宮内悠介「ディレイ・エフェクト」を読む (第158回芥川賞候補作 #1)
芥川賞候補作、宮内悠介「ディレイ・エフェクト」(「たべるのがおそい」4号所収)、読了。
オリンピックが間近に迫った2019年の東京。
そこでは年明け元日から各地で、〈75年前の東京〉が具体的に可視化された〈像〉として出現し、現実の世界と重なり合ってしまうという現象が発生していた。
折しも、日本は太平洋戦争の後半の真っ只中。
その現象は現実世界の時間と連動して進行している。具体的には、1944年元日にはじまって、それぞれの世界の時間の進み具合は同期をとっている。
主人公の「