公立高校入試頻出テーマ史の攻略 SDGs

本日もよろしくお願いいたします。本日は、ここ近年で出題頻度が高くかつ新課程教科書で大々的に取り上げられているSDGsをテーマとした出題形式を公開したいと思います。一応、僕が以前予想問題としてアップした問題でもSDGsを題材とした問題を作成しまして、2021年入試では茨城県ほかで取り上げられていました。大問として取り上げなくても、一つの題材として取り上げているところもありました。
僕としても、今後SDGsを題材とした出題が増えると予想しているので、今回は特別にSDGsをテーマとした問題ではどのような問題が狙われるのか、を解析したいと思います。

今回の記事は特別無料公開となります。本来なら有料記事の内容です。が、これを知らないで点差がついてしまうのはよくないと思うので、特別公開という形で提供したいと思います。最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■SDGs17とは

まずは、SDGsとは何か、ということを知らなければなりません。SDGsとは、持続可能な開発目標のことで、Sustainable Development Goalsの略です。2015年に国際連合に加盟する193か国の賛成で採択されました(「新しい社会 公民」(東京書籍)を参照)。地球規模の課題を17の領域に分けて課題の解決に向けて2030年までに達成することを目指した目標のことです。

一つの課題に対する目標を立ててそれに対する活動を考えていくようになります。その目標が複数にまたがることもありますが、優先度は状況に応じて異なります。

■SDGs17の目標

それでは、SDGsの17の目標についてみていきましょう。SDGsのそれぞれの説明については、以下の参考書などを参考にしてください。

【SDGs 17の目標】
1 貧困をなくそう
2 飢餓きがをゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8 働きがいも 経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう

以上が17の目標となります。
近年は、企業や社団法人などでもこれらの目標を基に社会貢献をする動きもでています。

■入試問題ではどのような切り口で出る?

では、ここからが本題です。この17の目標を基に入試問題ではどのように出題されるのか、僕の予想とともにこれから話していきたいと思います。

1 貧困をなくそう
これを基に出題が出るとするなら、地理・公民では地域紛争、スラムなどが関連しそうです。歴史では江戸時代のききんなどや明治時代の農村生活などを題材に出題されると思います。

2 飢餓をゼロに
これも目標1とセットで出題されることの方が多いかもしれません。歴史はそれに加えて不況に関する知識も欲しいです。地理や公民の場合は、食料自給率のデータが用いられて資料読解型の問題が出る可能性も予想されます。

3 すべての人に健康と福祉を
このタイプは公民での出題が中心となります。社会福祉を題材に出題すること、人口の推移、平均寿命、世界の社会福祉との比較を資料を用いて出題してくると予想されます。人口と平均寿命に関するところは地理の知識でもあるので、関連させておくといいでしょう。

4 質の高い教育をみんなに
これはどちらかというと歴史の出題があると思います。江戸時代の寺子屋、明治時代の学制からの動き(お雇い外国人も含む)、ジャーナリズム史、戦後の義務教育、無料塾などを運営するNPO法人の知識などが必要となるでしょう。

5 ジェンダー平等を実現しよう
このタイプも歴史の出題になると思います。女性史をテーマとした出題を含め、関連知識で三分野総合問題に持っていく形式になるでしょう。出題予想としては、女性天皇、平安・鎌倉・江戸の女性の地位、明治以降の女性の地位と婦人参政権、女性の社会進出などを意識しておけばいいでしょう。公民では、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法、それを制定する契機となった女子差別撤廃条約なども関連して出題される可能性はあります。

6 安全な水とトイレを世界中に
関係があるとすれば、アジア・アフリカの貧困の話にもつながりますが、どちらかというと、自然環境の方がしっくりくるのでは、と思っています。あとは戦後の水質汚濁にかかわった公害問題も出題されると思います。

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
これについては、歴史の産業革命を題材にすることはできます。そのうえで自然環境につなげる問題も出るでしょう。また、地理では工業地帯の知識、火力発電や地熱発電などの知識も必要になるでしょう。

8 働きがいも 経済成長も
働きがいを中心にするなら公民だと労働基準法などの関係、歴史だと労働史をテーマとした問題になると思います。経済成長なら、戦後の経済成長を中心に問題を作成することが予想されます。公民の場合は経済成長と企業に関する問題、企業の社会的責任を問う問題が出るでしょう。気を付けないといけないのが、近年は社会的責任をCSRと答えさせる問題もあるため、両方できなければ思わぬ失点に陥る恐れがあります。

9 産業と技術革新の基盤をつくろう
地理だと日本の工業や世界の工業を中心に考えることになります。そして、入試によっては対蹠点たいせきてんを利用して仕事の依頼に関する問題も記述で出されるかもしれません(インドとアメリカ、日本とブラジル、の時差を活用するといった感じ)。公民でも技術革新としてICTなどを問う問題が出るかもしれません。そして、近年ではこのICTの略称を答えさせる問題も出ています。名称だけでなく略称も合わせて押さえておきましょう。
加えて、世界の工業で気を付けるキーワードとして、ハイテク産業についても関連知識を持っておきましょう。

10 人や国の不平等をなくそう
出題テーマとしてはゴール1・2・4と併用することが多いと思います。公民だと法の下の平等、南北問題、南南問題などが出題されるかもしれません。
もう一つ気を付けないといけないのが、フェアトレードやマイクロクレジットに関する問題です。これも近年では出題頻度が上がってきている内容です。滋賀県ではフェアトレードを用語説明型で記述させた問題が出ています。もちろん、正答率は10%を切っている難問となっています。合わせて途上国の自立に踏み込んだ出題も予想されます

11 住み続けられるまちづくりを
この問題だとまちづくりや町おこしなどがテーマになることが予想されます。あとは環境問題も一緒に関連させることも予想されます。町おこしなどの知識は地理・公民で関連付けられるようにしておきましょう。出題された場合、自由記述型の記述問題が出されることが予想されます

12 つくる責任 つかう責任
これは企業の社会的責任が中心になると予想されます。そして、ごみ関係の出題も可能性はあります。企業の構成や株主総会などの問題も気を付けたほうがいいでしょう。

13 気候変動に具体的な対策を
これは環境問題がテーマになりやすいでしょう。公害対策、酸性雨、環境問題の会議や機関などの歴史が聞かれてきます。特に2015年に行われたパリ会議については近年出題が増えていくと予想されます。

14 海の豊かさを守ろう
地理だと水産業が中心になるでしょう。公民でも出てくる領海や領空、排他的経済水域などの関係も出題されると思います。

15 陸の豊かさも守ろう
ゴール13・14と併用して出題されると思います。自然環境と関連させる場合は、エコツーリズムの語句・内容を知っておく必要があるでしょう。特に北海道やヨーロッパが出題範囲になったときは警戒しておきましょう(青森県での正答率は7.7%)。

16 平和と公正をすべての人に
平和関係で行くなら、国際連合などの機関、憲法9条、効率と公正辺りは知っておく必要があります。また、歴史でも世界大戦が起こった後の平和に関する取り決めなども押さえておきましょう。

17 パートナーシップで目標を達成しよう
最後のこの課題については、様々な課題と融合して出題することが多いと読みます。また、地域主義の動きも気を付けておきましょう。課題としては経済格差が問われてくるでしょう。

■関連知識・背景知識の量がモノをいう

SDGsを絡めたテーマ問題は、関連知識・背景知識の量がモノをいいます。なぜなら、上記でも解説した通り、様々な出題形式があるため、それらを知っておくことが重要だからです。そのうえで、資料読解、用語説明、因果関係型の短文記述問題が出題されるので、それに対する周辺知識などを身につけておく必要があると思います。

僕が昨年予想問題を作成したときは、それらを意識した問題を作成しました。そうしたら、ほぼ予想通りの出題がされていました。もちろん、問題の編集上、出題想定をしていた問題を泣き泣き外したところが出題されたりしており、僕としては出題のされ方など、予想問題が大きく間違っていないことも証明されました

上記の記事は、僕が今年解析しました2021年茨城県の問題と僕が実際に予想問題として提供した記事です。実際に予想問題の記事を購読いただけるとわかりますが、茨城県の出題に近い形式がとられていることがわかります。
僕がSDGsをテーマにした出題をするなら、このように出題することを想定して問題を作成しています(なお、すべての問題は過去問の切り貼りではなく、オリジナル問題で構成しています)。2022年入試でもSDGsをテーマとした出題が予想されているため、ぜひ購読いただきたく思います。受験生に思わぬ点差をつけることも可能です
なお、2022年度の予想問題は昨年作成したテーマ(昨年の予想問題テーマは感染症・災害・SDGs)と違うものを作成します(10月から1題ずつと考えると4題程度は作成できると思います)。提供できるときになりましたら、公式noteや公式Twitterなどで連絡いたします。それまでお待ちください。
今回の購読特典は、オンラインでの特別解説、短文記述問題の添削などを予定しています。購読された際に一声かけていただけると幸いです。

これらの問題を見ても、単品で理解する知識で対応しようとすると思わぬ失点につながります。周辺知識・関連知識・背景知識の3つの知識を活用できるように理解しながら覚えていかないといけません。そのため、単元別の問題を解いた際に、どの単元と関連させる必要があるか、を意識しておきましょう。そうすることで、一つの知識で複数のとらえ方ができます。

■高校学習の接続につながる

高校入試の問題は、高校学習の接続につながるものがほとんどです。そのため、入試問題で出た短文記述問題、資料読解問題などは、高校学習でも活用できると思ってください。これを知っておくと、様々な場面で活用できると思います。

そして、何よりも、現役の塾講師の先生、中学生を指導している学校の先生も自府県だけでなく全国の公立高校入試は解いておく必要があります。ここから新たな知識が手に入るだけでなく、最新の出題形式も見えてきます。自府県の問題をしっかり解かせるのも大事ですが、他府県の問題にも目を向けなければ、思わぬ点差がついてしまいます。この積み重ねが様々な知識の活用につながると思います。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。サポートいただいたものは一般社団法人CAMELの活動費として活用させていただきます。