見出し画像

海外のミュージシャンが日本の歌手に提供した楽曲・80年代編①

80年代以前から海外の著名な歌手やミュージシャンが日本の歌手に楽曲提供するパターンは存在していましたが、それが本格的に多くなったと感じるのが海外レコーディングも浸透しつつあった80年代。今回はそんな時代の「外国製邦楽」とも言える楽曲を5曲取り上げてみたいと思います。

1.ジョン・マクフィー(ドゥービー・ブラザーズ)→矢沢永吉「ROCKIN' MY HEART」(1982)

海外でも発売された永ちゃんのアルバム「YAZAWA It's Just Rock'n Roll」に収録のドライブにも合いそうな軽快で爽やかな英詞シングル。

作詞作曲はアメリカ西海岸のロックバンド、ドゥービー・ブラザーズのギタリストでありマルチプレイヤーのジョン・マクフィーで、彼は同じくドゥービーのパーカッショニストのボビー・ラカインドと共にアルバムのプロデューサーも担当。また、ドラムには同じくドゥービーのキース・ヌードセン、キーボードはAOR系シンガーソングライターのマーク・ジョーダンも参加し、キースはアルバム収録の数曲の作曲も担当しています。

2.ポール・アンカ&ボビー・ゴールズボロ→田原俊彦「さらば・・夏」(1983)

50年代から活躍する元祖シンガーソングライターとも言える大御所ポール・アンカと、カントリーポップ系シンガーソングライターのボビー・ゴールズボロがトシちゃんに提供したシングル(作詞は岩谷時子さん)。

ポールは50年代には平尾昌晃さん、70年代には朱里エイコさんに楽曲提供をする等(それらについてはまた別の記事で)元々日本の歌手とも縁のある方で、スローなバラード風に始まりサビではアップテンポになるという凝った曲の展開は流石といった所。ちなみにポールさんと田原さんは1983年12月19日放送「夜のヒットスタジオ」で初めて顔を合わせました。

3.アンディ・マッコイ(ハノイ・ロックス)→本田恭章「Keep Our Fire Burning」(1983)

フィンランド出身のグラムロックバンドであるハノイ・ロックスのギタリスト、アンディ・マッコイのペンによる元祖ビジュアル系ロッカーの一人として数えられる本田恭章さんの叙情味溢れる曲。

この曲が収録された「ANGEL OF GLASS」ハノイ・ロックスのメンバーをバックにロンドンでレコーディングされたアルバムとなっています。また、この曲は2000年代前半のハノイ・ロックス再結成時にフロントマンのマイケル・モンローがこの曲のデモテープを発見し、2004年に新たな歌詞が加えられセルフカバーされています。

・ハノイ・ロックスによるセルフカバー


4.ニール・セダカ→森口博子「水の星より愛をこめて」(1985)

前述のポール・アンカと共に50年代から活動するシンガーソングライター、ニール・セダカ作曲、売野雅勇さんが日本語詞の森口博子さんのデビュー曲であり「機動戦士Zガンダム」の後期オープニングテーマとしても知られるスペイシーな一曲。

ガンダムの総監督である富野由悠季さんが元々ニールさんの大ファンで、ロサンゼルスの彼の家まで訪ね楽曲提供が実現、同じZガンダムの鮎川麻弥さん歌唱の前期オープニングとエンディング「Z・刻をこえて」「星空のBelieve」もそれぞれ「Better Days Are Coming」「Bad And Beautiful」という二ールさんの既存の曲のカバーという点から、その流れで提供が決まったのではないかと推測されます。

ちなみにこの曲は元ポイズンMr. Bigのギタリストのリッチー・コッツェンさんがガンダムシリーズの楽曲をカバーしたアルバム、「哀 戦士・Ζ×R」の中で「Blue Star」という曲名でカバーしており、これもなかなかモダンなサウンドで格好良く仕上がっています。

・リッチー・コッツェンによるカバー


5.バリー・マニロウ他→西城秀樹「腕の中へ-In Search Of Love-」(1985)

ヒット曲「コパカバーナ」でも知られ、全世界で通算7,500万枚以上のセールスを記録するシンガーソングライター、バリー・マニロウさんがキーボーディストのハウィー・ライスさんと共に作曲、作詞はアラン・リッチさん、日本語詞は吉田美奈子さんが担当し自らも曲を提供した西城秀樹さんと共に日本語で(!)歌った豪華なデュエットソング。

バリーさんはピアノをメインとしたアコースティックなサウンドでも知られますが80年代中盤だけにシンセサイザーを導入したサウンドがフィーチャーされており、上記の動画では口パクながら息の合ったパフォーマンスを披露(歌唱前のトークではクリストファー・クロスさんも登場)。

また、上記アルバム「Manilow」はアメリカ版、イタリア版、フランス版と様々な国のバージョンが発売され、それぞれの国の言語での歌唱曲あるいはそれぞれの国の歌手とのデュエットソングが用意され、日本版は西城さんとの「腕の中へ」の他に「さくらさくら」も収録されています。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?