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笑えベビー|おつきさまこんばんは

赤ちゃんに読む絵本と言ったら!
という定番の本。

表紙に見覚えはあるけれど、どんな内容なのか知らない。実は知っているのかもしれないが、そうだとしたら遠い記憶すぎて全く覚えていない。だから図書館で見つけて、とりあえず借りてみた。そしてとりあえず、読んでみた。

ベビーを椅子の上のクッションに寝かせ、両手で絵本を持ち上げて見せるスタイルで(読み聞かせの体勢を試行錯誤中)。
「おつきさまこんばんは」と言って絵本を開くと、ベビーもつられて絵本を見やる。左側のページの白さと、右側の濃紺の深さのコントラストを確かめるように交互に見ているのがわかった。
そのあとは一度よそ見をするのだが、わたしがページをめくって言葉を読み上げるとまた目線を戻してくれる。

最近、ベビーがよく笑う。
わたしと目が合うとパアッと口を開けて笑顔になる。夫がおちゃらけてみせると、声を上げてケラケラ笑う。面白くってしかたがないというふうに。

赤ちゃんってこんなに笑うんだ。
新生児の頃は真顔か泣き顔かしかなかった。ゼロかマイナスかの二択で、面白いという感情は持ち合わせていないように見えた。それが今や、毎日こんなに笑う。赤ちゃんの成長はすさまじい。

「あーよかった」
おつきさまも笑っている。あなたみたいだねと呼びかけると、ベビーは飽きてよそ見をしているところだった。

おしまい、パタン。
絵本を閉じたら、舌を突き出すお茶目なおつきさまがいた。こんな表情もするんだ。
読み終わったことを知ってか知らずしてか、ベビーがじっと絵本を見ている。もう一回読もうか。

表紙のおつきさまは目を閉じて眠っているよう。ぷっくり赤らんだ頬、小さな鼻と唇。あ、この子赤ちゃんだ。
月と言ったら、空の上からちっぽけな人間どもを見下ろす偉大な存在というイメージだった。『はらぺこあおむし』の月はあおむしの卵を見守っているし、遠い昔「おつきさまが見てるよ」との子どもの言葉で盗みを働く親を改心させたという説法を聞いた記憶がある。

だから、おつきさまが赤ちゃんだったという発見はわたしにとって衝撃的だった。
それも、うちのベビーとそっくりな寝顔なのだ。なんてかわいいんだろう。

まんまるのおつきさまにわが子を重ねて読み返すと、おつきさまの表情ひとつひとつが愛おしい。雲に隠されて泣いちゃいそうになるのも、雲が去ってホッと笑うのも。
かわいいかわいいおつきさま、こんばんは。
また読むね。



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