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短編【人殺しの天使】小説


強烈な腹痛で目を覚ました。

刃物が腹部に刺し込み切り裂かれてゆく感覚。
自分でも驚くほどの大きな声を張り上げて飛び起きた。

まただ、また同じ悪夢に襲われた。
何度も何度も同じ悪夢に。

俺は上半身を起こし、しばらく白痴になったかのように濡れ腐った段ボールの床を眺める。

ホームレスに身を落として何年になったのか。
それすらも覚えてはいない。
六十を過ぎてから歳も数えてはいない。

段ボールと木材と破れたブルーシートで作った寝床の隙間から陽の光がこぼれている。
もう昼過ぎだろうか。

いまから空き缶や捨てられた雑誌を拾いに行っても遅い。
午前中が勝負だというのに稼ぎそこねた。

ホームレスが一人、腹を十字に切り裂かれて死んだと言う話しを聞いた。
だから、あんな夢を見てしまったのか。

本当は殺されたのは俺なんじゃないのか。
そんな莫迦なことを考えて腹をさする。
そう言えば今日は何も食べてはいない。

気がつけば夜になっていた。
日の足は早い。

俺は横になったが、すぐに強烈な腹痛で目を覚ました。
刃物が腹部に刺し込み切り裂かれてゆく感覚。
自分でも驚くほどの大きな声を張り上げて飛び起きた。

まただ、また同じ悪夢に襲われた。
何度も何度も同じ悪夢に。

俺は上半身を起こし、しばらく白痴になったかのように濡れ腐った段ボールの床を眺める。
ホームレスに身を落として何年になったのか。
それすらも覚えてはいない。
六十を過ぎてから歳も数えてはいない。

段ボールと木材と破れたブルーシートで作った寝床の隙間から陽の光がこぼれている。
もう昼過ぎだろうか。
いまから空き缶や捨てられた雑誌を拾いに行っても遅い。
午前中が勝負だというのに稼ぎそこねた。

ホームレスが一人、腹を十字に切り裂かれて死んだと言う話しを聞いた。
だから、あんな夢を見てしまったのか。
本当は殺されたのは俺なんじゃないのか。
そんな莫迦なことを考えて腹をさする。
そう言えば今日は何も食べてはいない。

気がつけば夜になっていた。
日の足は早い。

俺は横になったがすぐに強烈な腹痛で目を覚ました。
刃物が腹部に刺し込み切り裂かれてゆく感覚。
自分でも驚くほどの大きな声を張り上げて飛び起きた。
まただ、また同じ悪夢に襲われた。
何度も何度も同じ悪夢に。
俺は上半身を起こし、しばらく白痴になったかのように濡れ腐った段ボールの床を眺める。
ホームレスに身を落として何年になったのか。
それすらも覚えてはいない。
六十を過ぎてから歳も数えてはいない。段ボールと木材と破れたブルーシートで作った寝床の隙間から陽の光がこぼれている。もう昼過ぎだろうか。いまから空き缶や捨てられた雑誌を拾いに行っても遅い。午前中が勝負だというのに稼ぎそこねた。ホームレスが一人、腹を十字に切り裂かれて死んだと言う話しを聞いた。だから、あんな夢を見てしまったのか。本当は殺されたのは俺なんじゃないのか。そんな莫迦なことを考えて腹をさする。そう言えば今日は何も食べてはいない。気がつけば夜になっていた。日の足は早い。

俺は横になった。
その時、喉に強烈な圧迫を感じた。
誰かが俺の喉を体重をかけて締めている。

目の前に気の弱そうな男が力いっぱい俺の首を締めている。
何者だ!

俺は薄れてゆく意識の中で全てを悟った。

ああ、そうか。

俺はもう、ずっと前に腹を切り裂かれて死んでいたんだ。


だって見てみろ、いつの間にか俺の腹が十字に切り裂かれている。


俺は自分が死んだことに気づいていなかったんだ。



そうか、この男は天使か。


いつまでも死ねない俺を天使が殺しにきたんだ。



この俺を憐れんでちゃんと殺しに来たんだ。



俺は天使の頬に触れようとしたが。





意識は白の世界へと。





消え去って。





いった。



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手のひらの感触

主よ御許に近づかん

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