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ドラマ感想文/拾われた男

素晴らしかった、本当に素晴らしかった!

ようやく撮り溜めた録画を見終わった。全10回。
回を追うごとに釘付けになっていって、最後は衝撃に唖然。あまりに素晴らしい終わり方だった。

『拾われた男』は、NHKで放送されていた連ドラで、名脇役俳優、松尾諭さんの半生と家族の話を描いたもの。

仲野太賀さんの演技が好きでハマってたところ、職場のスタッフからお薦めされてゆっくりゆっくり見始めた。

振られ続け、夢に借金、そして家族との因縁がテンポ良く笑えて沁みるドラマだ。

🟡俳優陣の素晴らしさ

仲野太賀さんは天才だと思う。全然似てないのに、ふと松尾さんに見える瞬間がある。派手な顔じゃないのに目が離せない。演じる感情がこちらの心を掴んで揺さぶる。

共演の俳優陣もとっても豪華で、妻役の伊藤紗里さんも上手い!マネージャー役の鈴木杏さんもイイ!編集者の夏帆さんもいいスパイス!そして草薙剛さんももうすごい!!
ちょい役に柄本明さんとか、重鎮が出てたりと遊び心が面白い。

みなさん本当にそれぞれが、それぞれ素敵な演技で、見応えある。

🟡奇妙な人生の面白さ

単純にベースになっている松尾さんの人生が面白い。航空券を拾った事で事務所に入れることになったきっかけに始まり、本当にご縁と偶然に導かれた人生だったんだなと思う。
なにか、そういうものを惹きつける運の強さと魅力が松尾さんにあるんだろうなぁ。

🟡「家族」の何とも言えないかんじ

このドラマに描かれてる、家族の何とも言えない居心地の悪さがすごくいい。
そう、分かる、その居心地の悪さ。
ホームドラマほど仲良しでもなく、嫌いじゃないけど好きでもなく。
何かのきっかけで大切だとおもう瞬間が、確かにあるのだけれど、大体の時間は何かめんどくささだったり、気に触る感じだったり、一緒に居ると早く離れたい気持ちになったり。
でも大事じゃないわけじゃなくて。

そういう微妙な気持ちの描き方が本当に上手いと思った。
わたしも実家にいる時間は短い。
会いたいけれど、一晩中話すほどは会話ももたない。でも、嫌いと言わなくてもいい。そういう家族の形があっていいって、思わせてくれる。

お兄さんとの邂逅は凄まじい。
確執、知らなかった一面を知って、出来事を通して一瞬通じ合う。
そして、ある日過去まで変わっていくほどの心の雪解けが起こる。

もう、最後2話の素晴らしさ!!!
笑えるシーンなのに、泣けてしまったり、もう情緒がぐちゃぐちゃだった。

🟡演出の素晴らしさ

本当にもう。演出がとにかく素敵なのだ。
シリアスから笑えるシーン、あっちかるこっちへの場転の切り替えが上手くて飽きさせない。落ち込まさせない。小物の演出も効いてる。
過去、現在への切り替えや、構成が上手い。
過去の回想場面もちょいちょい挟み込まれるものの、分かりにくさがない。一話を最後まで見ると完璧だって思わせてくれる。

そして、ラストの過去と現在の邂逅の演出がとにかく素晴らしい。過去と未来が交差して、過去が書き変わっていくシーンは鳥肌もの。ここの仲野太賀さんの演技もものすごくいいのだ。
こんなふうに撮って、こんなふうに伏線を繋げて全てが回収するんだと感動する。
もうそのひとときに、全てがある。全てが交錯する。
見てほしい、もう絶対見てほしい!!!

なんとも言えない光と空気感。
なんとも言えない感情。
でもなんだか悪くない。
そのなんとも言えなさを、そのまんま描き出す。
このすごさ、伝わるだろうか?

こんな素敵な作品を作ってくれてありがとう。
見終わった後は、自分の曖昧な人生すら、なんだか悪くないような気持ちになる。

見て損はない全10回。
お正月にいかがでしょうか。





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