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祭を読み解く~三部構造と二局面

有斐斎弘道館の講座「日本の祭と神賑」では、三部構造(カミ迎え・カミ祀り・カミ送り)と二つの局面(神事と神賑)を意識しながら、様々な祭、その中の祭具・芸能を読み解いていきます。

祀られるカミと、(カミを)祀るヒトがいて、初めて祭が成立します。祭の実態を把握するためには、祭を構成する諸々の有形無形の要素を、具体的な役割とともに把握することが不可欠です。

カミとは

江戸時代の国学者・本居宣長は『古事記伝』の中で、「カミ」を、古典で語られる神々や神社に坐す産土(うぶすな)神はもとより、動物や植物のような生き物、海や山、川などの自然環境、そしてヒトも含めて、「すぐれて畏れ多いもの」であれば、すべてカミであると述べました。

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マツリとは

このようなカミを「マツル(祭る・祀る・奉る)」行為がマツリです。祭の目的は、カミの御霊(みたま)の活性化や鎮魂、豊作祈願や収穫感謝、雨乞いや雨喜び、悪霊・怨霊・疫病の類の遷却、先祖供養など多岐にわたって、祭の様式も、時代や地域、祭の目的によって様々です。祭を営むにあたっては、様々な供物や歌舞音曲(芸能)が奉られます。

祭の三部構造(カミ迎え・カミ祀り・カミ送り)

祭は、その種類や規模の大小にかかわらず「カミ迎え」「カミ祀り」「カミ送り」の三部で構成されます。これは、あたかも、貴人を客人として迎える行為と同じです。

また、カミと交流する祭という特別な儀式に臨むにあたって(ケやらハレへと移行するために)、ヒトの側には心身を清浄とするためのモノイミ(物斎・物忌)が求められました。祭が終わると、モノイミを解くいて再び日常生活(ハレからケへ)と戻ります。「日常→潔斎→カミ迎え→カミ祀り→カミ送り→解斎→日常」という循環が、祭の永続には不可能です。この解斎の部分は、京都では「足洗い」と呼び、地域によっては「ラクサク」などと呼ばれます。飲食をともなうので「直会(なおらい)」と混同されがちですが、直会はカミとヒトとが共食する行為で「カミ祀り」に含まれます。

祭の二局面(神事と神賑行事)

祭は、上記の三部構造とは異なる観点から見ると「神事」「神賑(かみにぎわい)行事」の二つの局面に分けて捉えることができます。厳密な定義は稿を改めますが、祭の中で、ヒトの意識がカミに向いている場面が「神事」的局面、ヒトの意識がヒト(氏子同士・見物人)に向いている場面が「神賑」的局面です。概して、前者は厳粛な雰囲気の場面で、後者は賑やかで勢いのある場面となります。

我々が普通、祭と認識するのは、この「神賑」の部分ですが、祭は「神事」と「神賑」の両方のバランスで成り立っています。

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以上のような基本を抑えて祭を捉え直すと、二次元の絵が三次元の立体になるかのごとく祭の実像がありありと立ち上がってくるはずです。


<講座・講師について、もっと知りたい方はこちら>
・篠笛 玲月流 ウェブサイト → https://reigetsu-shinobue.jp/
・有斐斎弘道館講座「心で読み解く日本の祭と神賑」について
 → https://kodo-kan.com/
・次回講座、4月18日(日)11:00〜
 日本の祭と神賑「祭」VS「疫病(新型コロナ)」
 申込→ https://kaminigiwai0418.peatix.com/

 6月20日(日)11:00〜
 日本の祭りと神賑 「神賑(かみにぎわい)とは何か?」
 申込→https://kaminigiwai-0620.peatix.com

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