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【本気100% 出張撮影レポ #2】イシノマキモノ編

10年の幸福写真実行委員長のりょうこです。4月に、出張「平井写真館」で記念写真を撮ってもらいました。今回は一緒に参加した仲間たちに撮影の感想を聞きました。

慌てて撮影準備開始

今年はすごい駆け足で桜前線がやってきました。
震災後に自宅の跡地に植えてもらった桜が咲いたら、大事な「イシノマキモノ」の仲間と一緒に写真を撮ってほしいと申し込んでいた私。まだ3月だと油断していたら例年より早くに開花して、慌てて写真家けいちゃんを呼び、その場で数日後の撮影日が決まりました。

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ここは私の自宅があった石巻市の沿岸部、渡波(わたのは)地区。寄贈されたプレハブの建物の中で、5年ほど前からこの地区に住む(または住んでいた)女性たちが週に1回集まり、着物の端切れを貼ったグリーティングカードを制作しています。

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「石巻」「着物」を合わせて「イシノマキモノ」カードと名付けられた商品の収益の一部は、発足時から活動をサポートしていただいている「テイラー・アンダーソン記念基金」に寄付され、子どもたちの日米交流事業等に充てられる仕組みです。

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私たちはカードが何枚売れても非営利で活動を続けています。その代わりに、皆で頑張ったご褒美として売上金の一部で誕生会を開いたり、ちょっとおしゃれをしてランチを食べに行ったりすることが小さな楽しみでした。

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※2018年のランチ会@松島

最初は初めましての人もいたし、被災状況も年齢も様々なメンバーは、こうした時間を重ね、お互いを思い合う大切な仲間同士となっていきました。

それなのに昨年からのコロナ禍。作業後の楽しみだったお茶っこができないどころか、集まることすら叶わない時期が続きました。
なんとか楽しいことを作りたくて、3月の「10年の幸福写真」展会場の出窓を彩るディスプレイ作りを「一緒にお願いできない?」と頼んだ私に、彼女たちは「あら面白そう。やりましょう、やりましょう。」と快諾し、すぐに大量の魚たちを着物地から切り抜いてくれました。

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こうして、飾られた作品も含めて展覧会を堪能した仲間たち。「次は写真集に入るお花見の記念写真を撮りましょう」と言うと、急な呼びかけにも関わらずパッと全員が集まったのでした。

いよいよ撮影当日

撮影当日は上着のいらないぽかぽか陽気。読み通り満開となった桜の下、私たちは敷いてもらった布に腰掛けて咲き誇る花々を愛でました。

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photo by takeshibuya

実はけいちゃんの奥さんのきみちゃんも、「イシノマキモノ」のメンバーのひとり。撮影アシスタントとモデルさんを同時にやることになり、撮影中はいろいろな思いを抱えていたようです。きみちゃんの複雑な心情はこちらを読んでくださいね。

けいちゃんがカメラを構えて何枚か撮り始めたころは薄曇りだった空が、皆の笑い声が届いたのか快晴になり、忘れられないお花見撮影となりました。

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そして数週間後。

プリントをもらったから取りに来て、と連絡したら数分後にやってきた最初の二人は、写真を見るなり「ぎゃははは!」と大笑い。

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ほかのメンバーも全員、とても喜んでくれたのでした。そこで、これから記念撮影を予定している人や検討中の人たちのために、「撮影してもらってどうだったか」と質問してみると、「楽しかったねえ。」「桜が最高の日でよかった!」という答えが返ってきました。

そうかー、よかったよかった。いやいや、私が聞きたいのはそんな当たり障りのない感想ではないのだよ。
聞き方を変えるべきなのかタイミングの問題なのかと悩んでいると、
「あんだが獅子振りのまねしたんだから、あたし、獅子をじゃらして踊ればいがったんだよね。」もらったプリントを眺めながらひとりがポツリと呟きました。すると他の仲間も口々に、「せっかく着物用意してもらったんだから、帯も軽く締めたらよかった。」「なんか面白いポーズを考えておけばねえ。」と声を上げ始めます。

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ええっ、まさかの反省会?
様子を伺っていると、その光景を想像したのか、わははは!とまた大爆笑するゆかいな仲間たち。「マスク外してあんなに笑ったのは久しぶりだった。きっと写真を見るたびにこのころのことを思い出すんだろうなあ。」誰かがしみじみと話すのを聞いて、皆うなずいたのでした。

こちらが出来上がった写真です。たくさん撮ってもらったからどのカットが写真集に入るかは決まっていないけれど、どれもいいでしょう?

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私にとっての「幸福写真」

私は作業をしながら始まる雑談を聞くのが大好きです。特に人生の先輩方の話は、途中で石巻にやってきた私やきみちゃんには驚くことばかり。震災前にもたくさんの苦難や試練を体験している彼女たちの言葉には、より良く生きていくための知恵が詰まっています。

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最高齢のYさんはいつも言います。

「あの時、あたしたちは裾ひとつ濡らさずに逃げることができたんだから。じいさん(Yさんのご主人)がムスっとしてるとね。『せっかくもらった命だもの、あとはなるべく笑って生きましょう』って言ってやるの。」

つらいことはたくさんあるけど、あとはなるべく笑って生きましょう。
まさにこのプロジェクトのテーマ。

「喜びを増やすことはできる」

これから撮影をする人には、なぜ撮ってほしいのか、こんなふうに撮りたい、あんなことってできるかな、と どんなことでも写真家に伝えてほしい。
けいちゃんはきっと、悩みながら、でも面白がりながら、一緒に考えてくれます。

私たちの次の楽しみはもちろん、完成した写真集を手にとってめくって皆で見ることです。
もちろん、「イシノマキモノ」メンバーの写真で、表紙 狙ってますよ!

りょうこ

■イシノマキモノのみんなの様子はこちらから
Facebookページ https://www.facebook.com/ishinomakimono
■出張【平井写真館】撮影申込はこちらから
https://forms.gle/saPPygDuaN31MHH29




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