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シン・仮面ライダー

肌寒く小雨が降りしきるなか、劇場へ、 「シン・仮面ライダー」 を観に行った。 チケットを買う段になって気づいたのが、料金が1900円になっていたことと、他のスクリーンで、「鬼滅の刃」がかかっていたことだ。
「鬼滅の刃」がたまらなく観たくなってしまった。 悩みに悩んで、結局、「シン・ 仮面ライダー」を観ることにした。

気を取り直して席に着き、 いざ映画が始まると、 運悪く後ろの席で、ぺちゃくちゃとおしゃべりをしている親子にあたってしまった。 父親と息子であろう二人のおしゃべりは止まらず(正確に言うと、映画本編が始まる前の映画泥棒あたりからずっとで、毎回密かな愉しみにしている、暗くなる前の読書も集中できなかった)、 多少げんなりとしてきた。 野郎二人が、いったい何をそんなにしゃべることがあるんだ。 しかも映画の上映中に。不思議で仕方なかったのだが、 そこで俺は、ふと思い至った。「鬼滅の刃」でも、 作中の登場人物たちは、剣で斬り合いをしながら、ずっとしゃべっていることに。 激しい殺し合いのまっただ中でだ。

不快さも煩わしさも消えていた。 なんだか俺は、すべてが不思議で可笑しかった。 その間も、銀幕にはヒーローが映っていた。

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