日本vsアイルランド 【静岡の奇跡】

【静岡の奇跡】や、【エコパの奇跡】。海外では【Shizuoka Shock】などと言われているようですが、内容を見ていただければ全く奇跡でも偶然でもなく必然であることがわかると思います。

試合のレビューをする前にアイルランドの特徴について再確認しておきたいと思います。

アイルランドはキッキングラグビーを多用
+FWのプレー以外のトライはギャンブル色が強い(こちらのツイートで紹介済み)
DFに関しては一時世界最強を誇ったが、イングランドなどのチームにシステムをコピーされ、攻略法がバレてしまった
これに対して日本もキッキングラグビーを多用前回大会終了、現監督就任当初からキッキングラグビーを徹底。

しているかのように見せかけていた!!

完全に騙されました。4年がかりの情報戦略です。

さて、レビューに入ります。
前半から日本代表はアイルランドのキックに対してキックで応戦せず、ボールを持ち続けました。
ラックからも早い球出しで有効なATを何度も重ねていき、アイルランドの出足が遅くなったところで外展開というように、ただボールを持つのではなくしっかりとした戦術を元にプレーしていると感じました。
また、DF面でもアイルランドの9シェイプ(FWを当てるプレー)をしっかりと前で止めてプレッシャーをかけ、外展開に対しても慌てず面を保ったまま止め続けていました。

この状況で、アイルランドのプレーヤーからATの選択肢がどんどん少なくなっています。
キックを蹴る→日本のATが始まる
ボールを持ってAT→ゲインできない

アイルランドは元々攻撃力が低いチームであるのでATの引き出しはほとんどない状態でこの状況を迎えたと思います。
この状況でアイルランドにできることは、ハイパントを上げてギャンブルをすることです。
しかし、ただでさえボール保持時間(すなわちトライを取るチャンス)が短いアイルランドがその選択をするのはかなり勇気が必要なことだったと思います。
実際問題キックの本数はとても少なかったのでこれは選択肢から除外されていたと思います。

もうお気づきかもしれませんが、アイルランドはこの時点で詰んでいるのです。
もっと言ってしまうと、前半最初のアイルランドのトライがアドバンテージからとはいえ、キックパスだった時点で詰んでいるなと感じました。

アイルランドと日本は使える戦術の幅、事前情報の差で試合開始前に結果が決まっていたのです。

また、アイルランドはチーム戦術の敗北をスクラムで補って状況を打開することを狙っていたと思いますが、日本のスクラムはアイルランドに逆にプレッシャーをかけるほど強かったため、アイルランドは打つ手無しです。

こうして八方塞がりになったアイルランドはノータイムになった瞬間に逆転を狙わずに勝ち点1を手堅く取って試合を終えました。この辺りにもアイルランドの選手たちの焦りがあらわれていると思います。

このようにアイルランド戦は全く奇跡でも偶然でもなく4年前から計算されていた必勝のゲームだということがわかっていただけたと思います。
ジェイミージョセフ監督が今度はスコットランド相手にどんな采配をするのか必見です!

#ラグビー #戦術 #RWC2019 #JPNvIRE

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