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短編小説「試練」

突然、眩しさを感じ、目を開けた。

すると、考える間もなく、壁に映像が流れ始めた。

『ああ、目が覚めたかね。君らにはこれから2つの試練を受けてもらう。どんな試練が待っているのかは、行ってのお楽しみだ。さぁ、最後にはどれだけの人間が残っているかな。健闘を祈っているよ』

画面の中で、気味の悪い仮面をつけた人物がこちらに語り掛けてきた。
その音質から、おそらく肉声でもないだろう。

俺はその言葉に強く反抗するように、気が付いたら駆け出していた。


第一の試練。
【5人の中から1人を犠牲にせよ】
【生存者は前進、犠牲者は後退】

入り口にはそう書かれていた。

先に部屋へ入った人もいて、どのグループも5人ほどで固まっていた。
俺も周囲と5人組を作った。

話し合いを始めたが、決まるはずもない。
先のチームは犠牲者など決めず、全員で前進しているようだった。

そんな簡単な試練なのか?
そう思っていると、前進した扉の方からいくつもの悲鳴が聞こえてきた。

残されたチームは困惑した。
暴力で犠牲者を決めていたり、いじめのように押し付けて犠牲者を決めていたりと、酷いありさまだった。

自分のチームの中でも手が出そうになった時、俺は決意した。

「俺が犠牲者になるよ…」

他4人は感謝を言って、前進していった。

俺の命なんかで人が救えるなら、本望だ。
俺は自ら犠牲者となって、後退した。


第二の試練。
【自殺するかを選べ】

後退すると元の広間に戻った。
しかし、なぜか第二の試練が始まっていた。

周りには犠牲者に選ばれた人の姿もあった。
皆、口々に叫んでいる。

よくわからないが、やはり俺も死にたくはない。

「俺は自殺しない!」

そう叫ぶと、急に目の前が暗くなり、俺は再び気を失った。


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