります。 今回の目

          文学フリマ東京38に出ます