教科書展示会に行きました2

本日は連投させていただきます。昨日行きました教科書展示会に行き、教科書の採択本を見たうえでの話を行いたいと思います(前回の記事)。
正直、地理・公民も拝見したかったのですが、歴史だけで数時間かかってしまったため、後日地理・公民を拝見したいと思います。そのため、この2回目は社会歴史について話したいと思います。
無料公開です。よろしくお願いいたします。

社会歴史の教科書

では、歴史の教科書の概観を話します。今回の教科書の目玉は、高校歴史教科書で有名な山川出版社が中学歴史の教科書が初めて登場しました。もちろん、僕も公式Twitterで注目度No.1といいました。で、遂に実際に山川出版社の歴史教科書を拝見しました。
今回の歴史教科書は日本と世界の歴史の関連性を非常に重視されていました。もちろん、他の出版社もそれを意識した記述などに変わっていました。ただし、大まかな中身については変わっていなかった感じでした。学習指導要領の改訂に基づいて世界の歴史の記述が増えた感じでした。特に、山川の教科書はその部分をより詳しく記述されていました(他の出版社では数行で終わっているが、1ページ丸々使っていた)。内容については非常にボリュームが多く、一部史料では原典で書いていたものもありました(ほとんどはわかりやすく改めていました)。しかし、求められている用語レベルは非常に高く、それだけで学習を行うのは非常に困難である、と思いました。そのため、用語集がなければ難しいかもしれない、と思いました。最近の教科書は欄外もしくは最後のページに簡易的な用語集がありますが、調べ学習をする際には語句だけでなく、内容や意味などを理解しなければ意味をなさない気がしています
また、ほとんどの教科書ではスルーされている元老の説明や中東民族の説明をかなり踏み込んで説明しています。また、鉄道国有法・棄捐令などの語句を使用しています(他の教科書は語句ではなく内容のみ)。

率直に感じた教科書レベル

では、僕が率直に感じた教科書レベルはどうかというと…

山川:中学生の教科書にしてはレベルがやや高いが、高校接続の歴史総合につなげる意図は非常に見て取れる。今後、もしかしたら歴史総合につなげる教科書のバイブルになる可能性もある
東書:山川のレベルを少し下げているが、地理・公民との関連知識は非常に良い
育鵬社:内容は東書・山川と比べてコンパクトだが、標準的な教科書表記の語句に無いものもある(黄禍論についてはこの教科書のみ)。
日文:東書・山川と比べると幾分か読みやすいが、一部内容はやや希薄な気がした。
教出:資料の工夫は他の教科書と比べると力を入れている、尖閣諸島や竹島に関する歴史を少し詳しく触れている
帝国:縄文・弥生の交易史にも触れている、記述問題のネタとしては非常に優秀、教科書配列もテーマを意識しているところがあるので、テーマ学習をするには最適
学び舎:少し癖は強いが、分量は山川並。シェアがあまり多くない(私立が多い)が、考察する学習としては良い。

こんな感じです。ただ、一部は全部読めたわけではないので、多少抜けもあると思いますが、ご了承ください。
なお、清水書院と自由社は教科書検定に不合格などの理由で次年度の採用からは見送られました
今回の展示会では、地理と公民を見られませんでしたが、一番変更の強かったのが歴史だったので、今回は歴史を優先に見ました。そのため、地理と公民は後日足を運んだ時に改めてみさせていただきます。

今後の入試に対する影響

実は、今回の教科書展示会で見たときに一番気にしたのがこれです。まず、歴史総合につながる教科書をどう考えているのか、を考えたときに、山川は歴史教科書専門にされているだけあり、非常に踏み込んだ記述をしてきた、という印象でした。そして、内容だけで押さえておらず、語句で記述してきました。そして、近代ヨーロッパなど世界史の記述についても詳細に記述してきました。
となると、もし、今後の教科書採択次第ですが、山川出版社の歴史教科書を採択したところが多くなるなら、今後、山川ベースの問題が出てくることが予想されます。これが私立でも公立でも起こります。2021年の公立入試や私立入試では影響は大きくないかもしれませんが、2022年以降の入試では大きな変化が起こる可能性があると思います。そのため、用語集が学習に必須になる気がします。

丸暗記から脱却した、理解する学習を

これは何度も言っていることです。丸暗記をする学習は今後通用しない可能性が高くなります。しかし、理科や社会は残念なことに暗記科目といわれ、ほとんどの塾では指導を軽視しているところが多いです。ですが、今後は語句のレベルが上がる、指導する内容が世界史を中心に増えることなどを考えると、正しい覚え方などを指導できなければなりません。なによりも、丸暗記をする指導は生徒の負担が非常に大きくなることを意味しています。そして、授業を受ける生徒も板書や説明しているところだけを理解するのではなく、メモする習慣をしっかりと付けなければいけないと思います。そのため、今後の学習の姿勢も大きく変わると思います。その変化に対応できなければならないと思います。
普段から少しずつでいいので、理科・社会の学習を行ってください。しかし、学習が作業になれば意味がありません

CAMELの映像授業では

僕が携わっていますCAMELの映像授業では、周辺知識・関連知識・背景知識の3つの知識を意識した授業を配信しています。そして、いち早く新学習指導要領を意識した授業も展開しています(ベースになっているのはGakken様のニューコース問題集です)。その工夫も凝らしております。その一つが虫食い問題集です。これは新学習指導要領にも対応できるように問題などを構築しています。もちろん、来年度も改訂を予定しています。
そして、中学社会では初の歴史テーマ史の学習も受講できます(どちらかというと中3向けに作成しています)。今後の学習に必要なものも学べます。そして、学習の仕方も丁寧に解説しています。このように塾に通いたくても通えない人向けにCAMELの授業はあります。気になる方がいましたら、CAMEL様の事務局に問い合わせてください。
そして、今後の学習に必要な著書なども作れたら、と思っています。もし、執筆・講演・講師などのご依頼等ございましたら、公式TwitterかFacebookのDMで問い合わせてください

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