【高校入試紙面講義】2020年熊本県 大問3

11月から始めた紙面講義ですが、1か月たちました。閲覧いただいた皆様、ありがとうございます。今回は熊本県の大問3を取り上げたいと思います。取り上げた理由は後に分かると思いますが、新課程にも影響を及ぼす問題が散見されたので、そのことにも触れながら話していきたいと思います。

■問題

それでは、今回の問題を見てみましょう。

1 下線部①(金属器)について、金属器のうち、( a )器は主に祭りの道具として使用され、鉄器は実用的な工具や武器として使用された。4世紀ごろになると、大和政権(ヤマト政権)は鉄や進んだ技術を求めて朝鮮半島南端の伽耶地域(加羅諸国)と関係を深め、b(ア 百済 イ 魏 ウ 隋)と結んで高句麗や新羅と戦った。( a )に当てはまる語を書きなさい。また、bの(  )の中から適当なものを一つ選び、記号で答えなさい。
2 下線部②(渡来人)について、図14は6世紀に渡来人と結び、ヤマト政権で勢力を伸ばした蘇我氏と皇室の関係を示した系図(系図は省略)である。推古天皇の「おい」に当たる( a )は、推古天皇の「おじ」に当たる( b )と協力しながら、新しい政治を行った。( a )、( b )に当てはまる人物を、それぞれ書きなさい。(注:実際は系図から選ぶ問題です)
3 下線部③(東大寺の大仏が造られる)について、奈良時代のできごととして正しいものを、次のア~オから全て選び、記号で答えなさい。
ア 藤原純友が、瀬戸内地方で海賊を率いて反乱を起こした。
イ 遣唐使とともに唐へ渡った最澄と空海が、新しい仏教を伝えた。
ウ 律令国家のしくみを定めた大宝律令が制定された。
エ 新たに開墾した土地の永久私有を認める法令が出された。
オ 地方の国ごとに地理や伝承などを記した「風土記」がつくられた。
4 下線部④(中国との貿易により輸入された銅銭が流通する)について、(1)、(2)の問に答えなさい。
(1)宋(南宋)の滅亡後も元との間で、民間の商人による貿易がさかんに行われた。宋(南宋)を滅ぼした元の皇帝は誰か、書きなさい。
(2)1428年(正長元年)、京都周辺で土一揆が発生し、庶民らが土葬や酒屋を襲撃した。史料15は、奈良市柳生町にある岩に刻まれた文である。この文には、「正長元年以前の(  )は、神戸四か郷にはいっさいない」という意味で、一揆の成果を宣言したものである。(  )に当てはまる、資料15の下線部(ここでは太字)で示した「ヲヰメ」(負い目)が意味する語を、漢字2字で書きなさい。
資料15
正長元年ヨリ サキ者カンヘ四カンカウニ ヲヰメアルヘカラス
5 下線部⑤(鉱山開発)について、16世紀になるとわが国では、石見銀山などで銀の産出量が増大し、中国などに大量に輸出された。また、16世紀に先住民を征服し、植民地とした南北アメリカ大陸で銀山を開発した(  )も、アジアでの貿易に乗り出し、大量の銀を中国にもたらした。石見銀山の場所を、図16の●で示したア~エから一つ選び、記号で答えなさい(図16は省略)。また、(  )に当てはまる国名を書きなさい。
6 下線部⑥(備中ぐわなどの鉄製農具)について、江戸時代には農具の改良や新田開発の進展などにより、農業生産力が向上した。資料17は、徳川吉宗に提出された意見書の一部である。また、資料18は、九十九里浜での網を使った大規模な鰯漁のようすを享保年間に描いたものの一部である。資料17から読み取れることを、資料18と関連付けて説明しなさい。
資料17 (『民間省要』現代語訳による)
近年、新田を開発できる場所は開発し尽くしてしまった結果、牛馬の飼料や肥料用の草を刈り取る採草地もなくなってしまい、…(中略)…。だんだんお金で様々な肥料を買うことが世間で一般的になってきた。
7 下線部⑦(大砲を製造する)について、この背景には欧米列強のアジア進出に対する危機感があった。18世紀末以降における外国船の接近と幕府の対応に関する次のア~ウの説明文の下線部(ここでは太字)には、誤っているものが一つある。誤りのある文の記号を書き、正しい語に改めなさい。
ア ラクスマンなどロシア使節の通商要求を断り、間宮林蔵らに蝦夷地や樺太の調査を行わせた。
イ 外国船への砲撃を批判した国学者の高野長英や渡辺崋山らを処罰した。
ウ 清がアヘン戦争で敗北したことを知り、異国船打払令(外国船打払令)を改めた。

■解説

それでは、解説に行きましょう。

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