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ロックのオルガンソロ名作10選

「最近のロックにはギターソロがない」というのは良く言われることだが、同時にキーボードソロもなくなりつつある。特にハモンドオルガンに関してはソロ楽器としての地位はほぼ失われており、ロックの楽曲でフューチャーされることは皆無という状況と観測される。

自分は軽音部出身で担当楽器がキーボードであったこともありハモンドオルガンに対しては思い入れも深い。
そういうわけで「オルガンソロの名作」を自分勝手に10作品をご紹介しようと思う。

Procol  Harum / A Whiter Shade Of Pale

まずは定番から。言わずもがな名作中の名作である。1967年発表の『青い影』は世界的な大ヒット。プレイヤーはマシュー・フィッシャー。バッハの『G線上のアリア』からの引用という逸話も有名。

The Allman Brothers Band / In Memory of Elizabeth Reed

これも定番。オールマン・ブラザーズ・バンドの『エリザベス・リードの追憶』。1971年のライブアルバム『フィルモア・イースト』より。あまりも有名すぎるアルバムであるため食わず嫌いの人も多いと思われる。タイム感が今と全然違うので最初は戸惑うかもしれないが偏見なく聴いてほしい。オルガンをプレイしているのはグレッグ・オールマン。早逝の天才ギタリスト、デュアン・オールマンの弟である。

Emerson, Lake & Palmer / Hoedown


ELPが1972年に発表した『トリロジー』というアルバムの6曲目。とにかくキース・エマーソンがオルガンを弾きまくるという大興奮の曲。最初と途中にシンセでギュイーンとやるだけで、テーマのメロディからソロまですべてオルガン。インスト楽曲も数多くあるが、ここまでオルガンを弾きまくるのは実は非常に珍しい。この曲くらいだと思う。

Deep Purple / Smooth Dancer

ジョン・ロードはディープ・パープルそのものと言ってもいいくらいなんだが世間的にはリッチー・ブラックモアのバンドと思われているようである。日本でのライブアルバムが大受けして忙しくなったせいでバンドが不調に陥り、リッチー・ブラックモアがやる気をなくしたなかで新アルバムを制作するという状況であった。アルバム自体の評価も低いんだが、この曲だけは別。2分過ぎから始まるジョン・ロードのオルガンソロは迫力満点で激情を感じる。

Rick Wakeman / Anne of Cleves

リック・ウェイクマンはイエスのキーボードプレイヤーとして知名度が高い。そちらばかりが評価されるようだけど実はソロアルバムに出来の良いものが多い。1973年発表の1作目のソロアルバム『ヘンリー8世の6人の妻』は名作。その2曲目の『クレーヴのアン』はハモンドオルガン主体で作られていて、ソロもヨーロッパ人らしい手付きが感じられる曲である。アメリカのプレイヤーはこういうソロを弾かない。

Grand Funk Railroad / Black Licorice

アメリカ人らしい豪快なプレイというとこの曲じゃないかと思う。グランド・ファンク・レイルロードが1975年に発表した名作ライブアルバム『Caught in the Act』の8曲目『ブラック・リコリス』である。2分過ぎから始まる超絶技巧のソロを弾いているのはクレイグ・フロスト。隠れた名プレイヤーで、ボブ・シーガーのバックバンドにも在籍していたこともある。

The Doors / The Changeling

ロックのオルガンプレイヤーとして忘れてはいけないのがドアーズのレイ・マンザレク。ドアーズは「ベースレス」のバンドで、レイ・マンザレクが左手でベースを弾いていたのである。ソロにも忘れがたいプレイが多いが、この曲では「通常ならギターが弾くようなリフ」をオルガンで演奏するという荒業を披露していて、ぜひ紹介したかった。ドアーズが1971年に発表した『L.A.Woman』の1曲目。ジム・モリスン生前最後のアルバムでもある。

Boston / Walk On

嘘のようなホントの話だが、ボストンのリーダーであるトム・ショルツはキーボードも巧いのである。このライブ映像で確認してほしい。オルガンを電気処理したシステム的なもので独自のソロを展開している。楽曲として収録されているのは1994年の『Walk On』である。組曲になっていて、そのなかにトム・ショルツのキーボードソロがフューチャーされる。ぜひ偏見なく聴いてほしい。ダイナーロックとか産業ロックとかいう言葉を使うヤツ。大嫌いだ。無用な先入観をリスナーに与えるだけじゃないかと。

Brian Auger The Trinity / Black Cat

ドギツイのを一発。60年代のブリティッシュ・ロックにはキーボードプレイヤーとしてのスターも数多く存在した。ブライアン・オーガーもその一人。ブライアン・オーガー・ザ・トリニティというワンマンバンドを率いて1967年に発表したのが『ブラック・キャット』という楽曲。なんというか、すべてにおいて狂気を感じさせる。楽しそうでなにより。

Reese Wynans and Friends / Crossfire

最後に渋くてカッコいい曲。リーズ・ワイナスはスティーヴィ・レイ・ヴォーンのバンド「ダブル・トラブル」にも参加していたことがある名プレイヤーの一人。セッションマンとして数多くのブルースプレイヤーと共演している。2019年にソロアルバム『Reese Wynans And Friends: Sweet Release』を発表している。その1曲目。リードボーカルはサム&デイブのサム・ムーア。楽曲も最高でオルガンソロも素晴らしい。

こんなところでどうでしょう。
ロックのオルガンソロの魅力を分かってもらえただろうか。
ではまた。

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