シリコンバレーで学んだ「共感」の重要性と、リーダーシップ

こんにちは。学生教育団体LearnBo 代表 兼 CAO(Chief Ambitious Officer)のこうしろうです。3月1日から10日まで、神戸市のプログラムでシリコンバレーを視察してきました。スタートアップの聖地の起業家や活動家、スタンフォード大の教授の話を聞いたり、それを踏まえてキャリアデザインを考えたりと盛りだくさんのプログラムでした。

インプットが多すぎて、どこからアウトプット(文章化)していこうかしら、といった感じです。とりあえず今回は、プログラムで学んだ「傾聴」と「受容」、そして「共感」の重要性と、自分のリーダーシップに対する認識の変化についてまとめようと思います。

共感、むずない?

突然ですが…他人に心から共感するって、難しくないですか?僕もすごく苦手です。


思想や価値観、バックグラウンドが自分と異なる人に共感するって、つまり自分を押し殺して相手の価値観に合わせること、あるいは相手の価値観を自分の価値観の形に削って「ああ、そういうことなら分かるよ」と納得すること、つまり共感が起こるたびどちらかの価値観がすり減っていくものだと思っていました。

あるいは、そもそも他人に興味なんて持てない、共感の必要性を感じない人もいますよね。おかしいことではないと思います。

それでも僕は、今回のシリコンバレーの旅で「共感する力」はなんとしても身に付けなければならないと感じました。自分の中の「共感」が、いかに表面的であったかを痛感し、そして僕の中の理想のリーダーに不可欠な力であると強く感じたからです。

現時点での結論を言うと、共感するとは、相手を他人として認識し、そのまま理解し受け入れることだと思います。そこに価値観のすり減りが起こる必要はありません。

感じていた悩み

僕は現在、学生教育団体LearnBoという団体の代表をしています。2019年4月の立ち上げから1年が経とうとしています。代表としての僕はというと、アツさやアイデアでメンバーを巻き込んでいくタイプです。それで一年やってこれました。

ですが、悩みもありました。メンバーに、もっと能動的にアイデアを出してほしかったんです。
何かアイデアある?と聞いてはいましたが、結局僕のアイデアや方向性にメンバーがついてくる形で活動をしてきました。そんな現状に少しモヤモヤしたものを感じていました。
なぜメンバーはアイデアを出してくれないんだろう、僕が居なくなったらこの団体はどうなる?不安と、疑問でした。

そんな悩みもあり、僕がプログラム前に立てた個人的な探求テーマの一つが「メンバーが活きるチームのリーダーとは?」でした。

シリコンバレーで見たリーダー

今回のプログラムの中で、mercari US の現CEOである John Largerling 氏のお話をお聞きする時間がありました。このセッションも運営局の皆様のご尽力で奇跡的に実現した時間だったんですが、そのことについてはまた別の記事で。

この方が、今回の旅で見つけた「理想のリーダー」の一人です。

Johnさんは物腰やわらかで、でもすごくどっしりとした芯を感じる方でした。僕たちのために、流暢な日本語でトークしてくださいました。

彼の話の中で「顧客と社員、どちらか選べと言われたら私は社員を選ぶ」という言葉がありました。
また、セッションが終わったあと、ある社員さんに「この会社が好きですか」と質問すると、即答で「好きです」と答えてくれました。(今考えるとちょっと不躾な質問でした…すみません)

このJohnさんの一言と、社員さんの「好きです」の即答。ここに、リーダーとチームメンバーの圧倒的な信頼関係を感じました。会社の活き活きとした雰囲気も伝わってきました。
そして、どうすればこのような信頼関係が生まれるのだろうと疑問に思いました。

ヒントは mercari US CEO の一言

もちろんこの信頼関係の裏には、僕には想像もつかない努力と苦労の積み重ねがあったのだと思います。それは数十分のセッションだけでは理解しがたいものだと思いますが、この信頼関係のヒントのようなものが Johnさんの言葉の中にありました。

「私はCEOだからといって、決して偉いわけではない。私の仕事は、リーダーという責任ある立場を、使うべき時に使うことだ。」

カッコよすぎません?鳥肌立ちましたもんね。太字にしちゃいました。

この一言に、リーダーとしての驕りは一切感じられませんでした。自らとチームメンバーを対等に捉え、「人と人」として接する姿勢が見えました。
リーダーの、メンバーに対する対等な共感の姿勢が、mercari US というチームを支える信頼関係の幹なのだと思います。

この姿を目にしたとき、純粋に「めちゃくちゃカッコイイ」と思いました。
そして、時間をおいて自分のLearnBoでの姿を振り返ると、その姿からはかなり遠い位置にいることを突き付けられたのです。

もう一人の傾聴者

実は、傾聴と共感の重要性を教えてくれた存在がもう一人いました。
それは、シリコンバレーの起業家や投資家などではなく、同じプログラムメンバーの、一学年下の女の子でした。

彼女はプログラム参加メンバー19名の中で、最も傾聴力が高かったのです。

彼女の傾聴力の高さを感じた理由は二つあります。
一つは、誰とでも分け隔てなく話していたから。
そして、対話を通じて相手を深掘りすることが誰よりも上手だったからです。

プログラム中、移動は基本的にシャトルバスでした。1回の移動は1時間かかることもあり、バスで隣の席に座った年の近いメンバーとお互いの現状や将来の夢、他愛のない話をする時間がたくさんあったのです。

僕はその時間を使って、仲良くなった13名ほどと話したりしました。全メンバーとは話す時間を取れませんでした。というか、正直に言うと、全員との対話をすることを特に意識してはいませんでした。

一方で、例の彼女は参加メンバー18名全員と、分け隔てなく対話を重ねていました。参加メンバーには中学生から大学院生まで幅広くいたのですが、彼女の傾聴の姿勢は誰に対しても平等でした。
自分以外の18人全員と話していたのは彼女だけだったと思います。

また、彼女は傾聴を通じて話し手自身も気が付いていなかった自己理解のきっかけを与えていました。
話を聞きながら、より深い話や原体験を引き出す質問やコメントをぶつけることができる子でした。
彼女と話した時間で自分を見つめなおすことになった参加メンバー、(僕も含め)たくさんいると思います。(笑)

傾聴力が高いとは、こういうことか。
敵わない、と思ってしまいました。

傾聴力、もう一度鍛えよう

シリコンバレーから帰ってきた今、これまでの僕は「なぜみんなアイデアを出してくれないんだ」という完全な他責思考に陥っていたと痛感しています。LearnBoのリーダーとしてメンバーへの傾聴と共感の姿勢が、僕には足りていませんでした。

赤裸々に打ち明けますが、LearnBoを立ち上げてからの僕は徐々に傾聴がへたくそになってきていたのです。いろいろ手を伸ばして活動を続けているうちに、自分の中にやりたいことや学んだことがそれなりにはっきりしてきました。周りから自分の活動を持っていること自体を褒められることが増えてきて、飲み会などもアウトプット側になることが多くなりました。
それ自体はいいことでもあるのですが、このところは聴き役に回る意識をしていませんでした。
同じような心当たりのある学生リーダー職の方、いるのではないでしょうか(笑)

僕が繰り返していた「なにかアイデアない?」というメンバーへの問いかけは、あまりにも大雑把で早計でした。
そういった聞き方ではなく、メンバーそれぞれのビジョンや価値観、思い、バックグラウンドなどを傾聴し、LearnBoというチームで成したいことはあるか、そのために発揮できる長所は何か、変えたいチームの現状はあるか、といった、相手の全体に耳を傾け、受け入れるような、そんな聴き方をすべきだったのです。まだぼんやりとしていますが。

 ・なんかアイデアない?
 ・やりたいことない?
 ・これできる?

これらの質問は、大雑把で早計で無責任です。
そうではなく

・あなたの中で大切にしていることは何か
・叶えたいビジョンはあるか
・あなたのビジョンのために僕/チームをどう使えるか

といった、相手の全体を知ろうとする姿勢が大切なのだと思います。
めちゃくちゃ当たり前のことですが、いまさら気付きました。

もう一度、傾聴する習慣をつけよう。
聴き役に回る訓練をしよう。
ヒッチハイクもっかいやろう。

まとめ

共感とは、自分のものさしを捨てて傾聴し、相手を相手のまま受容することです。
リーダーとは、メンバーのビジョンや価値観、思いを傾聴しメンバー相互の信頼を深める場を作り、それぞれの長所やスキルを理解してチームの中で最大限に活きる役割を託す役職のことであると、今は思います。
リーダー像に正解はなく人それぞれだと思いますが、僕の中の現時点の理想像は、シリコンバレーで見た「共感型のリーダー」です。

道のりは長いですが、僕はここを目指します。

当たり前といえば当たり前のことですが、僕にはいい学びでした。
ここから頑張ります!

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