共通テスト 学習アドバイス

本日もよろしくお願いいたします。前回まで、共通テスト本試験・追試験の解析を行いました。それらを受けて今後の学習をどうしたらいいか、何を使って学習したらいいか、など話していけたら、と思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■共通テスト本試験の平均点

まずは共通テスト本試験の平均点が2月7日に公開されましたので、こちらの講評からさせてください。

先日のツイートより、共通テストの平均点がでました。日本史Bの平均点が52.81点とセンター試験時代と合わせても平均点の過去最低点を記録しました。では、なぜこのような点数になったのか。一つ言える話が、共通テストに変わった2年目は全体的に難易度が難化すると言われていましたが、それだけではない気がします。

■難易度が急激に下がった理由とは?

では、難易度が急激に難化した理由は何でしょうか。僕のなかで今回考えられる難化の原因は以下の通りです(もし、他にも原因がある場合はコメントなどで教えていただけると幸いです)。

➀史料読解問題の複雑化
まず考えられるのは、史料読解問題の複雑化です。その関係で問題を解くのに時間がかかったこともあり正答率が下がってきたのでは、と思います。そして、その史料読解の選択肢も微妙な線を突いているところもあり、判断に迷った受験生もいたのでは、と思います。

②センター形式の実戦力不足
一番ありえそうなのがこれだと思います。問題形式の実戦力不足が一番ありえるのでは、と思います。もう一つあり得るのが、正誤問題の正誤判定法を知らないまま問題を解いている可能性もあるのでは、と思います。これは、次の③にもつながってくる話があります。

③私立形式のマーク対応が弱い
②と少し連動するところがありますが、正誤問題の問題文の作られ方が一部上位私立のような作られ方をしているものが出ていました(表現正誤など)。そのため、正誤問題の正誤判定法、着眼点を知ること、正誤問題の作られ方など正誤問題を解くためのルールを知らなければいけないところもあります。それを知らずに解いている人がいるのも事実です。

④年代並び替え問題のトレーニング不足
正答率が下がっているもう一つの要因は年代並び替え問題が苦手な受験生が多いです。歴史名辞・人物などに着目して順番に並び替えをすることができるかどうかです。
しかし、現在の年代並び替え問題ですが、語句を濁して判定させる問題も出ています。そのため、語句だけの丸暗記学習では通用しないのです。

⑤単純な読解力不足
今回一番顕著に出たのはこれではないのでしょうか。僕も国語は苦手科目だったので、その苦心はよくわかります。国語力や他科目の知識など必要なことがありますが、問題をよく読むようにしましょう。これは、私立マークであっても国公立二次試験であっても変わりません。まずは、丁寧にリード文・史料・正誤文などをチェックしておきましょう。

以上のことが要因としてあり得ます。もちろん、これだけが理由ではないのですが、少なくとも、センター試験よりも史料読解が面倒になっているのは事実です。注釈やリード文・メモなどに着眼できるかどうかも大きなポイントです。これができなければ共通テストでの高得点も期待はできません。
といっても、それを活用するには土台となる知識が必要となります。理系の生徒ならより効率よく押さえていかないといけないので、いかに正しい演習ができるかが大事になってきます。

■共通テストを学習するのにお勧めの問題集など

では、どの問題集を使うといいのか?と言いますが、最初に言っておきます。一番大事なものは教科書です。教科書の内容・史料・図版などを使って学習しておくといいでしょう。

1.補助輪参考書
では、まずは補助輪参考書からいきましょう。基本的には教科書の内容で補いきれないものを中心に知識の整合を行うといいでしょう。

➀決める!共通テスト日本史(Gakken)
共通テストだけ必要な場合はこの教材で十分です。基本的土台の知識を抑えるにはこれで十分な気がします。他にもKADOKAWAの「共通テスト日本史Bの点数が面白いほどとれる本」でも対応できると思います。ただし、次に紹介する補助輪参考書を使う場合は少し用途が変わってきます。

②共通テスト日本史Bが一冊でしっかりわかる本(かんき出版)
史料読解などの解析とその思考などを知ることができる本になっています。所々研究書などを用いられているので、二次対策の土台としても使うことはできると思います(用途として使い方が正しいかは別ですが)。史料読解が苦手な方はまずどのように読み取ればいいのか、を知るなら十分な参考書になります。

③「なぜ」と「流れ」がわかる本(東進ブックス)
私立入試でも使えますが、どちらかというと日本史が苦手な方・初学者が最初に読む補助輪参考書になります。ただ、早慶レベルを目指すなら物足りない箇所がありますが、共通テストレベル、中堅私立レベルなら十分に対応できます。合わせて表解演習書と使うといいでしょう。

2.土台問題集
続いて、土台問題集に行きましょう。こちらは私立志望者であっても共通テスト利用者であっても大きくは変わらないと思います。

➀日本史Bレベル別問題集①②(東進ブックス)
トレーニング問題集ですが、どちらかというと歴史の大きな動きを知ることができる土台問題集です。➀は中学レベル、②は定期テストレベルの土台問題集です。初学者なら➀②両方使ってもいいと思います。
時期的に言うなら1日1講ずつで1か月半で完成できるのは非常に効率がいいです。あと、レベル➀とレベル②では扱う単元が被っていないのもいいです。

②時代と流れで覚える!日本史B用語(文英堂)
土台問題集のもう一つの定番はこれです。左ページで要点整理、右ページで虫食い問題ができます。80単元あるので、1日2単元ずつ進むと40日で完成できます。しっかりと周回しておくと土台固めとしては十分だと思います。
上記2つの共通点は、最初の1回目は正答率を気にせずにひたすら進んでいくのがいいです。2周目からは正答率に気を付けて弱いところをしっかりと強化していってください。

③はじめる日本史(Z会出版)
Z会出版の土台問題集ではこれがいいと思います。ただ、どちらかというと共通テストのみの生徒よりは私立入試も視野に入れている人が使うなら最適な問題集になります。

3.実戦問題集
実戦問題集は共通テストに対応した問題集に特化した方がいいです。ただし、私立入試なども視野に入れている人は私立向けの問題集も行う必要はあります。なお、ここでは過去問集の紹介および学校専用教材については割愛させていただきます。

➀実戦問題集(河合出版・Z会出版・駿台文庫など)
各種予備校が出版している共通テスト対策の問題集です(昨年の模試などを実戦問題集にしてまとめています)。これは自分の目標点によって使うものが変わってきます(もし、違うと仰られる場合はコメントなどで申してください)。

【実戦問題集の目安】
・目標点7割前後:東進・河合出版・代ゼミ
・目標点8割前後:上記のもの+駿台文庫
・目標点9割以上:駿台文庫・Z会出版

あくまでも目安なので、参考程度にとどめてください。特に3年目からは共通テスト模試などのサンプルがそろってきているので、どれかは使っておくといいでしょう。高得点を目指すなら駿台文庫・Z会出版のどちらかを使うのがいいでしょう。ただ、あくまでも目安なので、この問題集で、というのであれば、そちらを使うのがいいでしょう。

②共通テスト単元別問題集(旺文社・Z会出版・エデュケーショナルなど)
一見すると上記の問題集と同様のタイトルですが、こちらは模試などを使った実践的問題集ではなく、単元別の問題集です。具体的には以下のものがあてはまります。こちらは共通テストの実戦問題集及び土台問題集として使うことができます。中には完成問題集として使っても構いません。

(1)短期攻略 共通テスト(駿台文庫)
(2)共通テスト 実践対策問題集(旺文社)
(3)大学入試共通テストトレーニング問題集(山川出版社)
(4)共通テストへの道(山川出版社)
(5)ハイスコア共通テスト攻略(Z会出版)など

③全レベル問題集②(旺文社)、レベル別問題集③(東進ブックス)
こちらも上記の問題集と合わせて使えます。ただ、どちらかというと私大マーク対策としても使うことができる単元別の問題集です。ただし、欠点としては、問題数が足りない点です。これだけで対策をするならもう1冊上記の問題集を用意しておいた方がいいです(学校用教材が豊富にあるならそれでもよい)。

④日本史図版・史料読み取り問題集(山川出版社)、共通テスト日本史B史料・図版の読解問題100(旺文社)
こちらは使い方としては、上記➀②③の問題集などで史料問題や図版問題、地図問題などで苦手にしている方が補充する問題として最適です。前者は単元別にできる問題集ですが、教科書レベルから学べる点では初学者などで苦手な方はこれを使うといいでしょう。後者は解説が非常に詳しいので、着眼点などを知ることができます。両方使ってもいいくらいです。
なお、この著者は元祖日本史のカリスマ講師である菅野祐孝氏です。

4.予想問題集(完成問題集としても使用可)
予想問題集は最後の直前期に行うと効果があります。できれば直前期の土日を使って共通テストで行われる日程・時間で行うのがいいでしょう

➀共通テスト予想問題パック(河合出版・駿台文庫・Z会出版)
定番となっている予想問題パックです。全科目分1回ずつできます。できればこの予想問題パックはどれか1つに絞った方がいいです。上記の目標点をもとに選ぶといいでしょう。

②大学入試共通テスト日本史B予想問題集(KADOKAWA)
こちらは本試験の問題と予想問題が3回分あります。どちらかというと実戦問題集と同じような使い方になると思いますが、実戦問題が足りない人は行ってもいいと思います。ただ、短期間で行うにはあまり適していないので、この問題集を使うときは使用用途などに気を付けてください。

以上のように、それぞれの使い方に気を付けてください。使い方を間違えるとせっかくの良い問題集も効果が半減します。

■一問一答集は使ってもいい?

もう一つ、知識の確認を行う際に重要な要素として、一問一答集を使っていいかどうか、という話です。結論から言うと、知識の確認を行う場合は問題ありません。しかし、目的のない一問一答の使い方は成績が向上しません。それなら教科書や問題集を利用するのがベストです。加えて用語集を使って調べる習慣をつけてください。
一問一答集をどうしても使いたいのであれば、「日本史B一問一答」(東進ブックス)、「日本史ターゲット4000」(旺文社)などを使うと十分です。ただし、共通テストのみであるなら、「日本史B一問一答必修編」や「共通テスト一問一答」(どちらも東進ブックス)のどちらかを使うといいです。その際に、一問一答の学習は移動時間などを使って学習するのがいいです。長くても30分くらいで切り上げるようにしましょう
注意点は、こちらの問題集を中心に学習するのは効果が薄いです。様々な問題形式に対応できるようにしましょう。

また、年代並び替え問題などが苦手な場合は「日本史年代サーキットトレーニング」(かんき出版)を使って年代の大まかな動き・流れをつかんでおきましょう。土台問題集と合わせて使うと効果はあります。

■どのような対策をしたらいいの?

では、今年大きく難易度が難しくなった共通テストにどのように対応したらいいのでしょうか。

まず、安易な暗記に頼らないようにしてください。そして、正しい学習法を身につけて学習を進めてください。
そして、正誤問題については私大用の対策を行うようにしましょう(文系学生で日本史を私大で使う場合)。近年の正誤問題は私大形式のような作られ方もしています。正誤問題の解き方、考え方などをしっかりと身につけておきましょう。理系の方は共通テスト一問一答などを使って学習してもいいでしょう。
加えて、普段から習慣づけて学習をすることを忘れないようにしましょう。その際にサブノート(学校のプリントなどでもよい)なども活用して自分の中で使える土台知識のテキストを作っておきましょう。特に今から始めておくことで他科目の負担を軽減することができます

色々な内容について疑問をもって取り組むようにしましょう。共通テストもこのような問題形式が増えると思います。それを身につけた土台知識を使える知識にしましょう。そのためには僕が常に提唱している「周辺知識・関連知識・背景知識」を意識して理解しておかないといけません。加えて、使える知識にしなければなりません
理由としては、大問の最後の問題でまとめ的な問題が出てくるからです。知識の問題だけでなくリード文などの関連性も必要になります。そのため、より「周辺知識・関連知識・背景知識」の3つの知識を使えるレベルにしておくようにしないといけません。となると、丸暗記学習では通用しません。理屈や仕組みなども押さえないといけません

そして、いち早く土台知識の定着をしておきましょう。これが夏になっても仕上がっていなければ9月以降で慌てることは明白です。一日でも早く日本史だけでなく他科目の学習も早く始めておきましょう。

新高3生は今からでも入試に向けた学習を始めましょう。そして、自分で学習を行う方ほどいち早く学習ができる環境を整えておきましょう

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。