見出し画像

僕たちはどう生きるか

かれこれ本は些細なことがきっかけで中学2年生の頃から読み続けているのだけど、実はTHE研究者の書籍については初めて読んだ(元より、小説や、小説について回る作者の宇宙が好きなので)

新しく手を取った分野の書籍には私の期待する宇宙は存在しないが、私(私たち)が意識していないところでありありと存在しているものを端的に、ロジカルに語りあげる面白さがあった。知らないことを知る入口に触れるような、探究心を満たすような、子ども心(何も知らないという意)をくすぐるような、少なくともそういったベクトルで測れる満足感がある。

そして作品から少し皮肉めいた表現を節々に感じる。そういった思うところとは異なるギャップが作品内にあるゆえに、すいすいと読み進めてしまったに違いない。

僕たちはどう生きるかを読み終えた感想

・農業への興味が湧く
・環境と暮らしの距離を測りたくなる
・日々を記したくなる

特に農業に関して、自分自身がここまで興味を持つとは思わなかった。将来はおそらく八王子のあたりで、程よいサイズの庭にポニーを飼い、程よい自然と暮らそうと思っていたところで農業に関するアイデアが目の前に。それも自然農法的なもの。ある意味些細なところまで気が回らない自分のための自然との付き合い方なのではないかと思った。自然に囲まれて育たなかったからこそ、自然へ内々に思いを馳せている。

そして本書は日記がベースになっているが、言うまでもなく良いものだと思う。ありありと言葉からその日その時の情景が思い浮かぶのだから、こんなに素敵なことはない。記すことは伝えることであり、伝えることは誰かへの答えだ。

私はどこかセルフィッシュを装っているが、実はそこまでセルフィッシュではない。加えて年齢を重ねるにつれて漠然と何か良い生き方をしたいと考えている(私を縁取ってきた輪郭が確実にヤスリで削られて丸くなっている)。正直強い思想はないものの、この先の未来で近しい人たちが、良い暮らしができたらとささやかに願う。

僕たちはどう生きるか。数百ページから、まさにその問いについて考えたくなるヒントのような一冊。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?