マガジンのカバー画像

Set Freeter 2

37
セットフリーターの仕事なんて、絶対にお断りだ! 僕は平和に平凡な生活を満喫するんだ。そう言い張って美佐子さんに抵抗した僕だけど、その平和の象徴である学校で僕は事件に巻き込まれてし… もっと読む
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

03 さよなら、僕の平和な日々よ

 ピザ屋が来るまでに着替えておこうと思って、僕はそのまま上の自分の部屋へと向かった。少し暗いと感じたので、部屋の明かりをつけてカーテンを閉める。それから学生服を脱ごうとして服に手をかけた時、僕のスマホが鳴った。 「もしもし?」  僕は相手を確認せずに電話に出た。すると相手は聞き慣れた声で一言だけ言った。 『下に来て』  そう言って通話は切れた。こんなことするのは、当然美佐子さんだけだ。まったく、呼べば済むことじゃん。  僕は上着だけを脱いでベッドに放り投げ、結局は下へと向かっ

02 さよなら、僕の平和な日々よ

「まぁ……体動かすのは好きなんですけど……やっぱ店のこともあるし」  物心ついたときから母子家庭。僕の父親だという人のことは「柿本良」という名前しか知らない。というか、どんな人だったのか、本当に知らないのだけれど、少なくとも僕の名前が良一。ネーミングセンスは最悪と見た。  まぁ、それはともかく、幼い頃から母子家庭だったため、店の手伝いはやれと言われたら、やらなくちゃならないものだと、考えもせずに思っていたし、最近では非常にこの商売、アンティーク・ショップの仕事がもっと軌道に乗

01 さよなら、僕の平和な日々よ

 その日、僕は合気道の道場に顔を出していた。ろくに部活動をしていない僕こと、柿本良一だが、幼い頃から習っている合気道だけは今も欠かさず顔を出していた。  中学までは空手も習っていたのだが、その頃から自宅兼店舗となっているアンティーク・ショップの、店番を頼まれることが多々あり、どちらかを辞める事にしたのだ。そこで僕は合気道を続けることにして、空手を辞めることにしたのだった。  空手はどうしても攻撃手な技が多い。中学の頃、迷惑な先輩たちに呼び出され、乱闘の末に全員叩きのめした手前