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乱視に急かされる

 タイ語には、日本の漢数字と同じように、タイ数字というものがある。
 タイ数字は、今でもお札や公文書には使われているが、日常生活ではあまり見ることはない。レストランのメニュー表も、電車やバスの時刻表も、テレビのチャンネルも、言うまでもなく、アラビア数字が用いられている。
 そういうわけで、物を覚えるには、粘液質となる実感がこびりつかなければならないわけだが、それが容易にできあがらない。
 ゼロから9までの、たった十種類のタイ数字が、未だにあやふやなのである。

 先週のこと、眼鏡屋で新しい眼鏡を作るための視力検査をした。
 右目に、若干乱視が入りだしているそうだ。
 その診断結果を受けて、まず最初に脳裏をよぎったのは、タイ数字をさっさと覚えてしまわなければ、ということだった。
 ぐずぐずとほったらかしにしたまま、乱視が進んでしまったら、よけい面倒になるとおもったわけだ。

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