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内在。

「人は誰でも過去の足跡と経験から次はこれをやりたい、というある種の「思いつき」をいだく。この思いつきは、その人の個人的な歴史の歩みであって生起する以上、それを実行することでのみ人生の固有度は高まり、自分自身になることができる。それが人が何かを「やる」理由だと私は考えている。」        _ _ _ _ _ 2020/6/11 朝日新聞  連載  コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線  ~人間界離れた54日間、一変していた世界~ より

「己の内側からわき上がるものに従って生きることで、人の人生は固有のものになる。内在を経なければ、人生は外側の価値観を生きるだけになってしまう。」 「まずは、内在的にわき上がるものを見つめないと、生きる意味に到達できないと思います。」 _ _ _ _ _ 2020/10/1 朝日新聞  ~社会の役に立たないという価値観 角幡唯介さん語る体験論~

角幡唯介さんの言葉。

すごく腑に落ちた。この文章を読むことで、自分のやりたい事を大切にして生きて良い、ということを確かめることができた。また、そのような生き方は自分の人生を確固たるものにするということも。

″社会のレール″の上を歩きだすと、そこから逸れることがなかなか難しい。途中でまったく関係ない方向にやりたいことが出来たとしても、レールを逸れてまでそれを実行することは覚悟と勇気がいる。だから、色々な経験を経た結果として新たな方向にやりたいことが出来たとしても、内にある欲望に従って舵をきることが難しい。
ただ、「本当にそれでよいのか、レールの上をあと数十年ずっと歩んでいくつもりなんてないぞ」という強気な気持ちだけは持っていて、それを抱いたまま仕事をしている。

また、現代は特に自分の内側の思いに気づき辛い、或いは気づいても寄り添いづらいのではないかと思っている。その理由の1つにSNSがあるのではないか、SNSによって不特定多数の人々の日々を知ることができ、また周囲からの評価によって自分の生き方を確立する傾向が強まっているとしたら、意識下あるいは無意識下において他者の嗜好をなぞって行動を決定するようになってしまうのではないかと思う。
私も多少そんな自覚があり、だからこそこの新聞記事を読んで、「自分の内側からわき出るもの」について改めて考えさせられた。
他者からの評価によって成立する人生を歩んでいたら、変形自在に変わりゆく流行に沿って自分の人生も右往左往して形のないものになってしまうのである。



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