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ウォーキングデッド記

お酒での失敗だけで恥の多い生涯を送ってきました。
お酒との付き合い方、これは私の永遠のテーマである。お酒を飲んでお酒に溺れた次の日、記憶の回収作業をしながら信じられない現実と向き合うことになる。受け止めきれない現実によって壮大な酒鬱に押し潰されそうになりながら、夕方まで便器と友達になり、自己嫌悪に陥りそしてもう酒など飲まない!と豪語するが結局はまたその二の舞になり上記の手順を永遠にループすることになるのだ。ただのバカだ。


どうして人並みの飲み方が出来ないのだろうか?
楽しくお酒を嗜み、飲まれず丁度良いくらいを何故保てないのだろうか?毎回必ずブラックアウトしてしまうくらいどうしても飲んでしまうのだ。
そしてその翌日、死にたい消えてしまいたいと更に病むことになる。もはや一種のアルコール中毒だと思われる。つい昨日またやらかしてしまい、本当にお酒との向き合い方を考えないといけないことになったので、そのことについて少し自分の文字で記録を残してみようと思う。何を隠そうかなり深刻なのだ。なんだこの救いようのないクズは!と嘲笑ってくれて構わない。

はじめに

酒での失敗は数えきれないほどある。私という人物像を明白にするために、少し自己紹介をしようと思う。両親はまったくの下戸で一人娘の厳しい家庭で育ち、そこそこの学歴をもち大事に育ててもらったと自負している。それが何故かお酒の飲み方がどんどんおかしい方向に進んでいき、爆発してしまったのだ。爆発という表現が正しい。昔二十代前半の時に歳上の知人に「いつか痛い飲み方をするお姉さんにならないでよ(笑)」と言われたことを鮮明に覚えている。そのときは「まさか〜そんな!キャハハハ」とほざいていたが、どうやら現実になってしまったようだ。そう、もうすでに若いからと許されることのない痛々しい28歳を迎えてしまったのだ。


ウォーキングデッドが生まれた日

今思い返せば私の酒癖の悪さの始まりはここだと明白に覚えているタイミングがある。
もう時効だと信じて素直に書くが、私が一番最初に酒に飲まれたのは16歳の時だ。友人3人と大学生のふりをして居酒屋に入り飲み慣れないお酒を飲み、大人になれたようなそのシチュエーションと初めて飲むお酒への高揚感に酔いしれていた。その後帰れず駅のロータリーのベンチで寝てしまい、次意識が戻った時にはホームレスのおじさん?もしくは同じように酔っ払ったおじさんが向かいのベンチでこちらと同じ体勢でにっこりこちらを見ていたのだ。怖くなって家に向かってトボトボ歩くが、やはり家には辿り着けず駅前のモールの柵に首を突っ込み寝てしまっていた。普通に危ない。その後近くにいた人に助けられてどのような流れかは覚えていないが、友達が迎えに来てくれて保護されことなきを得た。今思い返せばこれが間違いなく酒乱への第一歩だった。入り口から色々と間違えてしまったのだ。これがウォーキングデッドが誕生した日だ。

ウォーキングデッド携帯無くす悪習編

ウォーキングデッド誕生から何年かが過ぎ、私は留学へ旅立っていた。国名を出すとエピソードから身バレしてしまう気がするので出さないことにしておく。ここから酒乱が正式に始まったと記憶している。何せ厳しい親元を離れ自由になりすぎてしまったのだ。おそらくここで何かが外れたことは間違いない。場所柄、毎週留学仲間と飲みに行くくらいしかやることがなかったのだ。この期間中に私は携帯を無くすという新しいスキルを身につけ、ウォーキングデッド+携帯を無くすループからしばらく抜け出せずにいた。

ウォーキングデッドお漏らし癖編

この頃になると当時住んでいた留学生の寮のエレベーターの中で異性の友人の前で失禁してしまうくらいに酒乱レベルが上がっていて、女として威厳など微塵もなかった。どうやら一度失禁してしまうと癖がついてしまうらしく、それからはしばらく携帯を無くす代わりに失禁癖がついてしまった。毎回私の尿を処理してくれた友人達には頭が上がらない。何故ここで酒をやめられなかったのか…人間失格です…。

ウォーキングデッド徘徊癖編

徘徊癖がついた日は間違いなくこのタイミングだ。大人数で飲んだその後、一人で勝手にタクシーから降り近くにあった博物館に侵入して、起きたらガイドと観光客にクスクス笑われていたのだ。もはやここまで来ると夢か現実かもわからず現実を受け入れることが難しくなってしまうのだが、おそらく柵をよじ登ってタイツを電線させた痕跡を見るとどうやら現実らしい。もはや不法侵入なので捕まってなくて感謝しかない。

ウォーキングデッド初めて警察に保護される編

相変わらず酒癖が落ち着いたり落ち着かなかったりで、この頃になると類は友を呼ぶで周りには酒癖が悪い友人ばかり集まるようになっていた。
そんな時に事件は起こったのだ。酔い潰れるとどこでも寝てしまう友人と二人きりまで残り、目が覚めた時には警察署の檻の中にいたのだ。何故か友人は檻の外のベンチで寝ていて、私だけが檻の中にいたのだ。想像してみてほしい、海外の警察署の檻の中だ。幸いこの時も特に逮捕などといった事態に発展することなく、保護だけで返してもらえた。アーメン

ウォーキングデッド彼氏を無くす編

当時付き合っていた彼氏に別れを告げようと呼び出したにも関わらず、あっさりわかったと言われ、やけ酒をしてしまい、別れたにも関わらずまた酔っ払いの介抱をさせてしまった。しかも失禁をかまし、翌朝枕元におかゆや、あらゆる二日酔いに効く飲み物が置かれ、私が汚した洋服も洗濯済みで並べられていたのだ。そして、俺もあなたも酒で人生を壊すタイプだから、とこっ酷く叱ってくれた。あぁ、何てちゃんとした良い人を自分は逃してしまったんだと思うと同時に、私みたいなしょうもない人間なんかじゃなくて、ちゃんとした方と本当に幸せになってほしいと心の底から願った。そしてその後も私は懲りることなくまた飲酒するのだ。
ここまで書いて自分でも自分のクズっぷりに呆れてくる。

ウォーキングデッド新宿を徘徊する編

新宿とは酒乱に優しい街だ。24時間眠らずどんなに酒乱でも受け入れ先があるのだ。日本に一時帰国すると初めて新宿で飲み歩くことを覚えた。
ここでも携帯を無くしたり、初めて日本のおまわりさんにも保護されたり酔っ払って無銭飲食をしたこともあった…。本当にこんな犯罪予備軍が飲み歩いていることを謝罪したい。
警察に保護され実家まで送られるその度に記憶がない私のことを親は悲しみ嘆いていた…。「あなたが日本に帰ってくるだけで寿命が縮む」と…。それもそうだ、今までの海外での私の横行を親はしらないのだ。もちろん携帯を無くす回数が異常なことから薄々気づいてはいたと思う。親不孝な娘でごめんなさい。

ウォーキングデッド卒業編

ここまで書いて自分でも飽き飽きしているし、自己嫌悪で情けなくてどうにかなりそうだ。そんなのお酒を辞めればいいだけの話じゃないかと誰もが思うだろう。そう、そんな簡単な話が自分には出来なかったのだ。笑い話にして周りに笑ってもらい、自分でも笑い、その酒乱を抱えながら生きてきたが、もう卒業しようと思う。酒乱な自分に飽きた。今まで幸い事故や事件に巻き込まれたり大きい傷を負ったりすることは無かったが、今後も無いと言い切れない。もしかしたらどこかでとんでもないことを起こしてしまうのではないかと怖くて堪らない。
周りの人間に甘えて自分の問題から目を背け酒に逃げたくさん失敗を犯してきた。そんな自分に懲り懲りなのだ。
何故いつも大切な人たちに醜態を晒し続けてきたのか?たくさんの優しい人々に助けられ、救われなんとか生かされている。酒癖は治らない。飲むのを辞めるしか方法はない。


ここまで書いて全てフィクションです!!


と言えたらどんなに良かっただろう。
残念ながらこれは全て現実で、痛々しい私のリアルである。
何故書こうと思ったかと言うと自分への戒めと
同じように酒乱で悩んでいる人々、そしてそんな酒乱を日々助けている優しい人々に向けて書いたものだ。よくお酒が飲めないと人生損すると言うが、そんなことは全くない。むしろ綺麗に飲めないのならば飲まない方がいい!お酒を飲んで人生損することになるからな…


そして安易な考えではあるが、私よりもひどい酒乱の方は是非教えて欲しい。少しの自分だけじゃないという安心が欲しいのだ…
最後に同じような同志がいたら一緒に断酒に励もう、そして人生に向き合って強く生きていこう。
ゾンビから人間になれる日が来ることを是非祈って欲しい。


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