共通テスト解析その1 大問1・2

本日もよろしくお願いします。
まずは今までの投稿が多忙のため遅くなったことをお詫びいたします。
今年も皆様のサポートなどよろしくお願いいたします。

早速、本日行われました共通テスト本試の問題を解析していきます。
今回も長編となるので、大問2つずつに区切っていき解説を行いたいと思います。僕なりの難度・解きやすさなども見ていきたいと思います(僕が問題を読んだときに少し苦戦したところも踏まえて話せたら、と思います)。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

なお、問題については、代々木ゼミナール・駿台・東進・河合塾などのサイトより取ってください。難易度などについては、東進・代々木ゼミナール・駿台より出されているものを参照にしています。


■昨年からの難易度

僕の私見で言うなら、昨年より史料の読解が少し難しかったと思います。僕も苦心しながら解いていましたが、よく読まないと読み間違いが起こってミスにつながってしまいました(2問ほど間違えていました)。
ただ、全体的な難度でいくなら昨年より平均点は下がるものの、60点前後で落ち着くのでは、と思っています。

問題文に解答の根拠がある問題もあるので、問題文をよく見て判断できたか、というのが点差を分けたのでは、と思います。僕が少し苦心したのは、史料をよく読んで判断しないといけない問題でした(そこで少し読み違いをしていました)。
あとは年代並び替え問題が少し多かったこと、組み合わせ正誤も多かったことを踏まえると、正しい判断ができたかどうか、が点差を分けたかもしれません。

ここでの失敗を気にしすぎたら、残りの科目に影響が出ます。そういったことを気を付けてください。
そして、次年度受験される皆様、今の現状で何が足りないのか、昨年の共通テストとの相違点などをしっかりと解析して、どんな学習をする必要があるか、を意識してください。受験生という自覚を持ってください

■大問1 解析

大問1は名前の歴史です。あまりなじみのないテーマの問題で苦戦した方も多かったと思います。
今年もテーマごとの設問については、代々木ゼミナール、大問は駿台の分析をそれぞれ参照にしています。

【大問1の難易度】
代ゼミ=A:やや難、B:やや難
駿台=大問1:標準

問1は空欄補充の問題ですが、北条政子の北条は「姓」なのか「苗字」なのかという相違点です。これはメモをしっかりと読むことがポイントです。ここは「苗字」となります。つまり、「姓」は「の」がつくが、「苗字」は「の」がつかないのです。
例外の豊臣秀吉ですが、秀吉は朝廷から豊臣姓を授かっていた、という背景知識を知っていれば、豊臣は「姓」となります。そのため「とよとみの・ひでよし」とするはずなのに……ということだと思います。
明治時代になると平民も苗字を名乗らせましたが、近代国家の国民として把握させたかったのでは、と推測できます。それ以前に、華族・士族・平民の身分を撤廃した事実はありません。
この問題でいきなり肝を冷やされた方もいますが、じっくりとメモを読み込む、背景知識を駆使することができれば判定できたと思います。

問2ですが、Xは信濃国で活動していたのは源義仲です。Yは後半部分の東国支配を任されたと、将軍と対立して自害した、から足利持氏と判断できます。つまり、将軍と対立して自害した事件は永享の乱です。
ここは確実に正解を出しておきたいところです。

問3ですが、活躍した人物の順番が分かれば判断は可能です。Ⅰの近松門左衛門は元禄文化の人物、Ⅱの江川太郎左衛門(江川坦庵)は江戸後期から幕末の人物、Ⅲのウィリアム=アダムズ(三浦按針)は江戸初期の人物です。
このように活躍した人物、事件名、政策などの並び替えは結構出題されます(昨年は事件名での並び替えで出題されていました)。これは「日本史年代サーキットトレーニング」(かんき出版)などでトレーニングをしておくとよかったと思います。

問4ですが、a・bの組み合わせは、嵯峨天皇から判断できますが、確実に判定するなら嵯峨天皇の子どもたちを判断するのがいいでしょう。会話文では「共通の漢字がつけられる」というところに注目するとbの唐風化の影響が言えるでしょう。背景知識としては、この時期はまだ唐風の影響があること(嵯峨天皇の時代の文化は文章経国の思想があり、勅撰漢詩集が編纂されていた)がわかればそこからでも判断はできると思います。c・dの組み合わせは、天皇の子どもでも臣下となるものというのは、系図から判断するといいでしょう。こちらで判断できなくても、皇位継承の順番が明確になっているわけではないことがわかればcが正文となります。つまり、消去法を使って解答を出すのが適切でしょう。
この問題は少し苦戦したかもしれません。

問5ですが、表をじっくり読むことと年代を一致させることが分かれば判断は容易です。「勝利を祈願する」から「勝」という字が出ています。これは1942年から「勇」に代わって1位になっていることから正文と判断します。あと、1946年からは「勝」という字がトップ3から陥落しているところも見逃せないです。天皇の代替わりは1926年で「昭」や「和」という字が1927年や1928年でみられるのでどちらも正文と判断できます。
ここは素直に読み取ればいいですが、深読みしすぎないようにしましょう。

問6ですが、メモや会話文などを見てから判断するのが妥当です。a・bの組み合わせは、aは「姓」のメモを参照にすれば正文と判断できます。bの「夫婦同姓が原則」は保留にしてもいいですが、誤文です。c・dの組み合わせは武士身分との差別化は身分統制の話から容易に判断できます。啓蒙思想の普及についても保留ですが、ここが誤文になるでしょう。それよりも戸主制が影響していたのでは、と想定できます。

正しい正誤問題の解き方・考え方などを活用したうえで、史料の読解・判断などを問わせる問題でいきなり時間がかかった受験生も多かったのでは、と思います。そういったところから代ゼミではやや難としたと思いますが、実際に解いてみるとそうでもなかったため、駿台は標準にしたのでは、と思います。

■大問2 解析

大問2は古代の法整備の歴史と遣隋使・遣唐使との関係性を問わせる問題です。

【大問2の難易度】
代ゼミ=標準
駿台=やや難

駿台の講評はやや難としていました。問3・問4の出来が点差を分けたかもしれません。

問1は「600年に派遣された遣隋使」という問題文に注意がいけばそこまでの難問ではないと思いますが、正誤文だけを見てしまうと③を選んだ受験生が多かったかもしれません。ですが、①のほうが明らかな正文なので、選べたかもしれません。

問2も問題文をよく読まないと正誤判定ができなかった恐れはあります。a・bの組み合わせはどちらも正文ですが、aは空海で9世紀の出来事なので誤文にしないといけません。このように、どちらも正文だった場合は時期ズレ(もしくは指定語句・人物)の可能性が高いので、しっかりと判定をしておきましょう。c・dの組み合わせも時期ズレ正誤です。文章自体は正文です。cは阿弥陀如来や来迎図から11世紀の浄土教ではないか、と想定できます。よって誤文です。

問3は戸籍・計帳の史料を読み取る問題ですが、史料文・注などを丁寧に読み取ると解答は出せると思います。が、時間がかかった受験生もいたのでは、と思います。

問4は年代並び替え問題ですが、史料そのものを並び替えるという難関私大並みの難問となっています。救いは問題文に「憲法十七条・養老令・延喜式」と書いているので、それをもとに判断していくしかありません。
Ⅰは養老令とわかればいいのですが、保留にする方もいます。Ⅱは国造とあるので、憲法十七条と判断できるでしょう。Ⅲは「令条の期の後」とあるので、養老令が出された後と判断できると思います。よってこれが延喜令では、と判断できます。
史料のキーワードを拾っていくため、判断に時間がかかった受験生も多かったのでは、と思いますが、昨年の共通テスト第1日程でもこれに類似した出題はされています。

問5は年表も参考にしていけば判断は容易です。天皇の代替わりごとに律令の編纂が行われていません。なお、養老令は717年に制定されたものの、実施が756年となっているので、天皇の代替わりごとではないことも容易に判定できます。

大問2は問3・4で時間がかかりすぎたかどうかで後の問題に影響が出る恐れがあったと思います。この問題でも周辺知識・関連知識・背景知識の獲得がどれだけあったか、かつどれだけ活用できたかで点差が分かれたと思います。

では、追って大問3・4の解析に移ります。

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