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オペレーション室を出て数歩歩いた後、ジルは振り返って扉を見つめた。 あの様子はただ事じゃない。恐らくカイザーの元恋人か何かだったのだろう。 勢いに飲まれただけか、それとも女の尻に敷かれるタイプなのか、いつもの冷然とした態度はなりを潜め、しどろもどろになっていた。なんか意外な一面を見た気がする。 ばたばたとした足音に気付いて視線を廊下に戻すと、前方からポルヴィ大尉が走ってくるところだった。 「おい! な、い、お、い?」 「どうしたんすか? 何言っているかわからないっす」
一年もたっていないはずだが、あまりにも久しぶりに見る。かつての部下だった、オリアーナ・オトウェイ大尉だった。 「団…長……団長!」 オリアーナは駆け寄ると、机代わりのテーブル越しにカイザーの顔を両手で掴んだ。 「フォックスバッ! ん!」 どうしてここにいるんだ? という質問をする前に、両手でがっちり顔を掴まれたまま唇を塞がれる。ちょっと待てと言いたいが、頭が混乱する上に、オリアーナがあまりにも積極的過ぎて呼吸すらままならない。 「あー、えーっと、俺、なんか邪魔みたいなん
朝のトレーニングにあたる時間ではあったが、昨日注文していた参考書とデータ資料が届いたため、カイザーはジルを呼び出していた。勉強をするなら早い方がいい。 「失礼します」 「入れ」 ジルはトレーニングを終えた直後だったようだ。首からタオルを下げている。 「気温もだいぶ高くなってきたことだし、走る時間は調整しろよ。熱中症になる」 小言は嫌われるとわかってはいるが、ジルは時々ムキになって行動することがある。短い付き合いながらわかってきたことなので注意をすると、ジルは少しむっとし