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フィジカルモンスターの作り方

フィジカルが強いのは大柄な選手だけでしょうか?
筋肉をつけて体重を重くすれば、フィジカルバトルで負けないようになるのでしょうか?

答えはNOです。
どれだけ筋肉があって体が大きくても、100%体を使いこなせている選手は本当に少ないです。
トップレベルの選手であってもフィジカルバトルにおける伸び代を感じることは多々あります。

これは育成年代から大柄な選手に対して正しく向き合って来なかった指導者の責任であると思います。

育成年代において周りよりも早く体が成長する選手は重宝されます。
スキル不足な育成年代の選手たちのフィジカルバトルは体格に大きく左右されます。
要するにそのカテゴリーにおいては無敵なのです。
そのような状況に陥った際に選手は「俺は誰にもフィジカルバトルで負けない。そのためのスキルは充分あるんだ。」という間違った認識をしがちです。
ここで、指導者が適切にヒットやタックルのスキルを教えなければ、その選手は数年後スランプに陥ることになります。

それまで活躍していたのに、高校や大学に入った途端、ぱたりと勢いがなくなる選手は数えだしたらキリがありません。

そんな状況に少し危機感を覚えたので、今回の記事では体格に関係なくフィジカルバトルを制することができるようになる方法を書いていきたいと思います。

身長差約40cm、体重差約30kgもある1、2学年上の白人選手相手に毎週戦う中で自分なりに見つけたセオリーを既存のコンタクトスキルに織り交ぜたものです。

人体構造の理解

まず、フィジカルバトルに勝つためには人体構造を理解しなければいけません。
人体構造的に強い姿勢は型のように教わると思います。
前傾することや、脚を踏み込むことなどなど。

この辺りは基礎的な部分ですが、これらは全て前からの姿勢に強いと言うだけで万能ではありません。
横からのちょっとした刺激で崩れてしまうような脆弱なものなのです。
もちろん、ラグビーにおいてそんなシチュエーションはなかなかありませんからいいのですが、ここでヒットの瞬間に相手を半歩ずらすという発想が生まれてくると思います。

人体構造の理解と仰々しく書きましたが、要するに相手の姿勢をみて弱点を発見することが大切だということです。

では、タックルしてくる相手を想定して、弱点を具体的に挙げていこうと思います。

まずは、タックルしようと思っているのと逆の肩です。
逆ヘッドのタックルが多く起きている原因の一つに、このスキルの実践があるのではないかと思っています。
逆ヘッドは危険ですが、多くの選手は肩を切り替えることがスムーズにいかないのでATがバトルで勝ちやすくなります。

次にタックルしてくる肩の側の腕です。
これらは先程のヒットの瞬間半歩ずらすという部分です。

そして、相手の足元です。
どれだけ良いタックラーでもトップスピードから地を這うようなタックルは出来ません。
もちろん、これはATにも言えることなのでこの状況を作る為に後述のスキルが必要になってきます。

見せる姿勢と当たる姿勢

相手の弱点がわかった所で、次に出てくる問題はその弱点をどうやってつくかです。
ステップでもなんでも同じことですが、この為には相手に自分の動きを見せることが必要になります。

例えばあなたがタックラーで、ボールキャリヤーが高い姿勢で来たら、どこにタックルに入ろうとするでしょうか?
相手よりは低い姿勢を取りつつも、低すぎない程度の高さで懐に向かっていくのではないかと思います。

そうして狙いを定めた瞬間に相手がもう一段階姿勢を低くした場合、ベストなタックルは出来るでしょうか?
とても難しいと思います。自分のターゲットが変わってしまうのですから。

タックラーというのは常に同じ姿勢でタックルにいく訳ではなく、キャリヤーの体勢をみて姿勢を変えるものです。(むしろ変えなければ抜かれる場合も多いので)

それを逆手にとって、キャリヤーは当たりたい姿勢と相手に見せたい姿勢にギャップを作ることが肝要です。

横の動きというのは意識している選手はほとんどですが、この縦の動きというものを意識している選手はその半分程度ではないかと感じます。

エネルギー出力のタイミングとベクトル

さて、ここまでのスキルで相手の弱点を作り出し、そこにヒットすることは出来ますが、重要なのはここから先のスキルです。

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