社会保険料を滞納している事業者は融資をしてもらえない
社会保険料を滞納している事業者は「倒産の可能性が高い」と判断されます。
もくじ
社保料を滞納していても融資を得られた時代はあった
ご存じですか? 「社保倒産」
社会保険料の滞納者に金融機関が融資を
しないもうひとつの理由
社会保険料の納入状況を明らかにする書類
知らない事業者から融資支援の相談があったときの注意点
社保料を滞納していても融資を得られた時代はあった
融資をする際(とくに初めての融資時)、通常、金融機関は依頼者に納税証明を徴求します。税金の延滞があれば、そこでわかります。
そこまで税金の滞納に目を光らせるのは、税金には「先取特権」(債務者の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利)があるからです。税金を延滞していると、「差押え」される可能性が高くなります。
融資した資金がその場で差し押さえられては返済どころではありませんので、金融機関は納税を延滞している事業者にけっして融資をしません。もちろん社会保険料にも先取特権はありますが、「国税」「地方税」の後順位です。
社会保険料を滞納している事業者は税金を滞納していることも多いので、まず金融機関は税金の滞納について厳しく確認。昔はそこで納税が確認できれば、社会保険料の納入証明は徴求せずに融資することがしばしばありました。
…ちょっと昔話…
納税していても社保は滞納している「かもしれない」企業に貸していたのは、納税していて社保を滞納している事例がほとんど見られなかったからです。「税金を払っているなら当然、社保も払っているもの」と考えていたのです。
社会保険料の滞納を調べるなら、3期分以上の決算書の勘定科目明細から細かく分析していたでしょう。しかし社会保険料の滞納で差し押えられた事例が当時ほとんどなかったので、そこまで手間暇をかけてまで社会保険料の滞納状況を調べることはしていませんでした。
今、たとえ「社会保険料の滞納があれば、融資は望めません」と話しても、「以前は融資してもらえたのに」と主張する方もいるかもしれません。
ご存じですか? 「社保倒産」
昔なら社会保険料を滞納しても、よほど悪質なケースでない限り「差押え」されることはあまりありませんでした。しかし最近、年金事務所による滞納金の取り立てが強化され、差押えが増えています。
「差押え」されると事業者は資金繰りが悪化するため、倒産に至るケースが見られるようになってきました。これを「社保倒産」と言います。社会保険料の滞納で、事業継続できないリスクが高まるのです。
「社保倒産」については、『DAIAMOND ONLINE』に興味深い記事がありました。ぜひ目を通してみてください。
●中小企業を年金事務所が倒産に追い込む…「社保倒産」知られざる驚愕の実態
社会保険料の滞納者に金融機関が融資をしないもうひとつの理由
今は多くの金融機関が、社会保険料を滞納している事業者に融資しません。その理由のひとつは、先ほどの「倒産リスクが高い事業者と判断されるから」です。
また、もうひとつ別の理由があります。
差押えをされると当該事業者は【期限の利益】を喪失するため、金融機関は、高確率でその事業者に対し「融資金の返済」を求めます。
既存融資の返済を求めるぐらいですから、当然、その事業者には新規融資を行うことはありません。
多額の社会保険料を滞納している事業者は、「差押えされる可能性が高い事業者」と判断され、金融機関は融資をしなくなります。
社会保険料の納入状況を明らかにする書類
納税証明書についてはよく知られていますが、社会保険料を納付している状況を明らかにする書類をご存じない読者も多いでしょう
事業所が社会保険料を納入している状況を明らかにする書類としては、「社会保険料納入証明書」および「社会保険料納入確認書」の2種類があります。
いずれの書類も、事業主からの申請に基づき発行されます。
●納入証明書・納入確認書(日本年金機構HP)
「融資してもらえる/してもらえない」事業者の見極めは、それほど難しくありません。
「金融機関の判断基準」を把握していれば、高い精度で融資の可否を判断できます。
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