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たまたま、外へ出ようと考えたのは数十分前のことだ。 家の外へ一歩出ると、ねっとりとした熱い空気が全身にまとわりついた。これから季節は涼しくなっていくというのに、まだ暑苦しさが残っている。 額から頬にかけて流れ落ちる汗を乱暴に手の甲で拭う。 そのまま手を下ろすと、少し先に誰かが立っているのに気付いた。 「リーンハルト……?」 声をかけると口に煙草を咥えて、ぼんやりと海を眺めていた長身の男は、ゆっくりと振り返り口角を吊り上げてニヤリと笑った。どこか楽しそうなそれでいて悪