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覚醒の重要性

こんにちは。ただいま、病院実習期間中です。今日は「覚醒」の重要性について思ったことがあったので書いていこうと思います。病院に行き始めた若造の戯言程度にお読みください。

「覚醒」とは 「意識」との違い

目が覚めること。(デジタル大辞泉)

という風に記載がありました。また、似たような言葉として「意識」というのがありますが、意識とは

覚醒していて自己の内的な精神活動が維持され、自分自身とともに周囲の状況を明確に把握する脳の働きのこと(スタンダード生理学 第3版より)

という記載がありました。この定義から考えてみると意識と覚醒は厳密には異なる意味であり、意識は覚醒よりも上位の機能と考えられます。病院には脳卒中発症後の患者さんなどで「覚醒はしているものの、意識はないもしくは悪い」人がいっぱいいるかと思います。そして日本では意識障害の程度をJCS(ジャパンコーマスケール)で評価するのが基本です。

覚醒を維持する2つの神経機構

覚醒を維持するためには大きく2つの神経機構が関与しています。

1.上行性網様体賦活路
2.広範囲調節系

の2つです。いずれにせよ覚醒の中枢は脳幹にあるといって間違いないと思います。事実、脳幹が腫瘍などで圧迫されると昏睡状態に陥るとされています。

1.上行性網様体賦活路

脊髄からの上行性感覚情報は単純に一次体性感覚野に投射されるだけでなく、側枝が脳幹網様体を経由し、視床の髄板内核に終わります。視床髄板内核は大脳皮質へ広く投射し、皮質の活動性を高め、意識の水準をあげて覚醒を促します。(ちなみに脳幹網様体とは神経細胞とその軸索、樹状突起が網目に絡まった構造をしているため、網様体といわれます。)
このシステムの活動性は末梢からの感覚信号量に大きく依存します。痛覚信号の影響は大きいといわれ、痛み刺激はこの系を介して強力に脳を興奮させ、覚醒レベルを上げます。昔はヒトも命を懸けて生活しており、痛みがあるときというのは必然的に覚醒を高める必要のある場面であったからだと考えられます。
じっと黙って授業を聞いていると眠くなるのは脳への感覚入力量が大幅に低下し、この系による覚醒が促進されにくくなるためだといわれています。なのでそのようなときにガムをかんだりすると(感覚信号量が増加するので)、眠気が覚めますよね。

2.広範囲調節系

この系には3つのタイプがあります。
①ノルアドレナリン系:青斑核から出る軸索は大脳皮質全体・視床・視床下部・小脳・脊髄にまで広範囲に分布している。神経伝達物質にノルアドレナリンを使用してるためこの名がついている。
②セロトニン系:脳幹に存在する縫線核のニューロンは様々な脳部位へ投射し、覚醒を高める。
③ドーパミン系:ニューロンは中脳黒質と腹側被蓋野に存在し、黒質ニューロンは大脳基底核の線条体に軸索を投射し、腹側被蓋野のニューロンは前頭皮質と辺縁系を含む大脳の一定領域に投射している。
この話から分かるように、神経伝達物質の違いによって3つの種類があるという感じです。
よくやる気が出てきたときにドーパミンが出てきたみたいなことを言いますがあながち間違っていないですね。

この広範囲調節系は代謝調節型受容体を活性化するため、効果が時間単位で継続、長時間にわたり脳機能を維持できます。
詳しいことはわかりませんが、イメージ的には上行性網様体賦活路が自律神経による調節、広範囲調節系がホルモンによる調節みたいな感じだと思います。

覚醒の重要性

なぜ今回、覚醒について書いているかというと純粋に重要だと感じたからです。

覚醒が毎日良い状態をつくれればもっとリハビリテーションの効果が出せる

と感じたからです。一般人を相手にしていれば覚醒を気にすることなどないと思うのですが、病院に行ってみると運動している最中なのに寝ている人はざらにいます。(まだ本格的に1か所しか実習言ってません笑)
また、同じ病室の人がうるさくて寝れないため、不眠傾向になり、リハビリ中に寝てしまう、睡眠導入剤を処方してもらうなども病院あるあるだとと思います。
最近ではトレーナー界で選手に対し包括的介入が重要だといわれていますが、これは病院の患者さんにも言えることだと思います。

「きちんと食事を摂取して栄養を蓄える、決まった時間に睡眠・起床し、概日リズムを整える。さらにその上でリハビリテーションを実施する。」
理想と現実の間にはさまざまな要因が絡み合ってギャップができてしまうことは仕方ないことだとは思っていますが、理想は持っていて悪いことはないと思います。
リハビリテーションが先行されがちですが、リハビリテーションは栄養・睡眠-覚醒リズムがあってこそ。

リハビリの前にある、人の生活部分を見直せばリハビリの効果がどんな対象でも上がると確信しています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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