加藤孝
すごく普通なことに最近気がついた。 先日、体の調子が悪く(肩こり的なそれ)ストレッチ専門店なるものへ足を運んだ。 用意された服に着替え、60分間、「あー」だの「うー」だの喘ぎながら体を伸ばしてもらう。 指圧や整体とは違って、あくまで「ストレッチ」、伸ばすだとか緩めるだとかをやってもらえる場所だ。体育会系の部活をやっていた人ならわかるかもしれないが、部活の最後にやる整理運動を専門家にやってもらう場所だと思ってもらって良い。 施術してくれたお兄さんと楽しく談笑しながら、
一人で良い。 そんな簡単なことに気がついたのはつい最近だ。 僕は一人っ子で、親も共働きなため、昔から家で一人でいることは得意だった。友達も多くなかったし、活発に外に出て遊ぶというよりは、父のお下がりのMacBookを使ってYouTubeやニコニコ動画を見たり、ゲームしたり、お笑いの録画見たり、基本的に一人でやることが多かった。 社交性がないわけでもないので、一応中学高校と、友人と呼べる友人がその時にはいたのだが、思えば、その子らと遊ぶより、一人でフラフラしているこ
眠い。 日中も夜中も何時を切り取っても眠く、やる気がない。 やる気がないのは元々だし、眠いのも慢性的にそうだったのだが、それはかつての生活でいそいそと生きていた頃の話で、ここまで何もないのに、前よりひどくなってきている。 というか、肩や背中をはじめとした上半身が常にだるい。 流石におかしいと、母に勧められ地元の内科を受診した。 このご時世だ、ただ体調が悪いというだけでいろいろ心配されがちだが、例のあれではなさそう。そもそも僕がなるなら世界中が感染しているというくら
自分の中で満を持して今日、Netflixで『進撃の巨人』を見始めた。 まだ15話分くらいしか観ていないのだが、1話を観てふと思った。 こっわい。 ニマニマ笑っている巨人(しかもほとんどおっさんみたいな体型と顔)が人間をつまんでポキっとおって口に運ぶのだ。 それはそれは恐ろしく、憎たらしく描かれている。 怖いと同時に、面白いと思った。 もちろん人物の描写や、デザイン、躍動感のある立体機動装置のグラップリングの描写もなのだが、自分と同じ人間がアニメとはいえ、いともあ
放課後、カーテンの裏でグラウンドのサッカー部をみながらひそひそ話をする女子中学生みたいな関係。 僕と田中くんを一文で表すとこれが一番近いのかもしれない。 僕と田中くんの共通点は深夜ラジオ好きというのと自意識の過剰さである。 深夜ラジオの話で盛り上がったのが大学一年生の4月、知り合って間もない頃だ。テレビの話題ですらニッチになりつつある僕ら世代でラジオの話ができるなんて本当に僅かで、大学に入るまでそんな人に出会ってこなかった。だから、4月の新生活のあの瞬間、友達が欲し
最初の印象は「最悪」だった。 僕らの大学の学部にはかつて5月に開催される「春祭」という催しがあった。 「40分間、舞台を借りたから何かやって欲しい」 大学に入学したてほやほやの僕ら1年生がほぼ100%受けている授業の最後に一つ上の先輩の有志がその春祭の有志活動の参加者を募った。 まあ、なんというか大学生っぽい感じである。 所属する学科自体が大きなサークルみたいな感覚で、新入生歓迎会も盛大に行われる。 「大学は友達作ってなんぼ」という人が多く、有志にはそれまでの
なおさんと仲良くなったのはこのコロナ禍になってからである。それも、ここ数ヶ月。 こういうときだからを初めて1年ちょっと。なおさんと出会ってからは3年近く経つ。 通常の生活(以前までの生活)の時は、大学に行けば誰かしらに会えた。そう言う時、だいたい僕は大野くんかたなかくんと居た。もちろん二人きりではなく、何人かいて、なおさんは僕にとって「何人か」のうちの一人だった。多分なおさんにとっての僕もそうだったと思う。 同じ学科、同じ専攻なのに深い接点はなく、大概、なおさんと会
また、先輩の話になるのだが「赤裸々に生きている」この間書いたエッセイ(のようなもの)にそうやって書いた。 https://note.com/kouiutokidakara/n/n7f31ca76c0c6 たまに自分から自分にズバーンとヒットする表現がポンっと出ることがある。 中学生の頃から誰にも見えないところで歌詞を書いたり、こうやって隠れて文章を書いたりしてきたから、自分ができる表現の「幅」みたいな、スポーツ選手で言ったら体の使い方が分かっているみたいな、そんな
僕は女性への憧れがある。 これだけ読むと、世に言う「カミングアウト」に勘違いされそうだが、そうでなくて、僕は女の人がとっても好きで尊敬している。自分には到底なれない。という意味での「憧れ」だ。 そう思うに至ったのは高校生の頃、散々馬鹿にしていた「アイドル」というものを好きになったことから始まった。エセロック野郎だった僕はテレビに出ているアイドルを「楽器も演奏しねーで」とか「口パクして笑顔振りまきやがって」とか思っていた。そんな僕でもまんまとハマれるようなグループを作っ
昨年8月から通っていた自動車教習所の入所式の日のことだ。 コロナの関係上間隔をあけた席に、僕をはじめ、年様々な人が座っていた。 入所式まであと五分くらいとなったところで所内全体に聞き覚えのある名前が響いた。 ちいちゃんだった。 ちいちゃんは小学校の同級生で、中学生の時少しだけ付き合っていた。別れてからも連絡を取り合って、たまに会っていたし、高校の時は共通のクズ先輩Sがいた(この先輩は本当にクズだった!)それで、しばらく連絡をとっていなかった。多分、大学入ってからは一
物がたくさんある空間で生活をしている。 ちょっと異常なくらい物がある気がする。 僕は実家暮らしで、両親と3人で都内のマンション(というには階層が低いが)の一室に暮らしている。 リビングにはニトリのL字のソファがあって、家族3人分の食器を並べてもなお面積の余る机があり、スマートフォンの画面の何十倍ものサイズのテレビがある。IKEAで買った白い大きいサイズの棚にはもう物が入らないくらいぎゅうぎゅうに詰まっている。 3人には各々部屋があり、ドア・しきりを隔てて寝床を作っ
世をずらせば真ん中 僕の敬愛する星野源さんの最新曲『創造』の歌詞の一節だ。 世の中はカテゴライズ、ラベリング、何かと名前をつけることを求めている。 淡い色のシャツに白T、ベージュのキャップをかぶって大きめの伊達メガネをかけていれば「下北系」ファッションなんて言ったり、無地のシャツでシンプルなリングを中指にハメ、クラッチバックとMac Bookをカフェで開いていれば「意識高い系」と言ったり。 今は多分、どんな現象にもそれを辞書的に表す言葉が必ず付く。特に日本語は豊かだから柔
石油ストーブの匂いがあまりにも好きすぎる。 この冬という時季になるとうちには石油ストーブが登場する。電気のヒーターやエアコンの暖房機能よりも断然部屋が温まる。ような気がする。 多分それは石油が燃える匂いが部屋に充満して、それが僕の感覚をあったかいというのに、よりさせるんだろう。 冬は特別、冬の空気が凍てつく匂いや、たまに降る雪の匂いや生き物が眠る土の匂い、そのどれもが僕は好きだ。 僕は昔から頭痛持ちだ。今でもしょっちゅう頭痛に悩まされる。 地元に新しく専門医がで
とっさに出た言葉が「またね」だった。 中学生の時から漠然と「学校」が嫌いで、中学二年になる頃にその漠然さが明確になって言葉として出されたことがある。 僕は集団行動が苦手だ。その意識が自分に出てからはそうならないように、見えないように、立ち振る舞うようにした。小さい頃から、大人に「君は一人っ子かい?」とよく問われた。そうだと答えるとやけに納得された。その納得の正体を唯一言葉にしてくれたのが中学の時の担任(以前にもかいた苦手な人)だった。 「いいかい? 君は一人っ子だからね
「電波」という曲をこの活動が始まった時に作った。 友達と僕、4人でラジオをやる、そのエンディングにちょっとしっとりした曲が欲しくて書いた。 フルでその曲はYouTubeに上がっていないけど、ツイッターに上げていたので貼っておきます。 ちょうどこの曲を書いたころ、名声優、藤原啓治さんが亡くなった。 アニメを見たことがある人なら誰でもその人の声を聞いたことがあるだろう。 特に、アニメ・クレヨンしんちゃんのひろしの声はとても国民的で印象に残っている人も多いと思う。
拝啓 志村けん様 初めてお手紙を書かせていただきます。 私は都内に住む普通の大学生です。今はこういう時世柄、大学に行く機会が少なく、大学生という自覚が薄れつつあるんですが、ぼちぼち元気に生きています。 あなたに話したいことがたくさんあります。 私があなたに出会ったのは私が保育園に通うようになってからでした。 父が見せてくれた私が生まれる前の「8時だョ!全員集合」であなたをみたのが初めてでした。 あなたはドリフターズの中では1番の若手で、リーダーのいかりやさ