『日本の中のマネ展』

 練馬区立美術館でやっている『日本の中のマネ展』へ行ってきた。美術好きな人を除いて、マネの名前を聞いて代表作をちゃんと言える人がどれくらいいるだろうか?名前が似ていて日本人も大好きなモネと比べると正直微妙なところだろう。

 美術史的には重要なポジションにいるマネは日本でどのように紹介され、日本の画家達にどんな影響を与えたのかという事も実際の作品も交えながらの展示でなかなか面白かった。

 実際マネの絵を見た直後に影響を受けたとされる日本の洋画家達の作品を見ると、正直マネの絵画の本質まで見抜けている画家は殆どいないように感じた。少し時代が下った小磯良平はかなり理解しているように見えた。ただここで彼らを非難することは出来ない。なぜなら僕らは「西洋美術史」というものをある程度俯瞰した上でマネの革新性を知る事が出来るが、当時の画家達はアカデミックな西洋絵画を学ぶ暇もなく印象派などの新しい流れが入ってくるのだから理解できないのも当然と言えば当然であろう。

 正直言うと僕自身、マネは何が凄いのかなかなか理解出来なかった。『フォリー・ベルジェールのバー』は不思議な感じがして好きだったが『オランピア』や『草上の昼食』『笛を吹く少年』など、当時物議をかもした理由がピンと来なかったし、印象派の元祖とか言われてる割に印象派とは全然違うし何かモヤモヤしていたが、ルネサンスから脈々と続いていた遠近法からの解放や神話や歴史画などアカデミックなテーマからの逸脱は

 森村泰昌と福田美蘭はメタ的な内容の作品だったがマネという画家の本質をとても良く理解した作品だった。一見ふざけているような森村の作品も尋常じゃないほどディティールにこだわっている。

 今回の展示ではマネの作品は版画が多く油絵も1860年代の黄金期のものは少なかったが、それでもマネの絵画の平面性やラフなタッチなどはじっくり見る事が出来てとても良かった。マネの作品をじっくり見ていると、アンディ・ウォーホルに通じるものを感じたのだがウォーホルは実際マネの影響を受けたりしているのだろうか。

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