二人が「美味しい」と言い合うには
2021年11月実装 樋口円香 LP(Landing Point)に関するネタバレがあります。
○溜池
個人ライブの話が持ってこられます。
ユニットのライブも進んでいるのに。
おまけに、シャニPが言うには、円香の一存で「遠慮なくボツにできる」。
個人で、今決めるようなことでもないのに、この話を持ってきた。
あまりに突拍子がなく、意図も読めません。
シャニPはどうやら「自由にやって欲しい」。そういう企画にしたい。
「いつもは走らせながら話すでしょ」と、話から遠ざかろうとする円香。
「今日は答えを聞いてからがいい」。
逃げ場がない。
なにかに向き合ってくれと言わんばかりに。
○川に流され
「円香は何が食べたい?」
会話場所のセッティング、食べることはここでは手段です。
ご飯をともにしながら、個人ライブの話。
会場の候補は、円香の想定より大きいハコばかり。
「チケットが余るでしょ?」
「余らない、ちゃんと埋まる」
「ユニットのライブと平行の必要は?」
「準備に時間が掛かるから」
アイドル、もとい樋口円香から見れば、少しずるい回答。
"プロデューサー"の仕事内容はわかりっこありません。
プロデューサーは、なんでも言っていいと言ってくれました。
「カラオケと何が違うんですか、これ」
「私ならもっと上手いアーティストのライブに行きます」
樋口円香は、どうやっても自分のことを特別だなんて思えません。
そんな妄想、都合の良すぎるから。
来てくれるのは「円香の歌を聞きたい人」だと。
プロデューサーは、わかりやすい例え話で話します。
とてもわかりやすい、嫌というほど。
○海を見るつもりじゃなかったし
噂されている円香。良くも悪くも尾ひれがついていそうな気がします。
気分はあまり良くないですが、貴重な席に座れたのもまた事実。
そんな他人の感情で、ここから動くのはもったいない。
どこかに、美しい海がある保証もない。
余談
・樋口円香、海を信じないシリーズ
天塵:海飛び込みシーン、「この先は海じゃなくて工場」
海出:報酬サポカ など...
樋口円香は変化を拒む。
変化によって、今以上の未来が、海があるとは思えないから。
変わらず、誰のためにも歌っていない。ただ自分の衝動のみ。
じゃあ、みんなは何を見に来ているのか?
...
「じゃあ見てみて!」
ヘアメイクさんがいい感じのセットをしてくれました。
「見ています」
...?
思い出されるのはUntitledの「見てない」
このセリフは、浅倉透の特別性を否定するための言葉でした。
じゃあ今のセリフは?
「見ています」は、自分の、ことを、
余談
“それに対して樋口円香は、浅倉透の特別性を否定することで対等な関係を持とうとしている。なぜなら樋口円香は自分自身が特別性を持てると思っていないからである。”
浅倉透の特別性とその損失
Untitledについて少し書いてます。
○私事
円香のボーカルレッスンに、どうにも違和感が。
でも、トレーナーからは特に違和感はない、とのこと。
廊下での噂話が聞こえてきます。
「あの人嫌いなんだよ、暑苦しくて」
なんとなく背筋が伸びるシャニP。自分に当てはまらないでもない気がします。
「いっつもだらしない格好でさぁ、スーツを着てるとこなんて見たことないし...」
ほっと一安心、スーツを着ない日はありません。
いつも、肩書き:プロデューサーで話をしている。問題はありません。
ライブのハコを円香と見ています。
「最近、困っていることはないか?」
ボーカルレッスンの違和感といい、円香の何かが引っかかる、気がする。
「強いて言うなら、日が昇る前のチェインに迷惑したことくらいですかね」
「あなたのことです」
シャニPが、日の昇る前にチェインを送る。
いくらシャニPでも、そんな時間帯にスーツは着ていないでしょう。
結局、スーツを着ていても暑苦しいことは変わりない。
いや、スーツを着ていても暑苦しいことが異常なのです。
肩書きを外れた期待の熱がそこにあって、そんな熱を受け取れるという絶対はどこにもない。もしそんな熱で、空に向かう翼を折るような、そんなことがあったら。
○2人が肩書きを外すには
円香を評価してくれるカメラマン。
思わず「それは樋口が」と、樋口円香の評判を上げようとします。
が、これは、円香の妄想の人たちと同じ。
勝手に期待を膨らませ、押しつぶしてしまうかもしれない。
シャニPとしては惜しいですが、言葉を止めます。
「掴もうとしてはいけない」
「遠くには行きませんので、ご心配なく」
川の場面。
プロデューサーは、自分だけが勝手に評価しているんじゃないかと、円香に言葉を零す。そこを的確に突かれる。
「世間に私の価値を知らしめたいから、ですよね?」
"プロデューサー"としては、言葉を止めました。
でも、言葉を止めるにはあまりに惜しすぎる。
「円香を自由にしたかった」
「本当は表現したいと思っている」
「円香にとって価値のあるものは何かってことだ」
プロデューサーらしくない演説です。
そう、"らしくない"のです。
(もしかしたらですが、この場面のプロデューサーは旅館の浴衣なんかを着ているんじゃないでしょうか、スーツなどではなく。)
円香にとっては最悪です。
樋口円香にとって、期待は背負わされるもの。
「私は娯楽のための見世物じゃない」
ずっと横にいた、いいオトナが、誰よりも自分に期待している。
(不適当な例えですが、異性の友人が急に恋愛感情を向けてきたような、そんな嫌悪感に似ているのかもしれない)
どこに行っても期待ばかり、逃げ出したい。
走り出す樋口円香。
手を伸ばせば、プロデューサーの域から外れる。
そんな気がする。
でも、その手を掴まなければ、さっきの演説は"樋口円香"ではなく"手を掴めないアイドル"に対してのものになる。自分の期待が"プロデューサー"から外れたものならば、支える手も相応でないと示しがつかない。
「掴まってくれ」
「あなたを掴むなら溺れて死ぬ」
この男性が、どれだけの完璧な人間で、どれだけの仕事をこなせ、どれだけの誠実さを持っているか、円香にはこれまでの疑いの目で「嫌というほど伝わって」います。
そんな、言ってしまえば化け物のような人間が、自分に、ただの高校生に、期待をしている。そんな嘘のような現実が気持ち悪く渦巻いている。
「勝手に助ける」
パーフェクトコミュニケーション。期待を負担として抱えないで良いと、そう言いました。この男性は、どうやっても傷一つ付かず、完璧な回答を導いてきました。また一つ、嫌というほど伝わってきた。
「本当に嫌い」
でも、手は拒まない。
余談
ここの選択肢3つ、どれを選んでもコミュ内容は一言も変わりません。
・プロデューサーという肩書きから外れた発言なので、プレイヤーは実質的な操作ができない
・絶対に正解を導くから、内容が変化しない
とか...そういう妄想をしました。
○そうして自分を見る
ステージにいるのは、誰かのための円香じゃない。
円香のための円香なんだ。
「とても集中しているので」
自分を見る、ということを意識したことは、恐らく無かったのでしょう。
ライブ後、珍しくシャニPを「プロデューサー」と呼んでくれます。
肩書きで呼んでいます。
目の前の男性を"プロデューサー"だと認めることは、「集中して見た自分が、アイドルだと自覚出来た」という円香なりの報告なのだと思います。
○同意
(時計の音:自分で回すから時計の針は回る。)
樋口円香は期待は嫌いです。
回想にあったような「大丈夫」「樋口なら違う」
勝手な持ち上げ。
今はそうではありません、スタッフと共に作り上げている。
樋口円香は、衝動に任せて歌います。
それに期待せずにいて欲しい。
そうして、ただ単に、ついて来てくれる人に届けます。
そうして誰のためでもなく歌うからこそ、
そうしてくれた人たちに、混ざり合った"白"が届き、ひとりひとりの色が付く。
プロデューサーは自分のやりたいように、プロデュースをします。
樋口円香はそれに期待はしません。
そうして、ただ単に、それについて行くのみです。
余談
「スケジュールの相談です。今日、ボーカルレッスンを入れられますか」
ご存じの通り、ボーカルレッスンの約束セリフ
「急ですみません、無理なら...」
の続き。
樋口円香が"アイドル"という定型的肩書きを外し、自分自身の特別を見れた。というところから、定型文の続きの姿を見せてくれたのではないかと思ったりしました。
「さて、困ったことに腹ペコだなぁ」
「何が食べたい?」
「適当に近くで良いんじゃないですか?」
「そうか、じゃあ」
食事が目的になっていく。
○雑多なおまけ
言いたいことがまだまだある、特に引用元コミュ。
多すぎるので雑多に。
上で端折った「見てない」「見ています」のUntitled
車内はほぼ全部エンジン
「元が取れるように」とか食事の話は、感謝祭の個人ED
樋口円香が海(理想的未来のメタファー)をどう見てるかは、色んな所に散っている。もう掴んでる。
プロデューサーが本心をさらけ出すことについては、ギンコTrue。
「歌う」「秘める」はピトス全般。
「風が冷たいので」はギン子初登場コミュ?
ライブ会場までの道が高層ビル背景で、ソロ曲:夢見鳥?
塗りつぶされる前の夕日で、カラカラカラとピトスの屋上連想?
時計音は、「何もしなくても時計の針は回る」。GRADのどこかにあったはず。
プロデューサーが謎に歌声を聞けるのは、感謝祭OPのアンサーか?
ふう。
特に拾ってくれて嬉しかったのは、感謝祭の個人EDですかね。
ず~~~~~~っと願ってたことが、GRADとLPで段々と叶って、凄く嬉しかった...
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