ジョジョ_ver

【ジョジョnote】ジョジョ第6部・14の言葉の完全解釈.ver.2.0

目次
ジョジョnote

ご興味があれば
第4部考察 その①
第5部考察 前書き
第5部考察 眠れる奴隷 完全解釈
第6部考察 その① 第6部のテーマとストーン・フリー

2-0. はじめに

前回、14の言葉考察を書いたのが2018.10.25
およそ1年間、思考を巡らせた結果、少しだけ考察が深まりました。

それぞれの抽象的概念については、ver.1.0に譲ります(止揚とか)
【ジョジョnote】ジョジョ第6部・14の言葉の完全解釈.ver.1.0

ってか、前回のやつはさすがに読みにくいし、すごく理解しづらい笑

今回は、14の言葉の構造と、「この言葉全体が何を意味するのか?」を解説した後、それぞれの言葉の意味の各論に入ります。

14の言葉の完全解釈.ver.2.0、いきます。

2-1. 14の言葉を並べてみる

・らせん階段
・カブト虫
・廃墟の街
・イチジクのタルト
・カブト虫
・ドロローサへの道
・カブト虫
・特異点
・ジョット
・天使 (エンジェル)
・紫陽花
・カブト虫
・特異点
・秘密の皇帝

14の言葉は、「ただ14個の別個の言葉」があるわけではない。

この「並び方」がめちゃくちゃ重要。

2012年頃に VS JOJO の企画で出版された、
「JORGE JOESTAR(舞城王太郎, 集英社)」
あの中でも、14の言葉が一応登場しますが…
順番をぐちゃぐちゃにしちゃってるから、
意味が通らなくなってる
(あと、長過ぎ笑。スパロボ大戦みたいで面白かったけど)

単語カードみたいにしてみましょう。
(同じ言葉には色をつけている)

ジョジョ ver.2.0 Figure 1

並べ方が重要と書きましたが…

実は、14個の言葉が「直列」に並んでいるわけではないのです。

ちょっといじると…?

ジョジョ ver.2.0 Figure 2

実は、「2箇所」は並列になっていて、
言葉のかたまりとしては「12の言葉」になります。
(ほとんどの言葉の間に、カブト虫が入り込んでいますね…)

言葉が12個になることで…
「きれいな円環構造」に配置できるようになります。

ジョジョ ver.2.0 Figure 3

さらに、「特異点」で区切られた部分の色を変えると…?

ジョジョ ver.2.0 Figure 4

こうなる。

2-2. 「14の言葉」の全体の意味と「14」について

まず、円環構造に配置することで、
「らせん階段」に始まった14の言葉は一周して「秘密の皇帝」に到達する。

そして、「秘密の皇帝」の先で、再び「らせん階段」に到達する…。

そう、「秘密の皇帝」とは「らせん階段」のことなんです。

そして、「14の言葉」とは、
「2回の特異点を通過することでらせん構造を形成するメカニズム」
を表しているわけです。

ジョジョ ver.2.0 Figure 5

すると…面白いことが見えてきます。

「閉じた円環構造」かと思って一周した先に、「らせん階段」がある。
つまり、
「最初の『らせん階段』」と、「一周した先の『らせん階段』」
一段分違う。

これによって、
「14の言葉そのものがらせん構造を内包している」
ということが見えてきます。

ジョジョ ver.2.0 Figure 6

そうすると…(ざわざわ)
プッチが考える「天国」と、DIOが考える「天国」が、
構造的に全く異なるものだったことが、判明してしまう…!?
(これは、後ほど書きます)

2023.01.07 追記
ちなみに、14の言葉自体がらせん構造を持つということを示唆する描写が、
実は作品内に盛り込まれています。
というのも、
単なる言葉の羅列
→ プッチ神父の詠唱順番(1次元化)
→ 始まりと終わりを繋げる円環構造(円=2次元化)
→「らせん階段」という言葉によるらせん構造(らせん=3次元化)
というように、14の言葉には「復活の呪文」と「物理的な次元を上げる」
という2つの意味が読み取れます。

そうすると、突拍子もないように見えたあのやり取りとの共通点が見えます。
それは、「ヨーヨーマッのマッチの問題」(おそらくアニメではカット)
あれは、
『マッチ棒で書かれた「1」と「2」に1本加えて、「2」より小さくする』
という問題で、
答えは1と2の間にマッチ棒を立てて、「1.2」にするというもの。
これは、「2次元的思考から抜け出して、3次元的に考えてみてね
という、荒木先生のヒントではないか?と解釈できます。
あと、「12」というところから、14の言葉の円環構造の雰囲気がほんのり感じられたり、「1」「2」「マッチを立てる(3次元)」と深読みできたり…

「ストーンオーシャン ヨーヨーマッが来る!その②」より
(答えはその②とその③の間のページに書かれている)

話を戻して…
では、2個の特異点で区切られた「白い部分」と「黒い部分」は何なのか?
白い部分:時間の流れが存在する「生の世界」
黒い部分:時間の流れが存在しない「死の世界=停止の世界」

前回の完全解釈.ver.1.0で、「カブト虫=不可逆的変容」と書きました。
変化するということは、必然的に「時間の流れの存在」が前提となります。

だから、白い部分=生の世界では、
言葉の間に「カブト虫=不可逆的変容」が挟まる。
一方、黒い部分=死の世界では、
時間の流れが存在しないから、言葉の間に「カブト虫」が挟まらない。

そして特異点とは、
「生の世界」と「死の世界」の世界をまたぐ、決定的な変化、となります。
(特異点とカブト虫はセットですよね)

ジョジョ ver.2.0 Figure 7

しかも…

特異点とカブト虫がセットである(同時に起きる)ことを踏まえると…
「10の言葉」となる。
10の言葉が一周=360度回るには…1行程あたり36度移る必要がある。
「36」にまつわる、何かしらが必要というところでしょうか?
36人以上の罪人の魂とは、円環構造を暗示するための言葉だと考えられます。

西尾維新の「OVER THE HEAVEN」のp200から始まる「51」
このp203には、人間1人分の魂を10とすることで、36人以上集まれば360以上=一巡以上、できると書いてあります。
これが、荒木先生の考えをどこまで反映しているかはわかりませんが、「10」と「36以上」=360以上という考えは一致しますね。

ジョジョ ver.2.0 Figure 8

以上が、「14の言葉の構造」の解説です。

では、「14」という数字は何なのか?
先程、「12」項目にまとめることで、「円環構造」に並べることができました。
さらに「10」項目にまとめることで。「36」を内包する円環構造の完成形が見えるようになりました。
(「12」は中間的な構造で、「10」が完成形だと思います)

この円環構造では、
「生の世界」から特異点を通過して「死の世界」に突入する。
そして再び特異点を通過して「死の世界」を脱出することで、
「秘密の皇帝=らせん階段」に到達する。

酵母マンとしては、
「死(13)を乗り越える」言葉=14の言葉
ではないか?と考えています。

ジョジョ ver.2.0 Figure 9

それでは、各論に入りましょう。


2-2. 「14の言葉」の各論的意味

① 「らせん階段」

酵母マンとしては、真理=あらゆる物事に通底するルールは、
らせん構造」であると考えています。

そんな話はこちらにまとめてるので、興味があれば
「無条件の愛とは?」

らせん構造は「永続的継承」という概念を内包しています。

14の言葉は、「永続的継承」が「崩壊に向かうところ」から始まります。

2023.01.05 追記
第6部の内容などを考えると、「らせん階段」はシンプルに「DNA」を表してるとも言えます。
ホワイト・スネイクの身体の模様なんて、まさしく塩基配列の「ATCG」ですし。
問題は、「そこからどんな意味を読み取るか?」ということ。
DNAは、逆平行の二重らせんという構造から、自分と同じ配列を持った鎖を複製できるというとんでもない性質を内包しています。
つまり、「DNA=遺伝子」というレベルを超えて、
「DNA=遺伝子の情報を何世代にもわたって継承するための装置」
と理解したほうが良いわけです。
よって、14の言葉の「らせん階段」を「DNA」と解釈することで、
永続的継承」という概念がさらに際立ちます。

ジョジョ ver.2.0 Figure 10

ー ー ー ー ー ー ー

「カブト虫=不可逆的変容」

・幼虫→さなぎ→成虫、という不可逆的な変容
(中身が変わる、という意味で「変化」ではなく「変容」という言葉を使っています)

・また、ジョジョはエジプトとの関連が強い物語です(特に第3部)。
カブト虫には、「再生に向かうための不可逆的変容」という意味も読み取れます。

ジョジョ ver.2.0 Figure 11

ー ー ー ー ー ー ー

② 「廃墟の街」と「イチジクのタルト」


前回の完全解釈.ver.1.0で書きましたが、

「廃墟の街」=荒廃・暴力・(死を暗示)
「イチジクのタルト」=繁栄・知性・(生命を暗示)

という真逆の概念を表している、と考えられます。

荒木先生が、キリスト教的バックグラウンドを持っていることを考えれば、
廃墟の街=ソドムとゴモラ(自業自得的に荒廃して神に滅ぼされた)
・イチジク=エデンの園の知恵の樹になる果実
と解釈することは、無理がないかと思います。

しかし、イチジクの「タルト」なわけですから…

禁断の果実、食べちゃってるやんけ笑

ってこと。

なので、
「イチジクのタルト」=繁栄・知性・(生命を暗示)からの『追放』
となり、

永続性を持っていた「らせん階段」が、
「廃墟の街(死)」と「イチジクのタルト(生)」という2つに分裂しはじめ、
しかもその両方が死の方向に向かっている、

と読み取れます。

ジョジョ的に考えれば…
「廃墟の街」=人間のディオ・ブランドー
「イチジクのタルト」=お坊ちゃまのジョナサン・ジョージ・ジョースター
を象徴してます。

この2人が出会ってしまったことで…
両方が滅ぶ方向に進んでしまう。
それが「ジョジョの奇妙な冒険」という物語の裏にある構造です。

だってさ、ディオとジョナサンが出会わなければ、ディオはゴロツキのまま死んでただろうし、ジョナサンは田舎のお坊ちゃまとしてそのまま過ごしてたでしょ?
でも後のジョースター家って、かなり滅亡すれすれのところで生き延びてるわけですよ。
安穏とした生活から追放されて、世代をまたぐ過酷な運命を背負ってしまった…
ディオに至っては人間やめてるし…

ジョースターの血統って、果たして「良いもの」を受け継いでいるのでしょうか?
結果的に主人公たちは成長していきますが、
第1部以降の各部の冒頭では、全員「問題のある家庭環境」じゃない?
ジョナサンから始まってしまった、「負の宿命」をみんな背負っているわけです…

ジョジョ ver.2.0 Figure 12

ー ー ー ー ー ー ー

「カブト虫=不可逆的変容」


ー ー ー ー ー ー ー

③ 「ドロローサへの道」

キリスト教においては、極めて重要な事柄ですよね。
ドロローサへの道は、「イエスが十字架を背負って、処刑されるゴルゴダの丘へと向かう道」です。
また、via Dolorosa (ドロローサへの道)は「苦難の道」です。

先程、「廃墟の街(死)」と「イチジクのタルト(生)」が分裂を始め、その両方が滅亡に向かっている、と表現しました。

別の解釈としては、
「らせん階段(永続的継承)」の中には、生の概念しか存在しなかった。
しかし、「カブトムシ(不可逆的変容)」を経て、
「廃墟の街(死)」と「イチジクのタルト(生)」が混在するようになる。
とも、捉えられます。

いずれにせよ、「死」と「生」が並立する状態から、
「カブトムシ(不可逆的変容)」を迎え、
「ドロローサへの道」にたどり着く。

ドロローサの丘では、何が起こるのか?
それは、「イエスが処刑される」わけです。

創造主たる神の子、さまざまな愛を説く存在が「処刑される」。
これは、「生の象徴」が滅び、「死」と「生」が完全に分断し、
「死の世界」に足を踏み入れる、と解釈できます。

しかしながら、その先には「復活という奇跡を成し遂げて、普遍的な信仰の対象になる」という暗示も含まれるわけです…

ジョジョ ver.2.0 Figure 13


ジョジョ的に捉えると…?
ジョジョの世界観では
「生」=波紋・太陽・継承
「死」=石・停止・断絶

ですよね。


波紋
波紋法であり、スタンドです。
しかし、何より大事なのは、
「粒から粒へと伝わるもの」だということ。
太陽
いわずもがな。
だけど、「太陽」の考察は、後に譲ります。
継承
「断絶」のところで、まとめて書きます。



石仮面です。
石とは「無生物」なわけです。
そうすると、第5部のジョルノの能力や(後述)、
第6部の「ストーン・オーシャン」、「ストーン・フリー」
という言葉も、考察する価値が出てきます(後述)。
停止
これは…ここで書いておくか。
なぜ、DIOのスタンド「ザ・ワールド」は、「時を止める」能力なのか?
あんま、考えたことないでしょ笑
端的に言えば、「DIOが死人=停止の世界の人」だから。
また、DIOはジョナサン以外からは、精神的に断絶されているから。
(ジョナサンも死んでる)
ここには、めちゃくちゃ重要な示唆が含まれています…
「時を止める能力」を持つ人は、「その人の中で何かが死んでいる」。
断然
断絶=死、とはどうゆうことか?
これは、ジョジョの世界の死生観のことです。
生命は、「生き続ける(継承)」から生命として存続できる。
それゆえに、生命が一度断絶してしまうと、元には戻らない。
だから、東方仗助の祖父・良平も、ナランチャも、生き返らなかった。

つまり、「ドロローサへの道」は、

・ディオ(死)とジョナサン(生)の決別
・ディオが死の世界に足を踏み入れる=石仮面でゾンビ化する
・ジョナサンは波紋法を獲得して、(生)の性質を強めていく
・ディオもジョナサンも、苦難の道へと進んでいく…

という、第1部のダイジェストのような意味を含んでいるわけです。
14の言葉は、DIO視点の言葉なわけですから、DIOからは(生)の性質が失われているわけですよ

ジョジョ ver.2.0 Figure 14

ー ー ー ー ー ー ー

「カブト虫=不可逆的変容」


ー ー ー ー ー ー ー

「特異点=世界をまたぐ」

特異点というものは、いろんな分野で用いられる言葉ですが、
「その世界のルールでは、本来到達できない領域」
と考えると、特異点という言葉の本質が理解できるように思われます。

つまり、「特異点」とは、
世界と世界の境界線をまたぐ」=「ルールが異なる世界に入る
ことなんです。
・「14の言葉」としては、「生の世界」と「死の世界」の境界線
・ジョジョ第6部では、「一巡前」と「一巡後」の世界の境界線

ジョジョ ver.2.0 Figure 15

ー ー ー ー ー ー ー

④ 「ジョット」と「天使(エンジェル)」

ここからは、「死の世界=停止の世界」ですから…
ちょうど、「ザ・ワールド」が永久に発動している世界、
といえます。
(時間が停止しているのに「永久」というのも奇妙な話だが…)

ここから先の、「ジョット」「天使(エンジェル)」「紫陽花
この3つの言葉は、「死の世界=停止の世界」からの脱出法
を表しています。

「ジョット」
こちらは、中世のイタリア人画家ジョット・ディ・ボンドーネでしょう。
僕は美術には詳しくないですが、
「それまでの様式的な絵画表現を打ち壊し、写実的な芸術を再興させた『西洋美術の父』」と呼ばれているそうです。

「天使(エンジェル)」
一方、こちらが何を意味するのか…?
「天使」単独で考えると、どうしても宗教的な意味だったり、言葉に込められた暗喩、何かの象徴、etc...と脱線してしまいます。

しかし、「ジョット」ー「天使(エンジェル)」の組み合わせで考えると…

「ジョット」:芸術家=創造主
「天使(エンジェル)」:芸術作品=被造物

という関係性が見えてきます。

そして、芸術家=創造主と、芸術作品=被造物は、「ニワトリと卵」のような「どちらかが先に存在していた」という関係性ではなく
作用反作用の法則のように、「寸分違わず同時に出現する」

わけです。

天使という「概念」
それ自体は、「霊的な、神の使いとしての何か」という言葉として存在していても、
「どんな形をしているの?」「どんな色をしているの?」
「大きさは?」「人間に近いの?」etc...
どれだけ言葉を尽くしても、見たことがない人にはイメージが難しい。
それは口伝いで伝わる「言葉」でも、経典の中の「文字」でも同じ。
しかし、「絵画」として表現することで、ビザンティン美術のような様式的な表現でも形がすこしイメージできる
その表現が「さらに写実的になれば…?」
あたかも「羽が生えて、白い衣をまとった神の使い」を実在するかのように認識できる
それゆえ、「天使」にとって芸術家は、形を、命を吹き込んでくれる「創造主」なわけです。

ジョジョ ver.2.0 Figure 15


しかし、だ!
だが、しかし、なのだぁ!

ここは「死の世界=停止の世界」ですから…

絵、描けませんんんんッッッッッッ!

唯一可能なことは、…
「天使を描こう」という『意志』を持つこと。

しかも、ジョット=創造主側だけが『意志』を持つのでは不十分で…
天使=被造物側にも「天使として描かれよう」という『意志』が必要。

このように、「死の世界=停止の世界」においても
「2つの意志が同時発生」し、互いを認識する瞬間が生じることが重要!
(時間が停止しているのに「瞬間」というのも奇妙な話だが…)

「描かれていない天使」=被造物側が『意志』を持つこと
ジョジョの世界では、そんなに不思議な話ではない。
第5部エピローグー『眠れる奴隷』において、ローリング・ストーンズの主であるスコリッピが話してましたね。
『ミケランジェロは
「究極の形」は考えてから掘るのではなく
すでに石の中に運命として「内在している」と
言っているのだ』
この状況がまさしく、創造主と被造物の間に意志が同時発生する状態。

この場面は、今まで認識し合っていなかった2つのものが、
「互いを認識する」

という出来事を描写しているわけです。

ジョジョ ver.2.0 Figure 16


ジョジョ的に捉えると…?

これは…わかりやすいんじゃない?

第3部のクライマックス、「DIO vs 承太郎」の
「停止した世界に『入り込む』闘い」です。

DIOの「世界(ザ・ワールド)」によって停止した世界に、
光速のスタンド「スター・プラチナ」を持つ承太郎が、
「時を止める能力」を獲得して入り込んでいく…

「時を止める能力」を持つ者同士は、
「停止した世界」でも動くことが可能になる。

そして、DIOは承太郎に敗北する…

承太郎もまた、
「死の世界=停止の世界」に侵入する能力を獲得してしまったこと…
この問題点は、後ほど書きます…
(果たして、荒木先生の意図に合致しているのだろうか…?)

ジョジョ ver.2.0 Figure 17

ー ー ー ー ー ー ー

ここは「死の世界=停止の世界」なので、
「時間の流れが存在しない」=「変化・変容が起きない」
そのため、
「カブト虫=不可逆的変容」が挟まらない

ー ー ー ー ー ー ー

⑤ 紫陽花(あじさい)


ここまで来ると、かなり構造が見てきますよね…

紫陽花(あじさい)の花言葉。
たくさん意味があるようですが、
この文脈では「移り気・心変わり」と解釈できます。

「死の世界=停止の世界」で、
2つの意志が同時に発生して「互いに認識し始める」

これまで断絶されていた2つの何かしらの間で、
「内的な変化=心変わり」が起き始める…

これが、「紫陽花」のステップの解釈です。

あくまでも、起き「始めよう」としている段階なので、
「紫陽花」の段階でも時間は停止しています。

2023.01.05 追記
この紫陽花、シンプルにジョルノを表しているとも解釈できる。
14の言葉が復活の呪文であると考えると、「蘇生」するステップが必要で、
DIO的な視点で見れば、「太陽」と「生命エネルギー」を取り戻すこと。
植物は太陽のエネルギーを使って生きているので、上の2つを象徴するには
ちょうどいいし、結果として生じる「緑色」の赤ん坊もその性質を持っている。
だから、作品内のDIOの視点で考えても「紫陽花」というのはちょうどいい言葉。

一方で、作品を俯瞰的に見れば、第6部より前の第5部でジョルノはすでに登場していて、その意味では「紫陽花」という言葉はいかにもジョルノ的な響きを持つ。
(ジョルノのイメージカラーはプリンスと同じく金と紫、
ジョルノ=イタリア語の「日(Day)」→太陽への連想
汐華初流乃の「華」→「花」)
ゴールド・エクスペリエンスの「生命を生み出す」という能力は、時間的な側面から見れば「生命の時間を動かし始める=時の始動のスタンド」と解釈できる。
その意味でも、「紫陽花」という言葉には「時の始動」という意味も込められているのかもしれない。
時間が動き始める「瞬間」は、まだ時間は動いていないから、
「カブト虫」+「特異点」の手前に配置されるわけです。

ジョジョ ver.2.0 Figure 18

ー ー ー ー ー ー ー

「カブト虫=不可逆的変容」

ー ー ー ー ー ー ー

「特異点=世界をまたぐ」

ー ー ー ー ー ー ー

さて…この、「紫陽花」「カブト虫」「特異点」の流れ。
ジョジョ的に解釈するとどうなるのか…?

DIOは既に承太郎に敗北しています…
しかし、結果としてDIOは「スタンド」を捨てることに成功している。
さらに、敗北することで、ジョースター家との宿命から解放されています。

つまり、「紫陽花」「カブト虫」「特異点」は、
DIO自身ではなく、DIOのその先の存在の話です。
それは…「ジョルノ・ジョバァーナ」と「緑色の赤ん坊」です。

ジョジョ ver.2.0 Figure 20

①ジョルノ・ジョバァーナ

ジョルノの父親、DIOは…

(生)の性質の欠落:
「太陽」:浴びたら死ぬ
「波紋」:受けたら死ぬ
     スタンド能力も「時間停止」=「死」
「継承」:親から受け継いでいない「奪う人」
     自身も、子供たちに継承できていない

(死)の性質
「石」:石仮面でゾンビ化
「停止」:スタンド能力「ザ・ワールド」
「断絶」:継承と同様

それに対し、ジョルノは…

(生)の性質:
「太陽」:ジョルノはイタリア語で「
太陽」→太陽の克服・取り込み
     シンボルは「てんとう虫」
「波紋」:スタンド能力が「生命」を与える
     =「死の世界=停止=無生物」から
      「生の世界=継承=生物」を作り出す
「継承」:名も知らぬギャングから、ブチャラティから、
     さまざまなものを受け継いている
     また、それを別の誰かに受け継ぐこともできる

(死)の性質
「石」:無生物→生物=石の克服
「停止」:無生物の「生命の時間」を動かし始めることができる
     =停止の克服
「断絶」:自らの行動で、信頼関係を構築できる
     =断絶の克服(愛情を与える能力です)

酵母マンとしては…
ジョルノはイエスを象徴的に描いているのでは?と考えています。
・神(Dio)の子
=王子(ゴールド・エクスペリエンスは「プリンス」の曲)
・命を吹き込むスタンド能力・成長して能力が変化する
・周囲の人の行動にも影響を与え、良い方向に導いていく
=愛情を伝えるスタンド能力・愛情を行為として示す人格
・神の王子の敵は、「キング・クリムゾン」を操る悪魔(ディアボロ)
・成長して悪魔との闘いを克服することで、「王の中の王」になる
・ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
=「生命を与える=時を動かし始める能力」が究極的に進化した状態
=時間軸上の、らせん階段の無限大の彼方にいる存在
→時間のらせん階段は誰も登れないから、GERには誰も到達できない…

②緑色の赤ん坊

(生)の性質:
「太陽」:植物的性質をもち、光合成ができる
     →太陽の克服・取り込み
     さらに言えば、「奪うもの(動物)」から
     「自ら生み出し与えるもの(植物)」に転生している
「波紋」:スタンド能力は最終的に「時の加速」に成長
     =「死の世界=停止」から脱却している
「継承」:DIOの魂だけ継承している
    (あと、36人の罪人)
     そもそも、新しい生物として継承のスタート地点になっている

(死)の性質
DIOの骨から、スポーツ・マックスの「リンプ・ビズキット」によって蘇っている
=半死半生の状態

いずれにしても、
ジョルノも、緑色の赤ん坊も
「死の世界」から脱却してきたものであることがわかります。

ー ー ー ー ー ー ー

⑥ 秘密の皇帝

到達しましたね…「秘密の皇帝」に。
ここは、「死の世界」から脱却して初めて見ることができる、
「新しい生の世界」です。

まずは、言葉の意味を考えてみます。
(ここには、宗教的意味合いは弱いように思います)

秘密とは?
秘:かくす(秘宝・隠秘など)
密:みえない(密猟・密度など)
→「見えない」と解釈できる。

皇帝とは?
文字通り、支配者です。
しかし…支配者とは
「みんなから存在が認識できるから、影響力を行使できる」

そうすると…?
秘密の皇帝=見えない支配者
という状態は、極めて奇妙です。

でもさ…そうゆう人、いたじゃない?
第5部のパッショーネのボス、ディアボロです。
(ちなみに、パッショーネ=passion=受難という意味)

ジョルノは、
「死の世界」から脱却し、成長を続けたその先で、
「秘密の皇帝=見えない支配者=ディアボロ」に到達。

まぁ、その先で獲得する、
「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)」
=ジョルノが形成する「らせん階段(らせん構造)」なんですけど…
ここでは詳細は触れない。

ここでは、ディアボロ=GERってわけではないです。
あくまで結果としてそう解釈できる、ってだけの話。

ジョジョ ver.2.0 Figure 21


本題は、第6部。

この世界の、「秘密の皇帝=見えない支配者」とはなんだろう?

世界の全てを支配しているならば、
それは「全てに通底しているルール」
といえます。

それが、「本来は明らか(顕)であるはずなのに」「秘密=見えない…」

そうゆうものを、「真理」と呼びます。

その先に、「らせん階段」が待っている…

つまり、14の言葉を一巡して、秘密の皇帝=らせん階段に到達する。
その結果として、世界が一巡して、「閉じた円環構造」にならずに、
少しズレた「無限の並行世界」が誕生することになった。

ジョジョ ver.2.0 Figure 22

ここは、僕が書いてる記事の話になってしまうんですが、

14の言葉と同じ方法で自分の人生を振り返ることで、
自分の「生」→「死」を貫く「時間軸」が形成できます。

この「時間軸」自体が、らせん構造を内包しているのですが…

第6部で時を加速させて、
「時間軸」の「始まり」と「終わり」をズラしてつなげると…
さまざまな時間軸を持ったらせん構造=無限の並行世界
が形成されます。
さらに、らせんの中心には、「新たな軸=世界軸」が形成されます。

DIOは、この「世界軸」の獲得を狙っていたのではないか?
無限の並行世界を制御する力を手に入れることで、
「自分が望む並行世界の、望む人物として生きる道」を選択した…

酵母マン的には…(ざわざわ)
この世界のDIOは、スティール・ボール・ランの「聖なる遺体」の人物になったのではないか?
と考えています…
(答えは知らんよ、まじで)

ジョジョ ver.2.0 Figure 23

以上で、酵母マンが考える、
「14の言葉 完全解釈.ver.2.0」
終了でございます。


酵母マン的ジョジョ論は、また次回。


2-3. この話は第7部に続いている…?


2021.10.09
第7部スティール・ボール・ランは、アメリカ西海岸の「サン・ディエゴ (San Diego)」から始まります。

San Diegoとは、スペイン語で「聖ヤコブ」を意味する。
ディエゴ・デ・アルカラという宣教師に由来するようです。

重要なことは。
第7部でジョニーたちの宿敵となる人物の名が、ディエゴ・ブランドーである、ということ。

僕の仮説は、「第1部〜第6部のDIOは、プッチの力を利用して転生して、複数の並列世界を生み出し、その中で第7部の世界における『聖なる遺体』の人物になったのでは?
というものであった。

そして第7部の蓋を開けてみれば、
DIOに相当する人物の名はディエゴに変わり、
物語はサンディエゴ = 聖ディエゴという土地から始まる。

これは…やばいんじゃね?
仮説当たってない??

いつか第7部考察を書く日がきたら、
そのときに改めて考えてみたいと思います。

目次
ジョジョnote

ご興味があれば
第4部考察 その①
第5部考察 前書き
第5部考察 眠れる奴隷 完全解釈
第6部考察 その① 第6部のテーマとストーン・フリー

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