残り2か月で日本史を間に合わせる

本日もよろしくお願いします。12月になり、共通テストもあと1ヶ月半、私立入試まであと2か月を切りました。受験生の方はそろそろ仕上げのラストスパートになります。
ですが、この時期特有の問題として、「この時期でまだ日本史ができていない・仕上がっていない」ということです。では、この時期で仕上がっていない受験生は何をしなければならないのか、を少し話したいと思います。

最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
※注1:この話は日本史を中心に話していますが、世界史などの他の選択科目の受講者はそれらの話に置き換えて聞いていただけるといいです。
※注2:この話は学習法の一つを提示しているにすぎず、すべての人にこの学習法が当てはまるわけではありません。

■最初に

まず、予めお断りしておきます。この話は「楽して合格したい」人向けの話ではありません。この時期で日本史(世界史なども含む)が仕上がっていない人は、この残り1・2か月は本腰入れて学習しないと合格しないだけでなく、他科目の足を引っ張りかねない状況になってしまいます
そして、そのような状況を毎年見ているのにもかかわらず、いまだに「逆転合格」できると錯覚に陥っています。そして、現在はYouTubeなどで教育YouTuberが今からでも日本史は間に合う、という情報発信をして、安心感をもってしまいます。そして、最悪なことに、これが後輩にも伝染して、毎年同じような問題点が出てしまうのです。

この場ではっきりと言います。そのような虫のいい話は存在しません!
この時期で日本史や世界史などの選択科目が仕上がっていない場合、たとえ英語・国語で高得点が取れても入試本番で苦戦するのは必至です。

あくまでもYouTubeで発信されるこの時期の日本史学習は、普段からコツコツと学習している人が最後の1・2か月で逆転合格するための方策で、今まで何も学習していない人が1・2か月ですべてを仕上げるための方法ではないのです。前者の場合は過去問対策などを行って不足しているところや苦手単元の対策をするというなら話は分かります。が、後者の場合は、よほどの学習時間を確保しなければならないのです。それだけの覚悟が必要であることは予め知っておいてください。

■今まで日本史の学習を軽視した人は

では、本題に入ります。今まで日本史の学習を軽視した人は、ほとんどの方は英語の学習が仕上がっていないことが多いのです。そのため、まずは英語(国公立志望なら数学も重要)を仕上げようとして、日本史などの選択科目の学習がつい軽視されてしまいます。
そして、今まで十分学習をしてきてこなかったことで、慌てて公募推薦(現在は総合推薦型入試)などに舵を切ってそちらの学習に気を取られすぎているのです。その後、日本史の学習をいざ始めようとしても、どこから手を付ければいいかがわからないのです。

つまり、こういう傾向が毎年見られます。

【日本史学習を軽視してきたケース】
➀英語などの主要科目が仕上がっていない
②①のような状況に焦り、総合推薦型入試の学習に気を取られすぎて、日本史などの学習を行っていない
③その結果、日本史の学習をどうやったらいいかわからない

ほとんどの方は、上記のようなケースになっているため、この時期に慌てて家庭教師や個別指導に駆け込む受験生が多いのです。
残念なことに、こういう受験生の大半は、英語の偏差値が思った以上に高くなく、理想を追い続ける受験を行い、その結果失敗するということもあります。もちろん、その後の学習で奮起して合格した人もいますが……

僕は学内予備校や現役予備校などで授業をしていた時にも生徒には言ってきています。「公募推薦に時間を取られすぎて本来やるべき学習を軽視しないように」と言ってきました。が、残念なことに、ほとんどの受験生はそのことを気に留めないで、公募推薦の学習に力を入れすぎて、日本史の学習を軽視していました。その結果は火を見るよりも明らかで、一般推薦が本線であったにもかかわらずその時期の学習が飛んでいたことで志望校に合格しませんでした。逆に、この時期にさぼらずに日本史の学習を継続していた生徒はしっかりと合格していたのです。
なので、この話は僕が何年も見てきている経験から出ている言葉なのです。

なぜなら、公募推薦が行われているときの塾・予備校の授業は入試頻出の近代社会経済史、大正デモクラシー、明治文化(塾によっては講習期間で行うところもある)を行うのです。そして、これらの単元は独学が非常に困難な単元でもあるのです。その部分を公募推薦の学習のために講義を休むと取り返しがつかなくなります(実際、ここは点差も付きやすいし、大学によっては大問で丸々出題されます)。
実際、オンライン家庭教師をしているときでも、最初の困っている単元としても上記の単元はよく取り上げられます。そのため、どのように定着させればいいのか、を語句だけでなく内容・関連を意識して指導して付随した問題演習を行わせて、知識の定着を図ります。実際、僕の授業を受けた後で問題を解くと、ほとんどの生徒はこの単元の正答率が飛躍的に上がります。ですが、大事なのは、定着させるために問題文などの周辺知識を加えることで、抜けている知識を補完することも忘れないように言っています

■この時期でも日本史が仕上がっていない人は

では、この時期でも日本史が間に合っていない・仕上がっていない人は何をしないといけないのか?

①インプット学習だけでなく、アウトプット学習を
→ほとんどの方は、インプット学習をしているものの、問題演習などでそれらの知識の確認を行う方法をほとんど行っていません。
え、一問一答で知識の補充をしているからアウトプット学習はできている、という人。そのやり方は完全なアウトプット学習ではありません。一問一答はアウトプット学習をしたのちに、知識の総確認を行うために使うものです。ここでいうアウトプット学習は問題集で問題を解くことです。

【アウトプット問題集】
①レベル別問題集③④⑤⑥(東進ブックス)
②基礎問題精講(旺文社)
③標準問題精講(旺文社)
④全レベル問題集①~⑤(旺文社)
⑤HISTORIA(Gakken)
⑥日本史100題(Z会出版)……など

ただし、上記の問題集をどれを行ってもいいわけではなく、自分の受験校、使用する形式などによって使うべき問題集は変わります。そして、似たような問題集はどれか1・2冊で十分です。
もし、予備校などで問題集を持っている場合は、それも1冊として数えても構いません。上記のものを行った後に知識の整理をするために一問一答形式の問題集で確認をするのは悪くありません。それをしないで一問一答形式の問題をするのはあまり効果がありません。つまり、一問一答の使い方に気を付けないといけません。
問題集の違いについては別記事でまとめています。

②一からするのではなく、苦手なところからとりかかる
これはあるあるですが、勉強を始めるときは一番最初の原始・古代から入ります。これは普通です。ですが、苦手な単元は中盤から終盤にかけて多くなります。そのため、自分で一通り土台問題集を行った時に、より正答率や定着率が低いところを見たうえで、自分が優先的にとりかからないといけない単元を把握しないといけません。そのため、最初にするべきことは、土台問題集を一通り仕上げたうえで、正答率の低い問題を洗いざらいすることです。それを2周目以降でしっかりと時間をかけて定着させてください。
目安としては、早慶で9割以上、関関同立・GMARCHが8割5分以上、上位私立で8割、中堅私立で7割以上取れていなければ土台ができていないと判断していいです。あくまでも目安なので、もう少し目標点を上げてもいいかもしれません。

③マーク式なら正誤問題の考え方を、記述式なら実戦問題を
これについてですが、大学によって問題形式は変わります。マーク形式が中心なら、正誤問題・年代並び替え問題・知識問題などの形式がメインになります。正誤問題については、様々なタイプがあります。まずはこれを知ってください。記述式がメインの場合は、実戦問題の経験がモノを言います。ここでいう記述式とは、語句などを書かせる形式のものです。論述になるとまた話が変わってきます。
つまり、大学の出題形式に沿って学習をしていかないといけないので、学習する際には気を付けてください。もし、マーク形式で空欄補充が出されるときは、選択肢がなくても答えられるトレーニングをしておくといいでしょう。なお、慶應の文学部は選択肢があっても答えがないケースもあります。そのため、上記の学習は効果があると思います。
正誤問題は正しい考え方・アプローチ法を知らなければ正答率は上がりません。そのための正しい学習法を知っておかないといけません。間違っても語句だけを増やしても正誤問題の正答率は上がりません

④最後に仕上げの問題集を短期間で仕上げる
実戦問題の経験をつかんだら、最後は1冊仕上げの問題集をしておくといいでしょう。よく、直前期に問題集や参考書を買うのは好ましくない、というのはわかります。これは、普段からコツコツと学習している人だとそのように言います(その場合は11月くらいから定期的に仕上げるように言ってます)。が、短期間で仕上げないといけない場合はこの限りではなく、最後の仕上げ問題集を1冊行ってもいいと思います。生徒の状況によって対応も変わります。もちろん、過去問などを行うのは当然ではありますが、様々な問題に慣れるには、仕上げ問題集を行うのが吉です。そのための計画も立てておきましょう。

■とはいっても……

と、僕は日本史についてこのように言っていますが、忘れてはならないのが、英語の学習です。この英語学習を疎かにした場合、最悪の場合、たとえ国語・日本史が合格点に達していたとしても合格しないこともあります。なので、英語の学習時間だけは最悪でも確保しておかないといけません。

僕なりに理想の学習配分(文系私立大学志望)は、1日の学習時間の半分は英語にあて、残りの半分を国語・日本史に充てるのが理想です。日本史と国語については、入試先の配点などによって変わります。そのため、国語にやや比重を重くするのか、日本史に比重を重くするのかによって変わります。
国公立文系はこれに数学が入るケースがありますので、その分のバランスをしっかりと取りましょう。そして、この時期で日本史にかける時間は2時間~2時間半までにとどめておきましょう(普段なら1週間で3日、30分といってます。1日30分~1時間とも言っているときもあります)。

これは、僕がオンライン家庭教師で日本史を受講している生徒全てに言っています。

■来年度の受験生へ

来年度、受験生の方はこのことを肝に銘じて、一日でも早く受験勉強を始めてください。そして、早い段階で英語の土台を仕上げておきましょう。日本史も早く始めることに越したことはありません。つまり、2か月だけの突貫作業で難関私立が合格できる、という甘いことは考えないでください!
この現実を知っておきましょう。なので、早い段階で入試レベルができておくと他科目の学習負担が軽減されます。今からでも遅くありません。今日からでも入試に向けた勉強を始めてください。

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