共通テスト解析その2 大問3・4

本日もよろしくお願いいたします。
それでは、先ほどの共通テスト解析その1の続きをさっそく行います。

※この記事をアップしてる時に解答が公表されました。それに基づいて話していきます。

■大問3 解析

大問3は中世の海に関する問題で会話文形式の問題です。

【大問3の難易度】
代ゼミ=標準
駿台=標準

問1は中世の海と人々とのかかわりで誤文の選択肢を選べばいいです。④の倭寇の話が分かれば容易に誤文と判定できます。おそらく正答率は8割から9割くらいは行けているのでは、と思います。

問2は年代並び替え問題ですが、先ほどの問題と同様に活躍した人物で正誤判定ができます。Ⅰの毛利輝元は毛利元就の息子です。そうなると戦国時代、安土桃山時代と判定できます。Ⅱの重源は鎌倉時代の人物です。Ⅲの平忠盛は平安後期の人物です。平清盛の父親だとわかればいいでしょう。

問3は馬借についての正誤問題です。馬借は陸路で活動していました。ときには徳政を求めての蜂起も行っています。また、拠点は大津や坂本などの水陸交通の要衝を活動拠点としたのでどちらも正文とわかります。
なお、拠点についての話ですが、これは用語集にも掲載しています。

問4は日本と朝鮮の貿易に関する知識と史料読解判定になります。a・bの組み合わせは日朝貿易の輸入品がわかれば容易に判定できます。史料にも「銀両八万に至る」「綿布を以て行用し、民、皆これに頼りて生活す」というところから判定できると思います。c・dの組み合わせは「民の頼る所を以て、の無用の物に換え、利は彼に帰し、我れ其のへいを受く。はなはだ不可なり」「今貿あきないを許さば、則ち其の利の重きをこのみ、後来のもたらす所、必ずや此に倍せん」とあるので、未来に大きな弊害を及ぼす、とあります。そこから判断しないといけません。
これは「今若し~」だけで判断するとcを正文にしてしまいますので、気を付けないといけない問題です。

問5は地図読解問題です。これは以前のセンター試験でも出ていた問題なので、久々に出題された感じです。Xは志苔館しのりだてとわかればいいでしょう。志苔館とわからなくても、「和人」で判断できればいいでしょう。間違っても「越前焼」でbを選ばないようにしましょう。Yは元軍や高麗が使用したてつはう、で元寇のものであることが判定できます。よって九州の北にあるところを選びましょう。

問4は少し戸惑うかもしれませんが、読み間違いがなければ解答は出せると思います。先入観を入れてしまうと問5も引っかかってしまいます。もし、正答率が低かったら、先入観が入ってしまっている可能性があると思います。

■大問4 解析

大問4は近世の身分と社会についての問題で、社会経済史が中心になっています。

【大問4の難易度】
代ゼミ:標準
駿台:標準

どちらも標準となっていますが、「にほよび」では難問という評価をしており、先生方によって評価が分かれるところになります。なお、僕はやや難指定しています。

問1は近世の村や町についての誤文選択です。メモを参考にしても正誤判定はできますが、③については家持らが運営していたため、総意により運営されていたわけではありません。

問2は年代並び替え問題ですが、今回も活躍した人物の時期判定です。Ⅰの東洲斎写楽は宝暦・天明文化の人物です。Ⅱの出雲阿国は桃山文化の人物です。Ⅲの市川団十郎は元禄文化の人物です。今回の年代並び替え問題は人物の活躍時期での判断がこれを含めて4問あります(大問6の並び替え問題は人物だけでなく歴史名辞での判定になります)。このタイプの並び替え問題は何度は高くないと思いますが、丸暗記だけで乗り越えようとしている受験生は苦戦が免れません。今からでも覚え方を間違えないようにしましょう。

問3と問4は史料判定問題です。問3はそこまで難しくないですが、問4は丁寧に読み取らないと間違える受験生が多かったかもしれません。

問3は2つの史料をそれぞれ読み取れば判定できます。史料1は「もし不承知の村は、」以降から読み取ると一揆に加わらない村への制裁を加えることを記していることがわかります。史料2は本文を読む必要はありません。なぜなら、「天明七丁未年五月」だけで田沼政治の頃だと判定できれば、Yの世直し一揆が誤文と判定できます。この時期なら惣百姓一揆が正しいです。

問4は史料の読解が非常に厄介です。問題文に「1836年に江戸の町奉行所」とあるので、c・dの組み合わせは容易に判定できます。問題は史料3の判定です。が、ここで役立つのは本文のメモです。下線部dの「都市では、組織の属さない「野非人のひじん」と呼ばれる人々も増加し、その取締りが社会問題となった」とあります。そのうえで正誤文を見ると、bに「江戸の非人組織を通じて、無宿となった人々を捕まえ、野非人を減らそうとする意図があった」とあるので、こちらが正文では、と思います。
その論拠としては、「右の通り」以降の所を読み取れば非人頭どもが日々捕まえて非人頭のは以下に置いて、とあるので、捕らえて野非人を減らそうとする意図があったと解釈できます。aは一以下の部分だけで判断すると間違えてしまいます。今回はメモをしっかりと注目できたかどうかで点差が分かれたのでは、と思います。

問5は近世の身分と社会についての正文選択です。今回は知識で判定できます。将軍に拝謁できるものとできないものといえば、旗本・御家人です。その話が分かればすぐに➀と判定できます。
職人は村の居住を禁じられているわけではないですし、近世の百姓は林業や漁業にも携わっています。また、えたや非人は非人の説明から誤文と判定できます。

点差が分かれるところが多いですが、着眼点を間違えなければ正しい判定ができたと思いますが、史料判定が少し面倒だったため、そこで時間をとられた受験生が多かったかもしれません。

では、大問5・6の解説に移ります。

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