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【第二期 欲求を開発しよう!】Part 1 コペルニクス的転回

2020.01.23

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1-1. 前置き

 前作、「愛着障害・AC克服記録」のPart部分を書き終えて約1年。
愛情というものを論理的に捉える試み「愛の証明」を書き終えたのが2019.10月頃。

 その作業と並行して、「いや、しかし。この先どうやって生きたらいいのよ?」ということを常に自問自答しながらこの1年を過ごしてきた。

 いろいろ勉強したり、触れた概念を頭で転がしつつ試行錯誤したことで、おおよそ考えがまとまってきた。

 そこで、ここから改めて、僕自身の目線から「愛着障害・ACを克服した後の生き方」を綴っていこう。

 第して、「第二期 欲求を開発しよう!

 話は、「Part 0 最後の砦と虚無の話」。
 つまり、克服直前の状態の話から始まる。

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1-2. 無条件の愛情を他者以外から得る、とは?


結局、他者から無条件の愛情を得ることはできない。

他者以外って…そりゃ自分しかない。


自分で自分を愛することはできるのか?

なんて難しい概念なのだろう…

こんなことができるのか?


僕は、前作の最後のコラムで、ここをがんばって説明した。

そして改めて、当事者目線に振り返ってみる。

まず、
Q. 愛情とは?
A. 相手をポジティブにする力(意志や行動を伴う)

そして、ここからが大事なのだが…

『自分で自分を愛する』という言葉を分解すると…
① 自分「が」、自分「に」、「愛される」=受動的
② 自分「が」、自分「を」、「愛する」=能動的

この、2つのやり取りがあることに気づく。

なるほど…

では、前から常々考えていた「無条件の愛情を得る!」っていう望みを満たすためには、① 自分「が」、自分「に」、「愛される」が成立すればいいわけだな。ふむふむ。

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1-3. 自分は自分に愛されていたのか?


数週間、数ヶ月前、あるいは数年前から…

なんとかして心の辛さを克服したい。

その一心でいろんなことを勉強したり、カウンセリングを受けたり、自分自身と真正面から向き合う、という作業を続けてきた。

これは、雲で頂上が隠れた山を、ひたすら登り続けるようなものだ。

「今はわからないけど、その先に答えが、希望がある気がする」

欲求開発 Figure 1


そして、雲の中をすり抜けて、視界が開けた頂上に出る。

欲求開発 Figure 2

その先がない。

だって、山登りは頂上から先はないもの。

雲の下では気になっていた他人も、ここでは見えない。

頂上で、お先真っ暗な虚無の中で、一人ぼっち。


しかし、だ。しかしなのだ。

この克服という山を登りきったことで、精神的にはかなり楽になっている。

ネガティブさが、かなり弱まっているのだ。

これは自然に、勝手に弱まったのか?いや違う。

自分が苦しい思いをして、克服作業に取り組んだから、今が楽なのだ。

すなわち、「ネガティブ(マイナス)な状態に対して、ポジティブな力を働きかけて(プラス)、ゼロに近づこうとした」結果なのだ。

ということは…?

克服作業に取り組んだ『過去』の自分の『行為』の『おかげ』で

『今現在』の自分はプラスもマイナスもない虚無状態に到達している

おかげ = 感謝だ。『過去』の自分への感謝だ。


つまり。

『今現在』の自分は『既に』、『過去』の自分から愛されて『しまっている』

これはもう、自分自身で取り組んでしまった、取り返しようのない、覆しようのない事実なのだ。

さらに言えば、

『過去』の、克服に乗り出した瞬間の、精神的にどん底の自分もまた、『既に』、『未来』の自分を愛して『しまっている』
ことになる。

行為 = 愛情だ。『過去』の自分の愛情だ。

これもまた、事実だ。

この2つの、自分のせいで起こってしまった事実に気づくことで、

自分の中に、か細いながらも確実に、『自分軸』が形成されていることもわかる。

自分軸とは、過去ー現在ー未来を貫く時間軸のことだ


この概念を拡張すれば、「愛の証明」で書いたように、力強い自分軸が自ずと手に入る。
このか細い時間軸を認識できれば、あとはちょっとだけ延長して見るだけ。

愛の証明 ver.2.0 Figure 28

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1-4. これから先、自分は自分を愛することができるのか?


この質問に対して、簡単に答えることもできる。

どん底の状態ですら、自分を愛することができたんだから。精神的に楽な状態なら、なおさら簡単だよ?


しかし、実際にはそんなに簡単ではない。

なぜなら、愛情の質が違うからだ。

「愛の証明」の最終回で書いた話なのだが、
克服作業のときに自分自身に与える愛情は、
母性的愛情」なのだ。

簡単にいえば、「いつでもどこでも、ありのままで

よく考えてみると、克服山の頂上にいる状態って、
自分が最も素になって、楽になった状態」だ。

むしろ、克服前の状態は、「素の自分自身を抑圧したり、無視したりして、幽体離脱のように本来の自分の状態からかけ離れていた」。
だから、辛かったのだ。

そうすると…

「解離した状態から、素の自分へ向かっていく」
という意味では「変化している」わけだが…(愛情は変化を導く)

「ありのままで」という意味ではあらゆる状況で受けることができるから、「自分自身は変化しなくても受けることができる」
(正確には、自分が『ありのまま』と思っている理想そのものがどんどん変化している、ともいえる)

克服を終えるまでは、あらゆる点で「意識が過去に引っ張られる」。
いわば、「過去への重力」が発生している状態。

そして、克服の山登りは、「過去への重力」に対抗する「母性的愛情」を加えることで、「過去への重力」を弱めていく作業だ。

欲求開発 Figure 3


だから、過去への重力が限りなく弱まった頂上で、「山登り」は終わるわけだ。


じゃあ、そこからどうしたらいいの?


これ、すごい発想だからね。ついてきてね。

頂上の図を簡略化してみよう。

欲求開発 Figure 4

で、ここからどうするかというと…

いくよ?3、2、1、ドーンッ!

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あぁ?なんじゃこりゃ??

そう、これからは…

空に落ちていくのだ!!

欲求開発 Figure 6

この、考え方の根本的転換。

こんなことは難しくてできないのか?

でも、一生できないと思いこんでいた、「自分自身を愛する」という行為。

これを、「気づかないうちに『既に』やってしまっていた」わけだから…

案外なんとかなるかもしれない。

ここから始めていいんだ、という気づきが大事なのだ

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Next

次からは、この「重力の大転換」を経た酵母マンが、この1年でどんなことを考えてか?

その思考のプロセスを辿っていく。

【第二期 欲求を開発しよう!】
Part 2.1 Twitter振り返り ー克服への鍵を掴んだ直後ー

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