教科書展示会に行きました1

6月12日から全国各地で今年度採択された学校教科書と、次年度より新たに採択される教科書の展示会が行われます。今回は先行して教科書検定に合格した教科書の閲覧ができます。ただし、画像の写メなどはできませんので、ご注意ください。一部の教科書会社では、教科書の一部を公開されているところもあるので、参考までに見ていただけると幸いです。なお、詳しい学習指導要領の変更については、文部科学省や教科書会社様のHPを参照いただきたく思います
今日は、昨日行きました教科書展示会の簡単な報告と、今後の学習について話していきたいと思います。第1回目は英語と数学を中心に話したいと思います。
無料公開です。よろしくお願いいたします。

数学の教科書

まず、数学からいきます。すでに学校では移行措置が採用されている学校もあるため、そこまで大きな変更はないと思います。大きく変わるところは、中3で行われた素数・素因数分解が中1に行われること、高校内容の一部が中学生に降りてくることです。もちろん、中1内容を中3に一部入れるなどの変更も見られます(有効数値や誤差など)。しかし、それ以外については、大きな変更はなかった感じです。計算の数値や指導配列などの変更は多少あるものの、従来の学習と大きく変わらないことが言えます。
そのため、指導者はやや広範的な知識が必要になるものの、中学レベルでほぼ対応ができると思います。

英語の教科書

今回の大きな変更が見られたのが英語です。まず、小学→中学の接続を大きく意識されていることが分かります。そして、中学教科書ではほとんどの教科書が最初の文法でbe動詞と一般動詞をセットで指導することになります。従来の教科書ではbe動詞で1か月半、一般動詞で1か月余りの計2か月半の指導時間をかけていたのを1か月弱で両方を教えなければならなくなりました。僕が中心で見たのがNEW HORIZON(東京書籍)とNEW CROWN(三省堂)SUNSHINE(開隆堂)でしたが、ほとんどが最初の単元でこれを行っています。そして、中1までに過去形を指導しないといけないこと、教科書によっては、未来形、不定詞(名詞的用法)を行うところも出ています(細かい単元については、各教科書会社によって異なります)。
これは小学校で過去形までやること、不定詞の名詞的用法を扱っていることが原因だと思います(東京書籍の小学英語を見たとき、小5でwant to doを扱っています)。小学英語ではほとんど会話などを意識した教科書ですが、文法要素についてはあまり扱っていなかった気がします(小5・6年のお子様を持たれてる保護者の皆さま、現場で行われている英語授業のご意見・感想があれば教えてください)。

中2では中3で指導していた内容が一部中2で指導されていました。加えて、高校英語でほぼ必須になる文構造の話もこの学年で行うことになります(一部は中3でも行います)。そして、現在完了形もこの2年で習うことになります。中1・2で前置詞の話も1Lesson分を割いて指導することになります。

中3では現在完了形の復習に加え、高校内容から現在完了進行形が新たに加わります。また、1学期の後半から早いところでは分詞を扱うことになり、後半で仮定法過去(といっても、基本的なものだけですが)を学びます。そして、中3の教科書ですさまじかったのは、長文読解の量が非常に多かったことが印象でした。対話文・長文読解などボリュームが非常に多くなった印象です。これも共通テストのReading対策なのだと思います。

全体的に感じたのは、従来の学習の3~4か月分を前倒しして指導している感じでした。そして、文法の関連性をしっかりと指導できなければ、学力格差は非常に大きくなるという危惧が出てきます。
加えて、英単語の量も従来より増えます。小学校で習っているはずの600~800語に加えて、新たに1600語程度を理解しなければならなくなりました。より英単語帳の重要性が増すような気がしました

英単語はフレーズで覚えよう

では、英単語はどうしたらいいでしょうか。よくやっているのは、単語を10回~20回を書かせる宿題を出す指導者がいますが、今後はそれは意味をあまりなさない恐れがあります。僕は英語を専門にしているわけではないのですが、英単語も漢字も文で覚えるように指導しています。なぜなら、その単語や熟語などをどの時に使うのか、ということが分からないと意味がないと思っているからです。中入試の国語を指導していた時ですが、その時の教科リーダーの先生から漢字だけを書かすのではなく、文で覚えるように、ということを強く言われました(漢字の宿題でも文で書かせることを言っていました)。今考えると、確かに文で覚えなければ同音異義語や同訓異字などに対応できない、ということを強く仰られていました。
その指導をもとに、生徒に単語・熟語だけでなく用例を覚えるように、といっています。それを音読して覚える、書いて覚えるなど言っています(駿台のシステム英単語はミニマムフレーズを重視されています)。そして、辞書は引く習慣を必ずつけてください。そのときに、意味だけでなく、使いかた・用例・同義語・対義語などの情報も軽くチェックしてください。これは大学受験の英語科の先生もおっしゃられています。そのため、英単語帳で学習するときは、フレーズ(用例)のある単語帳を選ぶといいでしょう。
ターゲット1800・英熟語380(旺文社)、システム英単語中学生版(駿台文庫)、英単語2100・英熟語500(受験研究社)など自分に合った単語帳を1冊持っておいてもいいと思います。それを高校生に向けた土台の英単語帳にするといいでしょう。

これからの学習で

これからの学習で絶対に必要なのは、「周辺知識・関連知識・背景知識」といった3つの知識が非常に大事になります。これは社会の教科書を見たときに非常に痛感しました。この話の詳細は追って記事にします。
つまり、これからの学習はこれらの知識を体系的に理解する必要があり、語句の丸暗記で通用するような学習法は通用しなくなります。暗記科目といわれる科目ほど、どう暗記させるのか、をしっかり指導しないと、次代を担う人々が理解を伴わない作業学習になってしまう恐れがあります。ただ暗記しろ、という塾や個別指導は今後淘汰される恐れはあります。そして、教科書を読むようにしましょう。読んでわからないことがあれば、用語集で調べたり、参考書などで調べるなどの習慣をつけ、内容の理解を行ってください。その後、それを使える知識になっているかを問題演習を通じて定着を図ってください。

教科書展示会に行きました2、に続く

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