仮の僕でいいから

一度、見つけたかのように見えた居場所は幻想で。
ありのままの自分を受け入れてくれる、なんてそんな安い場所なんてどこにもないな。

オルテガの『大衆論』を思い出した。

人間は弱いもので、大衆の一部でないと不安で仕方なくなる
だから、大衆でいるために自己を封じて同調を図る必要があると。
人間関係を円滑に進めるのにはどこかで無理をしなきゃいけない。
それはわかってる。

明るくて社交的で笑顔が素敵なヒト?

20分の面接で僕をそうだと思ったのなら大間違いである。

本当の僕はそんな素晴らしい人間じゃないんだ。

本当は真逆で、本性なんてみせたら誰にも、どこにも受け入れてもらえないだろう安くて、脆くて、醜い営みの産物なんです。

騙しててごめんなさい。

でも、そんなありのままの自分を受け入れてなんて甘えはもうしない。

そんなことは言わないから、せめて、精一杯時間をかけてつくったこの明るくて社交的で笑顔が素敵な仮面をつけた仮物の僕を愛して、受け入れてください。

僕にとってはそれだけが幸福だよ。

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