共通テスト日本史追試験解析1 大問1・2

本日もよろしくお願いします。先日行われた共通テスト日本史の追試験の問題がアップされましたので、早速問題を解いて解析をしてきました。
それでは、今回から3回にわたって解析をしたいと思います。

なお、今回の解析については、所属塾・予備校などとは関係ございません。所属予備校には解析する旨は報告しています
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。今回の問題は以下のサイトより閲覧いただきたく思います。

■共通テスト追試験解析

今回の追試験の共通テスト日本史ですが、本試験と同様に史料読解問題が異様に多く読解に時間がかかったのでは、と思います。史料の読解が正誤判定の材料になったり、リード文などを見落とさずに見ることができたのか、ということも点差を分けたのでは、と思います。

僕が解いた感じの評価はやや難でした。僕も何問かは読み間違いをしたため、読解力の精度を上げていかないと、と少し反省しています。
つまり、正確な読解力と大意力を身につけなければなりません。古典が苦手な生徒は少し苦戦した可能性はあったかもしれません。

■大問1 解析

それでは、大問1から解析を行います。

大問1は日本社会の戦士の歴史です。共通テストでは珍しい旧石器・縄文時代の内容も入っています。出題頻度自体は高くないものの、出てくることもあるので、一応知識の確認を忘れないようにしましょう。

問1は空欄補充問題です。アは弥生時代の防御機能なので環濠集落です。ダミーの朝鮮式山城は白村江の戦い以後に造られたものです。イは江戸時代の方広寺の問題なので、鐘銘問題になります。ダミーの僧の紫衣より1629年の紫衣事件が出てきます。

問2は石器の論争問題ですが、Xの遺跡の性格については材質の分析なのか、出土した遺物の検討かをみると、旧墓・住居などから材質の分析ではないことがわかります。Yは石器の性格が実用品か儀礼品かですが、形状や仕様の痕跡を見るのが正解でしょう。科学的な年代測定ではないです。

問3は史料読解とそれに付随する知識を活用した問題です。
史料は970年に作成された「二十六箇条起請きしょう」の一部です。実は、この970年はYの正誤判定をするのに必要となります。Xの判定は一の話をよく読めば判定できます。そうすると正文とわかります。Yは文章自体は正文です。が、先ほど僕は970年に注目、と言いました。そう。強訴は11世紀後半から12世紀半ばにかけて行われたものです。文章が正文だからといっても時期ズレの正誤判定があります。これは今年の共通テストでも出題されていましたので、時期にも気を付けておきましょう。

問4は近世の儒学の話です。江戸時代前期の諸藩改革の話が分かれば判定は容易でしょう。①は蘭学ではなく陽明学、②は群書類従は塙保己一の作品、④の本朝通鑑は林鵞峰の作品でそれぞれ誤文です。ここでは、諸藩改革を行った人物とそれに関する関係人物・作品・内容に気を付ければ判定できます。

問5は内容組み合わせ問題です。Yの征韓論は問題ありませんが、Xのほうが四民平等とすぐに判定はできません。農民も政府に動員から徴兵令の話と分かれば、武士との関係があまりないことから四民平等とは出ますが、説明文だけでは判定は容易ではありません。内容と語句がきちんと整合できるようにトレーニングしておきましょう。

問6は史料の判定及びそれに関する知識問題の組み合わせ正誤問題です。3行目の「保元・平治以後、朝綱頽弛ちょうこうたいしし、」とありますが、ここに注目した人はbを正文にする人がいますが、ここは判定材料ではありません。7行目の「四民漸く自由の権を得せしめんとす。~人権を斉一にする道にして、則ち兵農を合一にするもといなり」とあるので、aのほうが正文になります。残りの組み合わせはdの徴兵令の年齢が18歳ではなく20歳なので、こちらが誤文になります。

他の問題と比べると史料読解問題はそこまで難しくはないですが、大問1だけでも2つの史料問題が出ています。僕がみた大問1の難度は標準になります。

■大問2 解析

では、大問2に行きましょう。大問2は雑穀の栽培に関する話で粟と麦についての話です。Aが粟、Bが麦の話です。今回は原始の歴史も出題されているので、最低限の知識はチェックしておきましょう。

問1は原始・古代の穀物栽培に関する正誤問題です。稲作が行われたからといっても狩猟や採集を行っています(①が誤文)。また、弥生時代後期以降からは鉄製農具の使用が認められ、石器が用いられなくなったのです(③が誤文)。また、口分田に課せられる租は収穫高の3%なので、3割ではなく3分にしないといけません(④が誤文)。ここに引っかかった人もいたのでは、と思います。ちょっとした算数の知識ですが……

問2は質問に対応する史料の組み合わせ問題です。Xは粟が蓄えられた理由を問われています。aは粟二斗を稲三束なので、蓄えた理由からは外れます。私立入試では粟を蓄える義倉も覚えておきましょう(ただし、江戸時代での義倉は米を蓄えます)。Yは粟の徴収方法なので、税に関する話では、と類推できます。よって、義倉として徴収したのでは、という判定ができます。

問3は小麦の納入に関する問題です。今回は小麦の納入国と調の全品目について読み取れれば問題ありません。
Xは繊維製品は絹・糸が該当し、海産物はアワビ・カツオが該当し、銭貨は銭が該当するので、正文と判定できます。Yは小麦が調として納入とありますが、畿内諸国では調として納入されていません。調として納入していたのは壱岐のみです。よって誤文です。資料読解が正確にできればそこまでの難度ではありません。

問4は年代並び替え問題です。今回の問題は特定の語句よりも内容判定になります。Ⅰは田部とあるので大和政権の時期と判定できます。Ⅱは荘園、浮浪・逃亡とあるため、奈良時代から平安時代と判定できます。Ⅲは荘園とありますが、寄進がキーワードです。よって、平安時代中期の出来事とわかります。語句だけで探そうとしてもⅡとⅢは荘園とありますので、荘園の内容まで踏み込む必要があります。ここがわからなければ正答率は下がります。

問5は組合せ正誤問題です。aは雑穀は日常的な食用は禁止されているわけではありません。リード文に「粟は古代の人々にとって身近な作物だったようで、蒸したり粥にしたりして食べられていた」とあります。
粟に関する話はリード文に「稲の代わりに粟を税として出すことを許可する法令を出した」とはっきり書いています。よって、dが正文、cが誤文となります。

問5はリード文を丁寧に読み取れたかどうかで正答率が変わります。共通テストになってこういうタイプの問題が増えてきています。問題文だけでなく、リード文にも注目しておきましょう
難度としては標準といっても点差はついてしまうでしょう。よって、正しい読解を身につけなければいけません。そのための問題を解く練習をしておきましょう(まとめのところでお勧めのトレーニング問題集を紹介いたします)。

では、次の問題にいきましょう。

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